脅威の侵略者編
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エレベーター越しに聞こえた子供たちの、ええー!?と言う驚きの声、壁山の監督居ないと嫌っスという言葉に、俺もでやんすと栗松が同意する声が聞こえて思わず笑う。
心配するなと響木さんが子供たちを宥める声と共に、エレベーターは止まってポンと音を鳴らし扉を開いた。
「紹介しよう吉良瞳子くんだ」
理事長の言葉に、ええっ!?といい具合に皆が驚きのリアクションをくれる。
「水津!居ないと思ったら」
よっと、軽く片手を上げながら瞳子さんと一緒にエレベーターを降りる。
「ちょっとガッカリですね、理事長」
そう言って、瞳子さんは肩にかかる長い髪を後ろに払った。
「監督が居ないと何も出来ないお子様の集まりだったとは思いませんでした」
ツカツカとヒールを鳴らし歩きながら、横目で子供たちを品定めするかのように見ながら瞳子さんはモニターの前に向かう。
「本当にこの子達に地球の未来が託せるんですか?彼らは1度、エイリア学園に負けているんですよ?」
「だから勝つんです!」
円堂がすかさずそう言えば、モニターの前に辿り着いた瞳子さんは足を止めて首を少し動かして目線だけで後ろを振り返った。
「1度負けた事は次の勝負に繋がるんです!」
自信満々の円堂につられてか、先程まで瞳子さんに怪訝な顔や不安そうな顔、恐怖の顔をしていた他の雷門メンバーは皆口角を上げて前を見つめた。
やる気に満ちた皆の顔を見て思わず私も顔が綻ぶ。
「頼もしいわね。けど私のサッカーは今までとは違うわよ」
長い髪を払うように頭を揺らして、瞳子さんは選手達の方を向き直った。
「覚悟しておいて」
強気な瞳子さんの発言に対し、皆は力強く頷いた。
「それじゃあ、みんな1度帰って準備をしてきて頂戴。必要な物は水津さんを通して貴方たちに連絡を送ります」
『あ、はーい。早急にリスト作ってメール送ります』
とりあえず着替えと歯ブラシとコップと勉強道具は必須だな。
「それと、きちんと保護者の承諾を得て来て頂戴。それが出来ないものは連れて行けないわ」
まあ、そりゃあそうだ。リスクが大きい事だし、彼らはまだ保護のいる子供なのだ。
わかりました、と皆が頷いて、1度解散となりそれぞれ自宅に戻った。
のも束の間、たった数時間の内に理事長から至急戻ってきてくれと連絡が入り、慌ててまた修練所の地下に集まる事になった。
《先程襲撃現場で中学校破壊事件の際に、宇宙人が学校破壊に使ったものと同一と思われる黒いサッカーボールが発見されました》
モニターに映し出されているのは、奈良県で起こった事件のニュースで、公園の首の折られた鹿像の映像の後、黒と紫のサッカーボールが表示されていた。
「黒いサッカーボール...!」
「更に最新情報だ。エイリア学園は財前総理を連れ去っている」
ええ!?とその場のみんなから驚きの声が上がる中、後ろのエレベーターが開く音がして振り返れば、豪炎寺が遅れてやって来た。
「豪炎寺!」
「ああ、遅れてすまない」
その表情は、数時間前のエイリア学園を倒すぞ!と意気込んでいた彼の表情とは変わっていて、少し暗い顔をしている。
夕香ちゃんに顔を見せてくると言っていた彼に、病院で一体何があったのやら。
「揃ったな。諸君、情報によれば総理は謎の集団に連れ去られたと言う。この謎の集団はエイリア学園と関係があるようだ」
総理の言葉に、豪炎寺が一瞬だけ眉をピクリと動かした。
会ったんだろうな、謎の集団。
「出発よ。エイリア学園と直ぐに戦うことになるかもしれないわ」
「瞳子くん。円堂くん達を頼む。情報は随時イナズマキャラバンに転送する」
「お願いします」
イナズマキャラバン?と子供が首を傾げる。
『みんな、持ってきた荷物を忘れずに持ってエレベーターに乗って』
