このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

#hpmiプラスまとめ(201812)

男のいる飲み会に参加する彼女「そんなに心配なら迎えに来てよ!」

2018/12/18 18:49
1️⃣「あ?言われなくても行くし」なにやら不機嫌。思わず呟く、可愛いのひと言。「あ?可愛い服着てくの?…ダメ、じゃあ行っちゃダメ」言葉を履き違えた彼は両の腕を肩に回し、塗られたばかりのルージュに目を落とす。ぷっくりと、つやつやと、劣情を煽るかのような艶めかしい唇。女心を汲んだのか躊躇う彼。だから、彼女の方から噛み付いた。そして、いってきますと彼を押し退ければ「いってらっしゃい」という小さな声が背中にぶつかった。素直なのか、素直でないのか。意地の張り合いは続く。

2️⃣「わ、わかった……」仕方ない。社会人の付き合いなんだ、これは仕方なのないことだ。言い聞かせる、受け入れたくない“社会人”という納得し難い絶対の理由。放せない、握り締めたままの彼女の手。そろそろ行かねば遅刻は必然。緩めた手から擦り抜ける彼女の柔肌。「俺、迎え行くからね?」眉は下がり、とろんとした瞳。斯様な顔を向けられては浮気どころか長居も出来まい。早く来てねと口付け部屋を後にした。浮気などする気はないが、あの愛らしい顔を見る為の悪戯の一つや二つ、許されやしないだろうか。

3️⃣「わかりました。その代わり補導されない時間に行きますからね?」今は夕刻。つまりあと数時間の猶予しか彼女には残されていない。それはあんまりだと口にしたが、彼が補導されるのもまたあんまりだ。「じゃあ行かなきゃいいのに」ぼそりと呟かれたのは恐らく本心。けれど聞こえぬふりをして身形を整える。「ねぇ、聞こえてないの?……行かないでよ」摘まれた服の裾。伸びるからと優しく手を引き剥がす。寂しげな指先が不安を煽り、「もう一度しか言いませんよ?……行かないで」という言葉が更に心を痛めつけた。出掛け際に掛けられた「いじわる」の一言にときめいたのはまた、別の話。


🐴「……だから、行くなっつってんだよ」迎えどうこうなどではない。そもそも行かせたくもないのだ。解れと言っても解ってもらえず、彼の苛々は募っていく。己との会食よりも煌びやかな装いに益々上がる、怒りのボルテージ。ぐっと握った拳には短い爪でさえ食い込んだ。そんなに厭かと歌うように問う彼女の唇を力尽くで奪う。込み上げる自責の念。苦々しい「行くのかよ」に対し、彼女は淡々といってきますのキスを返した。

🐰「不安じゃねぇ」素直ではないのだ、この男は。不安、怒り、焦燥、etc.悟られたくない感情の殆どは筒抜け。刻まれた眉間のシワと頻りに組み変わる長い脚。苛々していないなど、気にしていないなど嘘であろう。そろそろ行こうかと腰を上げ、とっておきの服を披露する。「…馬子にも衣装だな」興味なさげな表情を作る彼が堪らなく愛おしい。迎えに来てくれたならとびきりのご褒美をあげたいくらいに。手始めにいってきますのキスを与えて、迎えに来るのを心待ちにしよう。「…遊んでられると思うなよ」の言葉を信じて。

🐦「………そうだな」ああそうだ、迎えに行けば問題ない。彼の胸中に浮上した、不安も、嫉妬も、その他も、きっと全てが消え失せる。はたと準備の手を止めた彼女の、それとも良い子に待っているかという提案は聞き流すこととした。片時も離れたくはない。他の男の目に触れさせたくなどない。「…少しでも長く○○と過ごしたい。だから、小官が出向こう」大人しく待ってやるなど、性に合わないから。罠を張り、狡猾に、彼女を仕留める為の餌は既に撒かれた。


