#hpmiプラスまとめ
ホラーテイストな話。
2019/10/19 11:051️⃣事故物件に住んでる彼女。
「聞いてもいい?玄関にあった盛り塩は…」あっここ出るの、でも女の人の霊だから安心して〜と彼女は平然としている。「そういう問題か?!」大○てるで即確認。火のマークが何個も重なっていた。チラと彼女の顔を見遣り、「な、なぁ…家賃浮かせたいのが理由なら……うち来る?」と問う。同棲の口実にもなるし。けれど彼女が返事をする前に、晴天にも関わらず窓ガラスが物凄い音を立てて揺れた。彼女はまたも平然として、あ○○ちゃん怒ってるみたい、などと言っている。「……え?」もしかして俺の彼女、ヤバい奴?と思いながらもオタク的には気になる展開。俺もここに住んだら…と考えたが窓が揺れるのでやめた。
2️⃣きさらぎ駅。
「はぁ?!お前それ…あの有名なやつじゃん」電話口で唖然。確かに、心なしか音声がザラザラしている気がする。ネットの知識に基づいて指示。絶対に助けたい。電池切れそうだから、と通話を終えてからも心配で堪らない。不覚にも眠気が襲う25時。玄関のチャイムが鳴り響く。駆け寄りドアを開くと愛しの彼女。「だ、大丈夫だったの?!」ガバッと抱き着き自分の心臓を落ち着かせる。あー、なんか来た電車に乗ったら帰って来れて、とヘラヘラ笑うこの女は、本当に彼女なのだろうか。「なあ…俺があげたアクキー…いつもカバンに付けてなかったっけ?」
3️⃣夜の学校。
「忘れ物なんて明日でいいじゃないですか」文句を言いつつも彼女に付き添い校内へ。教師の許可を得て入ったとはいえ、生徒の帰宅した校内は酷く静かで薄気味悪い。一人で行かせなくて良かったと思う反面、明日にすべきだったとも思う。「手…繋ぎますか?」汗ばむ手のひらを密かにズボンで拭き、ぎゅっと握り締める。不自然なほど冷んやりとした指先。違和感と同時に電話が鳴る。恐る恐る画面を見ると、隣に居るはずの彼女の名が。「……貴女、誰ですか」声を振り絞ると同時に手を振りほどき玄関へダッシュ。後ろからの気配はすぐそこだ。外へ出て電話に出ると、電話口から聞こえたのは『あと少しだったのに』という低い声だった。
🐴ループ夢を見る。
寝ても覚めても、幼少期に住んでいた家。何度も何度も目覚める。時にはあの場には居ないはずの彼女が居り死ぬことさえあり、疲れの取れない日々が続く。隈凄いけど、ちゃんと寝てる?久々に会った彼女には顔を合わせるなり心配される始末。意を決して打ち明けると、今日は泊まると言い出す。「そういうの信じてるわけじゃねぇけどよ…霊的なものだったらお前にも影響あるかも……だし…」やめておけ、が出て来ない。だって、誰かと一緒にいると安らぐから。こんなにも弱くなったのか?という苛立ちよりも安らぎを選び、その日は数日ぶりによく眠った。「なぁ…しばらく俺ん家に、さ」返事の代わりに口付けを。ここが元の世界だという確証はないけれど。
🐰ポルターガイスト。
「ハァ?!食器が飛ぶってお前…冗談やめろよな……」彼は溜息を吐きビールの缶を開けた。「心霊現象とか幾つだよ」ビールを一口。けれど彼女は真剣に、そんなもの信じていなくても実際に飛ぶのだと言い、割れた実物を見せられた。表情、証拠、相手。これでは信じる他ない。実害がないとはいえ不安なので泊まることに。カタカタと小さな音から始まり、その音は大きくなる。彼女の言う通り飛ぶ食器。しかし有ろう事か「ッブネェなクソ!!!」という彼の大声で一旦静かに。けれど数分後に再び始まるポルターガイスト。「ったくキリがねぇな。おい、お前もうここ引き払え。あ?行く宛がない?何ふざけた事言ってんだ。うちに来たらいいだろうが」
🐦髪の伸びる人形を拾う。