特に壁山は、なんかわかんないけどめちゃくちゃ荷物がある。
他の子は皆、ボストンバッグ1つで済んでいるというのに。
全員を詰め込んだエレベーターはゆっくりと降りて最下層に到着した。
「真っ暗」
エレベーターが止まり辿り着いた格納庫は真っ暗で、エレベーターの外に1歩踏み出せば、パッと明かりが点いた。
おお〜!とみんなから歓声が上がる。
「あれがイナズマキャラバン。この地下理事長室に繋がる前線基地になるのです」
「うわー!カッコイイッス!!」
「基地かぁ...あっ!」
何かに気がついた円堂が、イナズマキャラバンに駆け寄った。
「どうして...」
イナズマキャラバンの入口のドアに、サッカー部と書かれた板が立て掛けられていた。宇宙人に破壊された部室に元々かけられていた看板だった。
「ここは言ってみれば新しい部室だ」
そう言って響木さんが円堂に近寄る。
「だったらこいつは必要だろうが」
響木さんはニッと歯を見せて笑いサムズアップした。
それに円堂だけじゃなく、皆が集まって、はい!と嬉しそうに返事をした。
こういう粋なことをするから、響木さんは子供達に人気があるんだろうなぁ。
「古株さん、中に積んどくからな」
「古株さん?」
響木さんが、看板をカンカンとキャラバンの窓に打ち付ければ、中から古株さんが窓に顔を出した。
古株さんって確か三つ子だったよね...。昨日の古株さんは、ジェミニストームと戦って怪我してたし、ご兄弟の古株さんだろうか...?
「古株さんにはイナズマキャラバンの運転手をお願いしております」
火来校長の説明に、皆なるほどと頷く。
このキャラバンが中型車か大型車に当てはまるのか分からないが、古株さんどちらかの免許持ってるって事だよな。
「しっかりな、みんな」
「はい!監督!」
「お前たちはきっとエイリア学園に勝てる。俺はそう信じてるがな」
響木さんのその言葉に、一同は、はい!と力強く頷いた。
「行くぞー!みんな!」
円堂の掛け声に、おー!と返事して準備にキャラバンに乗り込んでいく。
そんな中、瞳子さんがペコりと響木さんに会釈をしてキャラバンに向かう。
「水津」
1番最後に乗り込もうとしたら、響木さんに呼び止められた。
『はい?』
「瞳子監督には、勝手だがお前の事情を話してある」
本人から聞きましたよと頷いてみせる。
「宇宙人もだが、お前も別の世界から来たなどという不思議な存在だ」
『まあそうですね』
「あの性格だから、不特定要因であるお前を連れていくとは言わないと思っていたが、彼女の方からぜひチームに欲しいと言われた。...何かあるかもしれん、気をつけろよ」
『あー...』
どうかなぁ。まあ彼女が吉良と言う点では気をつけた方がいいけど。たぶんただ強いチームを求めてるのに使えるものは使うってだけな気もするけどなぁ。
『分かりました。私も気をつけますけど、響木さんも気をつけてちゃんと病院行ってくださいね』
そう言えば、響木さんはきょとんとこちらを見た。
『それじゃあ、行って参ります』
ぺこりと頭を下げて、キャラバンに乗り込む。
みんなそれぞれ席についてシートベルトを止めていく。
マネージャー達は3人で固まって座って閉まっているし、私はどこに座ればいいんだ?
「水津、女子同士近い所がいいだろう」
そう言ってマネージャー達の席から通路を挟んだ横の席に座った鬼道が、窓側に寄って席を叩いた。
なるほど、ここに座れと。
ありがとうと言って、席についてシートベルトをする。
「イナズマキャラバン発進スタンバイ!」
瞳子さんの掛け声で、キャラバンの乗った床が上昇する。
うわぁ〜と驚きの声が上がる中、地上ではグラウンドが裂け両サイドに開き、下から滑走路がせり上がる。
がちゃん、と上昇した床が音を立てて止まり、キャラバンの前に滑走路が広がる。
イナズマキャラバン発進!!!
勢いよく雷門中を飛び出して、向かうは奈良県。