🍭「そうじゃなくて…行かないでって言ってんの」頬を膨らませ上目遣い、彼の常套句だが心が弾む。でもそろそろ、その被った猫の下、本当の顔を見せてほしい。人付き合いの一環だから行くの一点張りを貫き通し、彼の怒りを煽る。あのドスの効いた声を聞かせてほしい。ギラつく瞳で見つめて欲しい。開きかけた口が閉じ、期待感が胸を掠める。「…こんなとこ行くんじゃねぇ……とでも言うと思った〜?行って来なよ、はいはい、いってらっしゃーい」と
出発を促され靴を履く。今日も彼の掌の上。

📚「え〜…妾、美容の為に9時には寝るんですけど〜」そんな話初めて聞いた。まあ、嘘なのでしょうけれど。腰に回して放そうとしない少し華奢な腕。目いっぱい力を込めたなら折れてしまうだろうか。その節にそっと触れれば「…だーめ」とこそばゆい程の甘い声が耳に触れる。何がダメなのか。腕を振り払おうとしただけなのに。「そういのは、帰ってからのお楽しみでしょう?……迎えに行きますから、ね。続きはまた今夜」9時に寝てしまう人が夜の楽しみなど享受出来るのか、甚だ疑問だ。

🎲「…っかったよ行きゃいいんだろ………お前いなきゃどうせ暇だし」付け加えられたのは言い訳か。素直でよろしいと褒めかけた手を引っ込めた。じゃあ行くからと背を向ければ「やっぱ行かないで」などと大きな身体に押し込められる。押し退けようにも腕は動かず、それどころか身動きも取れぬ始末。「めっちゃ早く迎え行っていい?それとも飲み会、行かない?」少し緩んだ腕から脱出し、サクッと行って来るからと告げた。つまり貴方は「サクッと連れ帰りゃあいいんだな!」。物分かりが良くてよろしい。


💉「んー……わかった」本当にわかったのかと確認したくなる程、眉間のシワはアピールを続けている。そも、彼女が彼を放って浮気など出来ようか。それ程までに縛られ囚われている心が伝わっていないのかと、少しだけ傷付いた。出かけることをおずおずと告げ、腑に落ちないままヒールに足を通す。「…その靴、少し踵が高くはないかな?」彼と並び歩く時の馴染みの靴。踵が高いなど初耳だ。気に入っているから履きたいのに、引き留められては気持ちは曇る。「私と居る時だけの特別な靴、じゃなかったの?」195cmに少しでも近づく為の。

🍸「俺っちが…?わ……わかった…」本当に?本当に来られるの?大丈夫なの?…聞きたいが、聞けないし、聞かない。彼が来ると言ったのだ、きっとスーツに頼るのだろう。突っ立ったままの彼を取り残し、彼女は身形を整える。さてそろそろと声を掛けようとしたが、ソファでひとり、ぼんやりと虚空を見つめる彼に驚いた。これには流石の彼女も安否を確認せずにはいられない。「あ…○○ちゃん……俺っち?大丈夫だよ?行けるいける、お迎えくらい行けますよって」力無い声はふにゃふにゃとテンプレートのような台詞を読み上げた。飲み会など蹴ってしまおうか。

👔「べ、別に不安とか一言も言ってない、し…」と言いつつ目は泳ぐ。冷や汗は流れ、爪は手のひらに食い込んでいく。言葉よりも他が素直な彼を微笑ましく思い、早く帰って来るからねと告げた。だって、迎えに来てくれそうにはないし。そもそも彼はその日もきっと遅くまで仕事なのだから、迎えに来られるはずもない、か。少し期待してしまったことが切なく、意味もなく瞳には水膜が張る。「……なに、どうした?」驚く彼の気持ちもわかった、意味もなく泣きそうになられては困惑する他ないだろう。「えっあっ……ほ、ホントは心配だから迎え行くよ!行く行く!迎え…ちょ、超行く!」必死な日本語が愛らしく、少しの涙などすぐに消え失せた。

コメント

コメントを受け付けていません。