テントにそっと置かれた不釣合いな日本人形。なんでも、草むらに投棄されていたのだという。拾ってしまう心の広さというか、無用心さというか、そんなところが彼らしい。「最近髪が伸びるんだ」そう言いながら器用に髪を切る姿を見るまでは。流石に、面倒見が良いにも程がある。そんな品を置いておいて平気なのかと問うても「問題はない」の一言。日に日に髪の伸びるスピードは早まり、毎日のように丁重に手入れをしているそうだ。ねえ、私よりその子の方が可愛がられてない?なんて幼稚な質問をせざるを得ない程に。「なんだ?ヤキモチか?」優しげに微笑む口許はいつも通りだ。けれど人形の手入れをする彼の目は虚ろで、不自然な笑みが浮かんでいる。早く、何とかしなければ。
🍭見えちゃう系。
昔から度々、所謂“見えてしまう”彼女。人混みでは気にならないけれど、流石に家で出てこられては肝を冷やす。お家デートで映画鑑賞中、テレビ脇に現れたソレ。画面ではなくそちらに視線が泳いでしまう。「どうかした?」彼は腕にもたれかかっていた身体を起こし、彼女の顔を覗き込む。何も、と言った表情からわかるほどに様子がおかしい。「もしかして何か見えてる?ちょいちょいそういう雰囲気あるなーって思ってたんだよねー」事も無さげに言うけれど、これで何度か振られてきた彼女にとっては大問題。何も、と再び答える。「嘘は良くないよー?いるよね、テレビの脇。僕もたまに見えちゃうんだ」指を絡めながら告げられたその言葉は、嘘か誠かわからない。ても、安心を得るには十分だった。
📚百物語。
本当にやるの?!その呼び掛けを他所に彼は淡々と物語を語り始める。ふっと火を吹き消して一言「やるわけないでしょう。蝋燭だって10本もないというのに」。まあそうだよね、と一安心。それにこの場には2人しかいないし、奇数でもないし。過去に百物語をやった際に喚び出してしまった何かはもうとっくに居なくなったはずだし。語り部は彼一人。やるわけないと言ったくせに、消した蝋燭に再び火を灯しては何遍も語る。そろそろやめよう、と掴んだ手は酷く冷たい。怪しい灯りに照らされた彼が顔を上げ「貴女がそんなに怖がりだとは知りませんでした。では終わりにしましょうか」。灯りのない、常闇を孕んだ瞳がニヤリと嗤う。
🎲憑いて来ちゃった。
「最近さー、なんか肩が重いんだよなー」ラジカセが重いんじゃない?と彼女。「そんな貧弱じゃねぇっつーの!」それに、重いと摩る肩はそれを担ぐのとは逆ではないか。以降、彼の周りで不可解な事が多数起きた。悉くギャンブルに勝つのだ。彼といえば定期的に身包み剥がされ素寒貧…のはずが、当たって当たって当たりまくる。思い返してみると、それは肩が重いと言っていたあの頃からではないだろうか。けれど、イキイキだとか人間らしさだとか、そういったものからはかけ離れた姿にも見えた。「……なんか、スリルがねぇんだよな」という、ふとした一言だった。それ以降、彼はまた負け始めたのだ。無駄遣いをしないに越したことはないけれど、素寒貧だと嘆く彼の方が彼らしく、好きなような気がする。
💉病院内で。
「届け物なんて頼んでしまってゴメンね、気を付けて帰るんだよ」誰も居ないのを見計らい彼はキスをした。職場でキスなんてスリリングなものだ。じゃあ、と診察室を後にする。しかし後にしたはずの診察室に何度も戻って来てしまう。階段は下りてしかいないというのに。ゾッとしてドアを開け助けを求めると「またか」というまさかの一言。なんでも、最近この階では不可思議な現象が多発するらしい。病室の無い階だというのに深夜に点滴スタンドを転がす音がしたり、誰も居ないはずの診察室からドアを叩く音が聞こえたり。「外まで送るよ」そう言って共に歩き出したものの、一向に外には辿り着かない。「○○さん?!こんな所でどうしたの!」後ろから肩を掴まれ振り返ると、隣に居たはずの彼が驚いた顔で見つめていた。なにせ、足元には先程までは無かったはずの下り階段が広がっているのだから。
