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#hpmiプラスまとめ

街で声を掛けた相手が彼女だった

2019/03/02 13:05
1️⃣「今暇っすかー?って○○じゃん!お疲れ!仕事は?休憩中?ちょっとアンケート頼みたいんだけど!」ナンパではなく仕事。とはいえ彼女は居心地が悪い。こうして何人の女の子達と言葉を交わすのだろう。中には彼のファンの一人や二人、必ず居るはずだ。帰宅後、あの手の依頼は引き受けないでほしいと彼女はつい、拗ねてしまう。彼は腕の中に収め甘い声を出してみる。「しょーがねえだろ?金良かったし。それより妬いてんの?仕方ねーなぁ」頬擦りしてキスをした。彼女はまだ拗ねたまま。「許して?もう引き受けない……たぶん」たぶん?と聞き返され、苦笑いを浮かべて唇を塞いだ。

2️⃣「お姉さーん、このあと暇っすか?」目を見合わせて思考停止。「あー……いや〜奇遇だね、うん。あっこれアレだからアレ、罰ゲーム」へぇ?といった様子の冷たい笑顔。夕方彼女の家を訪ねると、罰ゲームの成果はどうだった?と先と同じような笑顔で彼女に問われた。「○○ちゃん以外には声掛けてねーよ…マジで。マジだって!」必死な様子が愛らしく、つい、小さなな笑みを零す。彼はバツが悪そうに腕を伸ばし、彼女を優しく抱き締めた。「ったりめーだろ。俺には○○ちゃんだけだし…」。胸元に頭を寄せる彼の顔は見えないが、耳は真っ赤に染まっている。離れないよう、強く抱き締めた。

3️⃣「すみませ……って○○ちゃん!あ、お茶でもどうです?」平然と続けるベタなナンパ。何をしているのか問われ、「え?ナンパですけど?」と引き続き平然。お茶ならうちでと彼女は家に招く。家に着くなり彼女は泣く、喚く、泣く、叩く、泣く。女の子って面倒だな、と彼の頭を過ぎったが流石にこればかりは自身が悪い。「ごめんなさい。○○ちゃんだってわかってて声掛けました」彼女は当然信じない。「じゃあ、別れますか?」好きだけど、やっぱり面倒だ。もっと有意義な時間の使い方は沢山ある。それは嫌だと言って聞かない彼女は、彼にしがみ付き涙を零した。口には出せない『ごめん』と『やっぱ好き』。天の邪鬼は生きづらい。



🐴「おい、そこの……ってお前こんなとこで何してんだ」咥えタバコで近寄ってくるガラの悪い人物に身構えたが、それは自身の恋人。「これは…その……仕事だ仕事」どんな仕事なのかは聞かないでおいた。彼の仕事に踏み込んではならない。それがまた彼女の哀しみを倍増させる。「ほら」ベンチに腰掛け、温かい飲み物を手渡された。両手でぎゅっと握り締め、気まずい無言の空気に耐える。「……その…悪かった」と漸く彼が口を開く。やはり、詳細は言えないらしい。そんな時の答えは決まって『いいよ、大丈夫、気にしてない』のどれかだ。彼はそれをキスで遮った。「無理すんな。わがまま言え。俺様にだって怒っていいんだ」妙に優しいその声色に、堪えていた涙は堰を切った。

🐰「ちょっとよろしいですか?……って…おやおや、○○さんじゃないですか。こんなところで何を?」作られた笑顔が冷ややかに彼女を見つめる。何も悪いことはしていないはずだか、何かが彼の逆鱗に触れたらしい。彼女とてナンパ紛いの声掛けをしている彼に腹を立てていた。笑顔の二人は無言で攻防。先に口を開いたのは彼、「こんな遅い時間までウロチョロしてんじゃねぇ」。“こんな”などと言うがまだ20時前。過保護にも程がある。けれど眉間に刻まれた皺と歪んだ口元から本心であると察し、彼女は潔く帰宅した。数時間後に彼も帰宅。ドアが開くと同時に笑顔を作りお出迎え。彼のことは“おまわりさん”と呼んでやった。「あ〜…部屋を間違えたようです」捕まえて、キスをして。悪徳警官の逃げ場を奪った。「……上手くなったじゃねぇか。誰に教えてもらったんだ?」口角を上げている、其処の貴方に。

🐦「すまない、道を尋ねたいのだが」の声に足を止めると同時に驚く彼。「○○……!」名前を呼び目を丸くする様は実に愛おしかった。話を聞けば本当に道に迷っていたらしく彼女と目的地まで一緒に。まさかあれはナンパじゃないよね〜?と笑顔で問う彼女。「どうだろうな」の返答に腹を立てる。握っていた手を思いきり掴んだが厚い手のひらはビクともしない。だが力を込めたことは伝わったらしい。「今のは揶揄っただけだ」はにかみながら彼は続ける。「○○に声を掛けたのは……………そう、運命だろう」そんな、まるでロマンチストのような台詞を吐く人であったかと我が目を疑う彼女。だが紅く染まっている頬を目にし不問とした。


