このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

#hpmiプラスまとめ(201812)

プロポーズを断られた男子

2018/12/26 22:03

1️⃣「やっぱ…安定性がないから、とか?」依頼が少なければ収入は少なく、養うなどとはとても言えない。加えて未成年。不安定さしか持ち得ないのだから、断られても文句は言えない。受け入れるしかない。そう分かっていても口にしてしまう「俺じゃダメなの?」。ごめんねと静かに涙を流した彼女は彼にしがみついた。『そんな事すんなら、受けてくれりゃあいいのに』言えない本心を飲み込んで、腑に落ちないが抱き締めた。今はダメでも未来を信じて。「俺、ぜってぇ諦めてやらねぇから」

2️⃣「冗談で言ってねぇし」高校生の言葉など、年上の彼女には当然本気と捉えてはもらえない。よくある○○夫婦だのなんだの、こっぱずかしい見せ掛けだけの“ラブラブ”に放り込まれるのは御免だ。けれど彼は彼で本気。今すぐとは言っていない「将来的にって言ってんじゃん」。将来って何年後?18になる年?それとも成人?或いはもっと先?彼女はその頃幾つになっている?「俺より先に生まれた○○ちゃんが悪い」涙を堪えて他人に押しつけるなんて、やっぱりまだまだ子どもなのだ。頭を冷やして考え直すよう額に口付けた彼女は、辞めたはずの煙草に火を付けた。「やっぱ大人はずりぃ」

3️⃣「そりゃあ僕はまだ年齢的にダメですけど…その……約束、です」フィアンセとか婚約者とか、許嫁とか言うじゃない。たとえ歳が離れていようと、まだその年齢に足りていなかろうと、互いの気持ちがあるのならば約束くらいしてもいいじゃない。「子どもじみたことをしてるってわかってます。でも…」でも、形だけでいいから貴女が欲しい。言い澱む、一番言いたいはずの気持ち。彼女は彼女で、中学生の彼を自分に縛り付けたくはない。彼にはまだ、無限に広がる未来がある。故に、駄目なのだ。口約束とて結べない。「どうしたら…どうしたら、僕とずっと一緒に居てくれますか?」


🐴「……そう、か」そうか、そうだよな、だって自分はヤクザ者。堅気の女と一緒になれるわけがない。真剣な付き合いだと信じていたが、所詮はそうなのだ、結局どいつもこいつも答えは同じ、“ヤクザ者とは添い遂げられない”。コイツだけはと思っていた自身に腹が立った。よくわからないが水を被ったかのように視界が霞む。大丈夫かと問われたが「あぁ」とだけ震えるような声で答えた。あぁ、情け無い。“俺様ともあろう者が”。「やっぱ、無理だよな。俺様とお前とじゃあ住む世界が違う」彼女に言っているのか、自分に言い聞かせているのか。其れは最早わからない。そんなことないよと手を掴む、お前の気持ちも微塵もわからない。

🐰「俺ほどの物件、そうそうねぇぞ」呆れてしまう。眉目秀麗、警察勤め、それの何が不満か。おまけに背も高い。いっそ自慢だが、非の打ち所などないだろう。だから問う「俺の何が不満だ」。高圧的な態度と言われたなら改めよう。私服が好みと違うのなら改めよう。食の趣味が合わないのなら改めよう。さあ、何が駄目なんだ。「……は?ずっと恋してたい…?」なんだその、理解の範疇を超えた回答は。これだから女は嫌なんだ。これだから、乙女思考は困るんだ。「結婚したって俺に恋すりゃいいだろが」顎を掴み、キスをした。シャツの胸元は彼女の手によりぐしゃぐしゃだ。一生俺に、恋させてやる。

🐦「住まいの心配をしているのか?」山に住まうこと、キャンプに住まうこと。其れ等の心配をしているのか。「ならば安心しろ、山くらいいくらでも降りる」お前と添い遂げる方が大切だ。それに、麓から山中に通うことくらい容易いことだ。こうも食い下がるのは男らしくないとわかっているが、こうも愛おしい相手を簡単に諦めるのもまた男らしくない。だから、少しだけ足掻かせてもらう「今一度言わせてくれ。小官と共に生きてほしい」。彼女の答えは先程と同じ。信じたくはないが、そう言う目で見られないのだとか。ならば今までの時間はなんだったのだ。潔く振って去らぬお前はなんなのだ。「ならば、小官達は今ここで終わりか」否定の言葉のその意味を、どうか小官に教えてくれ。