🍸女性の生き霊。
帰り際、「俺っち実はさー、見えるんだよね」と彼。何言ってんのもー、と彼女は笑い飛ばしたが、彼は至って真剣な顔。袖を掴んで離さない。「今日…今から○○ちゃんの家、行ってもいい?えと……その…泊めてほしくて」よく見ればクマが酷い。彼の同居人にはきっと負けるけれど。彼女の家に着いて程なくして、安心したのかソファで眠ってしまう。起きてから事情を尋ねると、眠ろうとすると女の人の霊が現れるのだとか。聞けばそれはお客さんの風貌をしているそうだ。生き霊は持ち主の無意識下の場合もあり、時として亡霊よりもタチが悪い。けれど、彼女の家であれば現れないということは対処は出来る。「俺っち、しばらくここに住んでもいい?」つまり、断れるわけがない。
👔深夜の帰り道。
二人とも帰りが遅く、駅から彼の家へ向かうことに。一人ならば通りたくないような薄暗い道も、彼とであれば安心だ。けれど、背後から響くヒタヒタという不気味な足音には冷や汗が流れる。ねぇ、と切り出した言葉を遮るように「あー、うん、飯何にしようかー!アハハ!」と彼は不自然な程に明るい声と表情で脈絡のない返答。同じく、気付いているのだ。無意識に手を繋ぎ身を寄せ合う。小さな声で、どうする?と問えば「逃げるしかないだろ」と当然の答えが。「次の角曲がるから、走るぞ」汗ばむ手に力が込められ意を決する。角に差し掛かると同時にダッシュ。足音は追いかけて来る。大通りに差し掛かり振り向くも何も居ない。ゼェゼェ言いながら息を整え「なんだよアレ…なんなんだよ……お前、大丈夫か?何ともないか?」後から聞いた話では、薄暗い道に差し掛かったスグの場所で既に、彼女のすぐ後ろに別の何かが居たのだとか。
「聞いてもいい?玄関にあった盛り塩は…」あっここ出るの、でも女の人の霊だから安心して〜と彼女は平然としている。「そういう問題か?!」大○てるで即確認。火のマークが何個も重なっていた。チラと彼女の顔を見遣り、「な、なぁ…家賃浮かせたいのが理由なら……うち来る?」と問う。同棲の口実にもなるし。けれど彼女が返事をする前に、晴天にも関わらず窓ガラスが物凄い音を立てて揺れた。彼女はまたも平然として、あ○○ちゃん怒ってるみたい、などと言っている。「……え?」もしかして俺の彼女、ヤバい奴?と思いながらもオタク的には気になる展開。俺もここに住んだら…と考えたが窓が揺れるのでやめた。
2️⃣きさらぎ駅。
「はぁ?!お前それ…あの有名なやつじゃん」電話口で唖然。確かに、心なしか音声がザラザラしている気がする。ネットの知識に基づいて指示。絶対に助けたい。電池切れそうだから、と通話を終えてからも心配で堪らない。不覚にも眠気が襲う25時。玄関のチャイムが鳴り響く。駆け寄りドアを開くと愛しの彼女。「だ、大丈夫だったの?!」ガバッと抱き着き自分の心臓を落ち着かせる。あー、なんか来た電車に乗ったら帰って来れて、とヘラヘラ笑うこの女は、本当に彼女なのだろうか。「なあ…俺があげたアクキー…いつもカバンに付けてなかったっけ?」
3️⃣夜の学校。
「忘れ物なんて明日でいいじゃないですか」文句を言いつつも彼女に付き添い校内へ。教師の許可を得て入ったとはいえ、生徒の帰宅した校内は酷く静かで薄気味悪い。一人で行かせなくて良かったと思う反面、明日にすべきだったとも思う。「手…繋ぎますか?」汗ばむ手のひらを密かにズボンで拭き、ぎゅっと握り締める。不自然なほど冷んやりとした指先。違和感と同時に電話が鳴る。恐る恐る画面を見ると、隣に居るはずの彼女の名が。「……貴女、誰ですか」声を振り絞ると同時に手を振りほどき玄関へダッシュ。後ろからの気配はすぐそこだ。外へ出て電話に出ると、電話口から聞こえたのは『あと少しだったのに』という低い声だった。
