脅威の侵略者編
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「向こうが大人だからって怯むな!ピッチに立ったら同じサッカー選手だ!」
「ああ!どんどんゴールを決めてやる!」
ユニホームに着替えた男子たちは気合い十分だな、と見つめながらキャラバンから運んできたタオルとかドリンクボトルをベンチに置く。
「でも相手が相手なだけに体力的な差がある。ペース配分に注意しないと」
「しかもこっちは1人足りないしな」
風丸の言葉に土門が補足するようにそう言えば、円堂が、ん?と首を傾げた。
どうしたんだろう?
メンバーは、円堂、豪炎寺、鬼道、風丸、染岡、一ノ瀬、土門、壁山、栗松、目金の10人で間違い無いはずだ。
「水津が居るだろ?」
円堂がさも当然のようにそう言って、あっけらかんとした。
『え、私!?』
円堂がおう!と頷けば、他の男の子達も、水津が居たなと納得した様子であった。
待って、え?私が出るの??
「水津さんはマネージャーではないの?」
瞳子さんが皆に問いかける。
そうです、マネージャーです!
「普段はマネージャーですけど、水津は非公式戦では選手として出た事もあります」
そうなの?と瞳子さんが見つめてくる。そうだけどさぁ...。
『いや、でも、私サッカーはフリスタやってただけなので...正直...』
「そんなに謙遜しなくてもいいんじゃない?」
ポンと、一ノ瀬が肩に手を乗せてきた。
いや、謙遜じゃなくてだね。一般人の私が超次元サッカーなんか出来るわけないって話なんですけどねぇ!!
「なんだよ。お前、また女子だからとか気にしてんのかよ」
呆れたように、染岡に言われてそうじゃなくてと首を振る。
「相手が大人だからか?帝国学園に喧嘩を売ってきた時の勢いはどうした?そんな事で臆するタイプではないだろう」
真面目に不思議だと言わんばかりに見つめてくる鬼道に、あれはあれで事情があったし、今は今で事情があるんだよと頭を抱える。
「とりあえず...今回メンバーが足りないのは確かだから、水津さんもチームに入ってちょうだい」
瞳子さんが今回と付け足したのは、おそらくマネージャーである子を宇宙人相手の選手に起用するには...、という考えがあるはず。彼女には最強のサッカーチームを作るという使命があるから。
『...分かりました』
まあ瞳子さんも、必殺技のひの字もない私の実力を見たらこの先の起用はないだろうし...。
渋々頷けば、瞳子さんは秋ちゃんを呼んで新しいユニホームを用意するように指示を出していた。
『...フィールドプレーヤーか』
「なに、梅雨ちゃん緊張してるの?気楽に行こうぜ」
トントンと土門が背中を叩いてくれる。
『ありがとう。けど相手はただの大人じゃなくて、総理大臣付きのSPよ?』
「セキュリティポリス...。一体どんなプレイをするチームなんだ...」
反対のゴール前で我々の準備を待ってくれているSPたちを鬼道が、じっと、見つめる横で、春奈ちゃんがカタカタとノートPCのキーボードを叩いている。
「あった!」
君、有能って言われない?
早々に相手チームのデータを見つけてきた春奈ちゃんに、みんなが顔を向ける。
「SPフィクサーズ...。大のサッカーファンである財前総理のボディーガードでもあるサッカーチームです!」
「サッカーで身体を鍛えてるって訳か」
『逆を言えば、普段からボディーガードとして身体を鍛えてる人達のサッカーってことよ』
大人と言うだけでも大変なのに...と目金が弱音を吐く。
「どうやって戦えばいいでヤンスかねぇ...」
「監督、アドバイスお願いするッス」
壁山の言葉に、みんなが瞳子さんに期待をして見る。
「とりあえず...君たちの思うようにやってみて」
そう言って瞳子さんは私達の前から去る。
期待していた子供たちは、そんなぁ、と情けない声を上げている。
「あの人は俺たちがどんなサッカーをするのが見たいんだろう」
「ああ、初めて指揮する試合だからな」
それもあるだろうけど、昨日、監督がいないと何も出来ないお子様にはガッカリってハッキリ言ってたし、何かあった時に自分たちで判断できるようにしたいんじゃないだろうか。
そう思いながら、私達から離れてベンチに座る瞳子さんを見る。
「それじゃあ、水津のポジションとフォーメーションはどうする?」
一ノ瀬がそう言ったのを聞いて、そうだった、とみんなの方へ向き直る。
『帝国戦でも、尾刈斗戦でもDF位置に着いたけど...?』
「えっ、水津をディフェンスで使ってたの?勿体ない!」
そう言った一ノ瀬に、勿体ないってなんだと首を傾げていれば、鬼道がああと頷いていた。
「それは同感だな。実際対戦した俺から見ても水津はMF向きだろう」
『そうなの?』
「ああ。しかも性格は好戦的だしな、DFより向いていると思うぞ」
確かにゲームしてても攻撃は最大の防御派だけどさぁ。
『て、事はMF位置に入るとしたら、一ノ瀬の反対側?』
「ああ、レフトに入ってもらう。お前なら染岡との相性もいいだろう」
『あー、最近半田と3人でパス連してたしね』
まあ1番は染岡の気質が分かってて、練習はほとんどしてなかったにしろ1年間一緒にいた半田が相性いいんだろうけどなぁ。
「あんま気負うんじゃねーぞ」
そう言って染岡に後ろ頭を軽く押される。
『もー、それやめてってば』
「あの、僕のポジションは...!」
弱々しく手を挙げた目金に、みんなもどうする?と首を傾げる。元々本人はFW志望だけど、正直雷門は2トップが落ち着くんだよなぁ。
『DFでいいんじゃない?影野の代わりに入った時も意外とガッツあったし』
「そ、そうですか?まあ水津さんがそこまで言うなら、DFでも構いませんが」
いいんじゃない?とみんなも頷いている。
「じゃあ、フォーメーションは守備を固めて...」
うーんと考え出した円堂に鬼道が、いや、と口を挟んだ。
「水津の他に、風丸と土門をMFに当ててオフェンスを強化するんだ」
「攻撃型の布陣に?」
「こういう時こそ先取点が大事なんだ」
「そうか、守りに入っていては点を得るチャンスも減るって訳か」
抜けたMFの穴埋めにもなるしなぁ。
なんせ影野以外の4人みんなMFだったから、中盤が手薄になってる。
「ああ。それに俺達のゴールはお前が守ってるんだ。安心して攻撃に集中できる。そうだろみんな?」
円堂を指して鬼道が言えば皆力強くうなずいた。
相変わらず鬼道は賢いな。本当に信じてると言うのもあるんだろうけど、ここでDFを手薄にしてわざと円堂にシュートを取らせる事で、彼に自信を失わせないようにしているのだろう。
まあ、木戸川清修戦から世宇子戦までの間大変だったからなぁ...。
「よし、みんな頼むぞ!」
円堂の掛け声で、おおー!と皆、拳を高く掲げた。
「水津ちゃん、お待たせ。前に15番着てたと思ったんだけど何故だか見当たらなくて...、代わりにサイズ的に合いそうなの持ってきたんだけど」
そう言って秋ちゃんから、ユニホームが手渡されてそれを広げた。
背番号17