🍭「えー……ダメなの?…僕じゃ、ダメ?」とりあえず、一旦ぶりっ子口調で攻める彼。ダメなのと答える彼女。「……なんで?」と冷たい口調で問う。だってあんなに愛し合ったじゃない。僕しかいないって、俺しかいないって。「……ほかに好きな男出来た?」まあ、それなら仕方ない。彼にも複数の遊び相手が存在した。だがそれは過去の話だ。今はもう、彼女だけ。けれどこれも因果応報。返事が無いのを肯定と取り「そっか」と短く呟いた。けれど彼女は彼の服を掴む。「なぁに?」と、つい甘い声で返してしまう。嫌われたなんて信じたくない、終わりだなんて信じたくない。「ホントの理由、教えて?…僕に問題があるなら……直すから」だからさ、もう少しだけ一緒にいようよ。

📚「嘘じゃあないんですけどね」拒否されたのに手を掴み、目を見つめて逃さない。こんなに愛しい人に出会えたというのに、逃してなどなるものですか。だが断られた要因はわからない。小説家という不安定な職業か、嘘吐きという己が性質か、美しすぎる風貌か。3番目ならば仕方あるまい、彼曰く“これは生まれ持った奇跡でおじゃる”。 澄んだ瞳に見つめられたままの彼女はそっと目を逸らす。見透かされそうで怖いのだ。“本当は結婚したい”なんて奥底の気持ちを。「ねぇ…ダメですか?」今度は夜のおねだりのような甘ったるい声。ダメ、という言葉に説得力を込められない彼女。こうやって、じわりじわりと追い詰めたなら、きっと彼女は頷いてしまう。「小生と一緒になりましょうよ。ね?」

🎲「わかる、わかるぞお前の気持ち。俺みたいなギャンブラーとじゃ心配だよな」誰でも断るよなって我ながら思う。「でもさ、そんな俺に賭けてみるってぇのもアリじゃねえ?」ナシ、と一蹴されるのは目に見えている。安定性・将来性・貯金…ゼロ!それが俺の生き様。必要なのはスリルだけ。けれどそこに現れたもう一つの“必要”が目の前のコイツ。断られちゃったけど。「ダメ?」金を貸して欲しい時みたいな声しか出ない。あー、こりゃダメだな。振られて終わりだ。「…別れるか」いざ口に出すと重いもんだ。即座に「やっぱ別れたくない」と自分の言葉を否定した。ここで手放したら本当に終わってしまう気がするから。恥なんて捨ててやる。「もう少しだけ、お前の時間を俺にください」


💉「そう……じゃあ、私達の関係もここでお終いかな?」あっさりと受け入れた彼は淡々と終わりに向かう。長い睫毛は彼の瞳に影を作り気持ちを隠した。彼女の顔もまた影となり、彼の方からはあまり見えていない。「……答えは?」欲しくない答えを促すなんて、どうかしていると虚空を見つめる彼。言葉にできない“好き”の気持ち。彼女も彼女で述べたくもない返事を探す。終えたいわけではないのに、終えるしかないのかと。「ひとつ、聞いてもいいかな?……私のこと………嫌いになってしまった…?」まあ、そうだから断られたのだろうけれど。だが彼女は彼の予想とは裏腹に“好き”の気持ちを述べた。「だったら…」終わる必要はないのかと彼の脳裏をよぎる。「まだ、好き?」拒みはしないその唇をそっと塞ぎ、今暫くの共生を良しとした。

🍸「あー……うん、オッケー。こういう事もあるよね、うんうん。あるある」取り繕ったような痛い笑顔の彼は茫然自失といった様子で状況を理解していないようだ。「そんで今日の夕飯なんだけど」などと、何事も無かったかのように淡々と会話を続ける。名前を呼び制止すれば「別れるとかヤだかんね」とだけ。そうは言っていないしそんなつもりもないのだけれど。「…俺っちがホストだから?」唐突に切り出したのはプロポーズを断った理由についてだろう。それは理由ではないし、そもそも明確な理由などはないのだ。“なんとなく”、それが答え。真摯に向き合ってくれている彼に対しなんとなくで断るのは忍びないが、なんとなくで受け入れるのもまた違う気がした。「そっか……じゃあ、○○ちゃんからプロポーズされんの待ってたらいい?」前向きなのか、重いのか、絆されているので判断が難しい。

👔「お前の為なら仕事だって辞められる!……いやそれじゃ本末転倒なんだけど、さ…」仕事を辞めたら養えないどころか、自身が食べていくことすらままならない。「……なんで?」金銭的な理由でも社畜的な理由でもないなら“愛想が尽きた”それだけだ。それをわかっていて敢えて“なんで”と聞いてしまうなど、遂にマゾヒズムに目覚めたか。彼女はまた好きだとか、ごめんだとか、プロポーズを断ったとは思えない、引き留めるような言葉を並べた。「…まだ俺のこと好きなの?俺は……好き、大好き」結婚したいくらいに。いいのかな、と思いつつ二の腕を抑え付けるようにして唇を奪う。「大好きだよ、愛してる…」チープな、ありきたりな言葉しか吐けないけれど、何処の誰よりも愛しているのに。愛し合っているはずなのに。それでも結ばれないなんて、この世はやっぱり不条理だ。

コメント

コメントを受け付けていません。