🐴ループ夢を見る。
寝ても覚めても、幼少期に住んでいた家。何度も何度も目覚める。時にはあの場には居ないはずの彼女が居り死ぬことさえあり、疲れの取れない日々が続く。隈凄いけど、ちゃんと寝てる?久々に会った彼女には顔を合わせるなり心配される始末。意を決して打ち明けると、今日は泊まると言い出す。「そういうの信じてるわけじゃねぇけどよ…霊的なものだったらお前にも影響あるかも……だし…」やめておけ、が出て来ない。だって、誰かと一緒にいると安らぐから。こんなにも弱くなったのか?という苛立ちよりも安らぎを選び、その日は数日ぶりによく眠った。「なぁ…しばらく俺ん家に、さ」返事の代わりに口付けを。ここが元の世界だという確証はないけれど。
🐰ポルターガイスト。
「ハァ?!食器が飛ぶってお前…冗談やめろよな……」彼は溜息を吐きビールの缶を開けた。「心霊現象とか幾つだよ」ビールを一口。けれど彼女は真剣に、そんなもの信じていなくても実際に飛ぶのだと言い、割れた実物を見せられた。表情、証拠、相手。これでは信じる他ない。実害がないとはいえ不安なので泊まることに。カタカタと小さな音から始まり、その音は大きくなる。彼女の言う通り飛ぶ食器。しかし有ろう事か「ッブネェなクソ!!!」という彼の大声で一旦静かに。けれど数分後に再び始まるポルターガイスト。「ったくキリがねぇな。おい、お前もうここ引き払え。あ?行く宛がない?何ふざけた事言ってんだ。うちに来たらいいだろうが」
🐦髪の伸びる人形を拾う。
テントにそっと置かれた不釣合いな日本人形。なんでも、草むらに投棄されていたのだという。拾ってしまう心の広さというか、無用心さというか、そんなところが彼らしい。「最近髪が伸びるんだ」そう言いながら器用に髪を切る姿を見るまでは。流石に、面倒見が良いにも程がある。そんな品を置いておいて平気なのかと問うても「問題はない」の一言。日に日に髪の伸びるスピードは早まり、毎日のように丁重に手入れをしているそうだ。ねえ、私よりその子の方が可愛がられてない?なんて幼稚な質問をせざるを得ない程に。「なんだ?ヤキモチか?」優しげに微笑む口許はいつも通りだ。けれど人形の手入れをする彼の目は虚ろで、不自然な笑みが浮かんでいる。早く、何とかしなければ。
🍭見えちゃう系。
昔から度々、所謂“見えてしまう”彼女。人混みでは気にならないけれど、流石に家で出てこられては肝を冷やす。お家デートで映画鑑賞中、テレビ脇に現れたソレ。画面ではなくそちらに視線が泳いでしまう。「どうかした?」彼は腕にもたれかかっていた身体を起こし、彼女の顔を覗き込む。何も、と言った表情からわかるほどに様子がおかしい。「もしかして何か見えてる?ちょいちょいそういう雰囲気あるなーって思ってたんだよねー」事も無さげに言うけれど、これで何度か振られてきた彼女にとっては大問題。何も、と再び答える。「嘘は良くないよー?いるよね、テレビの脇。僕もたまに見えちゃうんだ」指を絡めながら告げられたその言葉は、嘘か誠かわからない。ても、安心を得るには十分だった。
📚百物語。
本当にやるの?!その呼び掛けを他所に彼は淡々と物語を語り始める。ふっと火を吹き消して一言「やるわけないでしょう。蝋燭だって10本もないというのに」。まあそうだよね、と一安心。それにこの場には2人しかいないし、奇数でもないし。過去に百物語をやった際に喚び出してしまった何かはもうとっくに居なくなったはずだし。語り部は彼一人。やるわけないと言ったくせに、消した蝋燭に再び火を灯しては何遍も語る。そろそろやめよう、と掴んだ手は酷く冷たい。怪しい灯りに照らされた彼が顔を上げ「貴女がそんなに怖がりだとは知りませんでした。では終わりにしましょうか」。灯りのない、常闇を孕んだ瞳がニヤリと嗤う。
