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#hpmiプラスまとめ(201811)

片想い/アプローチ

2018/11/06 17:10

1️⃣共通の趣味はない。過去のように力任せに落とすわけにもいかない。明日は漸く漕ぎ着けたデートの日。「どうすっかなぁ…」ベンチに腰掛け虚空に呟く。結局頼ったのはネットの知識。定番のデートコースを巡り、もうすぐお別れ。正直言って進展はなかった。「……今日、ありがとな」紡がれたのは意に反して哀しげな声色。そっと指に触れたが、やはりこの先は望めないだろう。だが、言わずにもいられない。「もう少し一緒にいたいんだけど、ダメ?」ここから先は、嘘偽りの無い真っ向勝負。

2️⃣呼ばれてもいないのに教室に会いに行く。面倒なだけだった学校は少しだけ楽しくなった。「今度の日曜どっか行かね?」自然な流れで誘えた筈だ。だが彼女は数名で行くものだと思い込んでいる。「そうじゃなくて」と言えば2人で?と揶揄うように返され赤面する。「悪りぃかよ。お前と2人で出掛けたい」堂々と返せば今度は彼女が赤面した。まあいいけどという上から目線な返しには少々引っ掛かりを感じだが、重要なのは当日だ。「んじゃ…楽しみにしてるから」緩む頬をヒクつかせながら、廊下に出てから口元を押さえた。

3️⃣朝の挨拶を交わすだけの“近所の男の子”。そのポジションから抜け出すことが先決だ。相手は年上。確実に相手にされていない。「おはようございます」今日もまた、挨拶を交わすだけ。そうして何日が過ぎただろう。今日こそ、今日こそはと日々は過ぎ行く。いよいよ我慢も限界だ。明日こそは連絡先を聞く、そう誓い床に就いた。翌朝、いつもより少し早く家を出て彼女を待つ。少し驚いた顔で挨拶を述べてくれた彼女に思い切って告げた。「あっ、あの…連絡先、教えて下さい……あ、おはよう…ございます」


🐴力尽くで奪う他知らない。それが間違いだとわかっていても、他のやり方など検討もつかなかった。そも、女に困ったことはなかったから、口説き方などよくわからないのだが。寄ってくる女共と都合の良いように遊んできたツケが回ったかと自嘲気味な思考が巡る。無理矢理漕ぎ着けた約束、彼女はきっと楽しんではくれなかっただろう。好いてくれてもいないだろう。そうとわかっていながら唇を奪い、言った「……今はまだ…ダチでも知り合いでも構わねぇ」。“ぜってぇ落とす”物騒な言葉を控えたのは成長か。

🐰必要な時に抱き、必要な時に抱かれる関係。後腐れなく心地が良い。身体だけで満足していたはずなのに、いつしか心までもを求めていた。気付いてしまえば歯止めは効かない。幼稚な戯れの途中、思わず述べた“愛してる”の言葉。見開かれた瞳と目が合った。「あ…いや……すまない」これを言ってしまっては、この関係は終わるのではないだろうか。脳裏を掠める嫌な予感。けれど彼女は否定も肯定もせず唇を重ねた。この後の行為もきっと、滞りなく続いていく。柄にもなく、期待してしまうほどに。

🐦名前も知らなかったはずの相手。一晩だけの関係。薄々そう思っていたが、どうにもそうはいかないらしい。何せ、自身が彼女を求めてしまっているのだから。「出会ったばかりでこんなこと…迷惑かもしれないが……小官に、貴女の事を幸せにさせてほしい」自分の何を知っているのかと、一度抱いたくらいで何を言っているのかと、鼻で笑いながら出されたコーヒー。無駄に苦く、喉に染みた。「念の為言っておくが、頷くまで引き下がりはしないぞ」


🍭距離を置きたいと言われはしたけれど、彼は一向に引く気はない。だってまだまだ遊び足りないのだもの。「ねー、これ○○ちゃんに似合うと思うんだけど!」まずはお姉さんという呼び方をやめた。次に貢がれる側をやめた。けれど彼女は靡かない。「……僕のこと嫌いになっちゃった?」元より気持ちなど無い関係だというのに、これを聞くのは反則か。けれど予想外にも、帰ってきたのは“好き”という言葉。ならば尚更納得出来ない。「じゃあいいじゃん」“このまま一緒にいてよ”言えない想いの代わりに袖を掴んだ。

📚脳裏に浮かんでは消える女性、此れが想いを寄せるというものなのだとは薄々気付いていた。「嗚呼やだやだ」思考を掻き消すように呟き、言葉とは反対に意中の女性の元へと足を運ぶ。如何にも偶々会ったことを装い「奇遇ですね」などと述べた。茶屋の店員に向かって奇遇とは、気の利かない台詞にも程がある。何せ、いるとわかっていて来ているのだから。いい加減“奇遇ですね”以外の言葉を告げられるようにならなければ。奇遇さんなどと不名誉な渾名で呼ばれては堪らない。「お気付きでしょうが、貴女に会いに来ております」仰々しいお辞儀を添えて。

🎲またもやたかってしまったと自己嫌悪を繰り返しながら眠りに就く。目覚めればきっとこの想いは消えているだろう。けれど、予想とは裏腹に朝になっても気持ちは燻り続けていた。横を向けば愛しの女性。触りたい、愛したい、朝から渦巻く後ろめたい気持ち。頬に触れるだけで留めた己を褒め称えた。目覚めた彼女に朝の挨拶を告げる。鼓動は伝わってしまう程に煩い。「……なあ、幸せに感じてんのって俺だけ?」ぼんやりとした顔で彼女は肯定した。そういえばこの女、朝は人一倍弱かったっけ。


💉食事をして、その日はそれで別れた。急ぎすぎてはいけない。小まめに連絡のやり取りを交わし、休みが合えば約束を取り付ける。「せっかくの休みなのに、ありがとうね」所謂あざといと言われてしまうかもしれない言葉も平気で吐いた。デートにはありきたりな場所へと足を運んだが、彼の手…というか口にかかればきっと、どんな場所であろうと女性を口説き落とすことは容易だろう。何度か果たした逢瀬の末に家へと招く。空気は整った。「……明日は仕事、何時から?」

🍸少しずつ距離を詰め、最近ではテーブルを挟んでの会話がこなせるようになった。もし隣に並んで話せるようになったら?鈍感な彼女はきっと“もしかして克服出来たんじゃない?!”などと喜ぶかもしれない。彼からすれば、彼女だから大丈夫なのに。伝える術も、言葉も知らない。スーツを纏えばきっと答えを出せるのだろう、ありきたりな答えが。テーブルの向こう側の彼女に言う「俺っちね…こんな距離で話出来んの……○○ちゃんだけなんだよ?」真意は伝わるのだろうか。本人さえも気付かぬ真意は。

👔電車に揺られ、隣で爆睡する女性。色気など皆無といった様子で眠る様が清々しく、妙に心惹かれた。いつしか彼女は彼の肩を借りて眠るようになり、彼は彼で一方的な想いを募らせていく。合わさりそうな瞼を抉じ開けつつ、隣の彼女に掛けるべき言葉を必死に探る日々。まあ、その日は来ないのだろうけれどと小さな溜息をひとつ。電車はこんな時間に急停車。目を覚ました彼女はきょろきょろと辺りを見回している。「……あ、な、なんか…電車……止まった、みたいで」挙動不審感MAX。気まずい空気を裂くように彼女はいつもの礼を唐突に述べた。「い、いえ!寧ろ!き、気持ち悪い…ですよね……ごめんなさい」その様子を見て笑ってくれた彼女とは、今からやっとスタートを迎える。

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