🍭「おねーさん!僕とあーそぼ!」聞き慣れた声に振り向くと「えー!○○じゃん!僕とあーそぼっ♪」と、名前を呼び仕切り直し。ナンパはやめてほしいと何度も言っていたからこそ、彼女は悲しみと怒りを募らせる。遊ばないと一言残し、彼を置いてその場を去った。後ろから駆けてくる彼は「○○が可愛いのが悪くなーい?」などと反省してない様子だ。ある意味彼のルーティーンで、習性で、それこそが彼なのだから…といくら言い聞かせてもイヤなものはイヤなのだ。考えれば考えるほど目には涙が浮かぶ。彼女の心は苦しくなる。「……わーん!ゴメーンね?みんなのアイドルだから声掛けちゃうの〜!でも大好きなのは○○だけだよ?ね?信じて?」何度も絆された台詞に、また。

📚「そこのお嬢さん、小生とお茶でもいかがです?」聞き覚えのある作り声に足を止め、品定めをするように彼の瞳を見つめた。「えっあっ○○さん…!こ、これは……嘘!そう!嘘ですよ?!」嘘って何が?と笑顔を浮かべた彼女はぎゅっと手を掴む。「あ、あはは…」苦笑いとはこういった際に浮かべるのだと彼は実感した。家に帰るなり正座をさせられ問われる、ナンパしてたの?小説家のお兄さん?。ニッコリ笑う彼女に対し、「息抜きです」と彼は平然と開き直った。その言葉と同時に握られた彼女の拳。これはやばい、そう察した彼は彼女を抱きしめる。「でも……貴女に優しくしてもらうのが一番の息抜きになります」。モヤモヤは収まらないがそう強請られてはつい甘やかしてしまう。そして彼が見知らぬ女に気安く声をかけるなどそれこそ“嘘”だろう。つまり、これは最早予定調和。貴女の気を引く為なら何だって。

🎲「あっお姉さーん!今夜泊めてくんね?…んぁ?おー、お前か!なぁ、今夜泊めて?」泊めてくれるなら誰でもいいのは知っていたが、付き合っている相手に対してその言い草はあんまりだ。彼女の胸中に湧き上がる“本当に付き合っているのか”という疑問。そればかりが脳内を占拠し終始うわの空。ただただ悲しみが募っていく。彼女の元気が無い様子に気付き、「もしかして怒ってるる?」と彼は問う。別にという短い返事。「嫉妬するくらいならさ、いい加減、俺のこと彼氏にしちまおうぜ?なっ!」湧き上がる疑問符。はたと足を止め過去を振り返る。たしかに、告白していないし告白されてもいない。恋人であると錯覚するような日々を過ごしていただけで。ばか、と小さく呟いたのちYESの返答をした。


💉「そこの方、少しよろしいですか?」え、先生?こんなところで珍しいですね!と彼女は驚き笑顔を咲かす。彼はすかさず苦笑い、「こういう時は怒らなくちゃ。ナンパしてたんですか?って」。そういう人ではないとわかっているから…と余裕、年下の彼女。たまには嫉妬心を向けられたかった、やや余裕のない年上の彼。そして思わず口にする「たまには嫉妬する君が見てみたいのだけれど………難しいみたいだね」。看護師さんに囲まれて、患者さんからも好かれていて、美しく聡明な貴方に嫌われないために嫉妬心を隠しているなんて、彼女は口が裂けても言えはしない。「ねぇ、どうしたらもっと私だけを見据えてくれる?」それ以上近付かれたなら、貴方すら見えなくなってしまう。

🥂→🍸「やぁ、子猫ちゃん。もし暇を持て余しているのなら君の美しさに……て、あれ?○○ちゃん?○○ちゃんじゃないか!」手を取って喜ぶ彼。スーツON時に外で会うことなど初めてで驚いた。それと同時に彼女の胸中はモヤモヤでいっぱいに。だがこれから仕事に向かう彼のモチベーションを下げるわけにはいかない。「またね」と手を振る彼を笑顔で見送った。意味はないが彼とゆっくり話がしたい。そう思い朝と彼を待つ。電気が付いたままの部屋に急ぎ足で帰宅した彼はスーツを脱ぎながら言う。「あんなとこに一人で居たら危ないじゃん!俺っちじゃない男に声掛けられてもゼッッッッッッッタイに着いて行かないでね?」握られた手は温かく、目に浮かぶ涙に気付き醜い靄は姿を消した。「つかなんで起きてんの?俺っちに会いたかった?も〜!好き!」

👔「…あの!ハンカチ落としましたよ!」ありがとうございます、と振り向き互いに吃驚。「……違うからな?今のはナンパとかじゃないから……ほんっとに違うから」何かを言われる前に弁明。冷や汗が彼の額を伝う。彼女は彼女でやっぱり優しい人だとか、この人を選んで良かっただとか、そういうことを考えているのにこの様子では到底口には出せない。「あっじゃあ……俺…仕事戻る、から……今日!は、早く帰る…から、待ってて?」歯切れ悪く約束を取り付けた彼は足早に去っていった。夜、帰宅した彼の手にはケーキ屋の紙袋が。「つまらない物ですが…」と差し出された。怒ってもいないし、ナンパだったとも思っていない。ただ、ハンカチ拾って必死に声を掛けるこの人に惚れる女はいるかもしれない。そこは念の為注意したい。「俺にはお前だけ、だよ」

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