🎲憑いて来ちゃった。
「最近さー、なんか肩が重いんだよなー」ラジカセが重いんじゃない?と彼女。「そんな貧弱じゃねぇっつーの!」それに、重いと摩る肩はそれを担ぐのとは逆ではないか。以降、彼の周りで不可解な事が多数起きた。悉くギャンブルに勝つのだ。彼といえば定期的に身包み剥がされ素寒貧…のはずが、当たって当たって当たりまくる。思い返してみると、それは肩が重いと言っていたあの頃からではないだろうか。けれど、イキイキだとか人間らしさだとか、そういったものからはかけ離れた姿にも見えた。「……なんか、スリルがねぇんだよな」という、ふとした一言だった。それ以降、彼はまた負け始めたのだ。無駄遣いをしないに越したことはないけれど、素寒貧だと嘆く彼の方が彼らしく、好きなような気がする。
💉病院内で。
「届け物なんて頼んでしまってゴメンね、気を付けて帰るんだよ」誰も居ないのを見計らい彼はキスをした。職場でキスなんてスリリングなものだ。じゃあ、と診察室を後にする。しかし後にしたはずの診察室に何度も戻って来てしまう。階段は下りてしかいないというのに。ゾッとしてドアを開け助けを求めると「またか」というまさかの一言。なんでも、最近この階では不可思議な現象が多発するらしい。病室の無い階だというのに深夜に点滴スタンドを転がす音がしたり、誰も居ないはずの診察室からドアを叩く音が聞こえたり。「外まで送るよ」そう言って共に歩き出したものの、一向に外には辿り着かない。「○○さん?!こんな所でどうしたの!」後ろから肩を掴まれ振り返ると、隣に居たはずの彼が驚いた顔で見つめていた。なにせ、足元には先程までは無かったはずの下り階段が広がっているのだから。
🍸女性の生き霊。
帰り際、「俺っち実はさー、見えるんだよね」と彼。何言ってんのもー、と彼女は笑い飛ばしたが、彼は至って真剣な顔。袖を掴んで離さない。「今日…今から○○ちゃんの家、行ってもいい?えと……その…泊めてほしくて」よく見ればクマが酷い。彼の同居人にはきっと負けるけれど。彼女の家に着いて程なくして、安心したのかソファで眠ってしまう。起きてから事情を尋ねると、眠ろうとすると女の人の霊が現れるのだとか。聞けばそれはお客さんの風貌をしているそうだ。生き霊は持ち主の無意識下の場合もあり、時として亡霊よりもタチが悪い。けれど、彼女の家であれば現れないということは対処は出来る。「俺っち、しばらくここに住んでもいい?」つまり、断れるわけがない。
👔深夜の帰り道。
二人とも帰りが遅く、駅から彼の家へ向かうことに。一人ならば通りたくないような薄暗い道も、彼とであれば安心だ。けれど、背後から響くヒタヒタという不気味な足音には冷や汗が流れる。ねぇ、と切り出した言葉を遮るように「あー、うん、飯何にしようかー!アハハ!」と彼は不自然な程に明るい声と表情で脈絡のない返答。同じく、気付いているのだ。無意識に手を繋ぎ身を寄せ合う。小さな声で、どうする?と問えば「逃げるしかないだろ」と当然の答えが。「次の角曲がるから、走るぞ」汗ばむ手に力が込められ意を決する。角に差し掛かると同時にダッシュ。足音は追いかけて来る。大通りに差し掛かり振り向くも何も居ない。ゼェゼェ言いながら息を整え「なんだよアレ…なんなんだよ……お前、大丈夫か?何ともないか?」後から聞いた話では、薄暗い道に差し掛かったスグの場所で既に、彼女のすぐ後ろに別の何かが居たのだとか。