DX1~熱闘編~
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千晶と羽京のふたりは、司帝国内で密かに、その機を窺っていた。
司帝国を内部崩壊させる千載一遇の時を。
しかしまだ、実行に移すまでの確固たるモノが揃わない。
情報が、少なすぎる。
・千空が本当に生きていたらしい
・三千年間途絶えなかった現地民コミュニティがあるらしい
・千空は現地民と協力関係にあり、上等な武器を保有しているらしい
・千空の謀略によって、帝国から犠牲者が出たらしい……?
(千空が、目的のために人を殺す…?)
・視察に行ったはずのゲンが、千空側に寝返った、らしい
これらの偵察隊から得た情報は、司をはじめとする帝国メンバー全員の知るところとなっていた。
「やはり千晶くんを置いて正解だった。ゲンを失う可能性は無くはないと考えていたけど、まさか敵側につくとはね。」
しかし、これを上回る情報は特に無かった。
(千空なら、どうする……?)
旧時代で問題視されていた地球温暖化は、完全に過去のものとなっていた。
温室効果ガスはすっかりその割合を減らし、より一層厳しくなる冬の寒さが人々を襲う。
千晶のシミュレーションでは、過酷な道筋しかなかった。
「厳しい暑さよりも、厳しい寒さの方が、人間の生存率は、下がる。」
科学力をもたない司帝国は、無事に越冬することが喫緊の課題だった。
(誰一人、死なせやしない……!)
千晶は、"ギリギリ科学じゃない"と言い張って、秋口からの食糧保管と寒さ対策に、その先頭に立って奮闘していた。
(千空なら、どうする……?)
そうして、
無情にも時間だけが流れ、遂に、決戦直前、冬の終わりが見え始めていた。
そんな折。
羽京がクロムを捕らえた。
白旗を上げ、自ら囮となって捕らえられたと考えられるその少年を連れ、羽京は本陣へと戻る。
その道中、千晶がいた。
「羽京、その人は?」
「現地民の男の子。」
「現地民?!」
現地民のことは、視察メンバーから聞いていたものの、その実態は謎な部分が多い。千晶は目を輝かせ、その少年に話しかける。
「君の名は?」
「…クロム。」
「クロム…くん、でいいのかな。」
「…おう。」
「歳はいくつ? 現地民ってことは、箱根出身? てか箱根在住ってことだよね。今でも箱根は箱根っていうの? 共通言語は日本語? でも三千年も経ってるといくらか変化はしてるのかな? その服は毛皮?手織り? 普段何食べてるの? 住環境は? どんなとこに住ん…」
矢継ぎ早に質問しまくる千晶に、クロムは堪忍袋の緒が切れた。
「さっさと連れてけよ、その、司って奴のトコォ!!」
「……千晶。」
静かにその名を呼ぶ羽京の声には、どこか怒りが込められていた。
「…あ、れ?」
司帝国、本陣
「炎色反応!!」
目を輝かせて叫ぶクロムに、千晶はなんとなく自分と似た波長を感じ取った。
(…ああ、楽しいよね。うんうんわかる…。)
この時、千晶の脳裏に、かつて自宅で実験しボヤ騒ぎになった(そして父親にこっぴどく叱られた)苦~い思い出が甦っていた。
しかし、白ける司・氷月・羽京の表情を横目で確認し、千晶はこの純粋科学少年へのフォローを躊躇った。
(でも、TPOが、最悪……。)
千晶がうずうずしてるんだろうなってことを、隣の羽京はなんとなく察していた。
司らの前で大見栄をきったクロムは、滝につるされる羽目に。
その拷問とも処刑ともとれる無慈悲な現場に千晶も同行、小声で羽京に話しかける。
「ねえ羽京、どう思う。」
「クロム君のこと?」
「彼の言ってること、どこまで本当なんだろう。」
「鵜呑みにしてないんだ?」
「バカなふりをしているだけという線も、あるいは。」
「千晶も、そう思う?」
「なんとか、引き出せないかな?!」
「シッ」
「千晶くん、何か言ったかい?」
司に聞き耳を立てられている?というより、千晶、ちょっと声が大きい。
「え、あ、聞き出せないかな、って。その子から、あちら側の話、なんとか聞き出せないかなー?って。情報が欲しいでしょ、少しでも多くの情報!」
「うん、僕もそう思うよ。クロム君にはいっぱい話してもらわないとね。うん。」
(チ・ア・キ…?)
(ゴメン……)
彼女がなんとなく危なっかしいことに薄々、いや大分、気が付いちゃう羽京であった。
「ハイ、では、さようなら。」
最後の最後まで口を割らない漢、クロムは、遂に氷月の手によって滝に落とされる。
「ああっ。」
最悪の結末、と絶望に千晶は両手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んでしまった。
と同時に、隣にいた羽京が矢を構えた。
〈ズドーンッ〉
「へ? (滝つぼに落ちる音では、ない? じゃ、何の音?)」
千晶は、予測と違う音に困惑した。
おそるおそる、覗き込んだその先には、何がどうなっているのか、命拾いしたクロムがそこにいた。
(※何が起こったかは原作を参照のこと)
「助…かったの?」
状況を整理しきれぬまま横を向くと、ニッコリ笑顔の羽京がいた。
(※まだ恋していない)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
え? 千晶ってもしかして、天然?
ま、まっさかあ。クイズ女王にして軍師ですよ、軍師。帝国の皆の命を救うブレーンですよ。そんなわけがあるわけ…あはは……。
司帝国を内部崩壊させる千載一遇の時を。
しかしまだ、実行に移すまでの確固たるモノが揃わない。
情報が、少なすぎる。
・千空が本当に生きていたらしい
・三千年間途絶えなかった現地民コミュニティがあるらしい
・千空は現地民と協力関係にあり、上等な武器を保有しているらしい
・千空の謀略によって、帝国から犠牲者が出たらしい……?
(千空が、目的のために人を殺す…?)
・視察に行ったはずのゲンが、千空側に寝返った、らしい
これらの偵察隊から得た情報は、司をはじめとする帝国メンバー全員の知るところとなっていた。
「やはり千晶くんを置いて正解だった。ゲンを失う可能性は無くはないと考えていたけど、まさか敵側につくとはね。」
しかし、これを上回る情報は特に無かった。
(千空なら、どうする……?)
旧時代で問題視されていた地球温暖化は、完全に過去のものとなっていた。
温室効果ガスはすっかりその割合を減らし、より一層厳しくなる冬の寒さが人々を襲う。
千晶のシミュレーションでは、過酷な道筋しかなかった。
「厳しい暑さよりも、厳しい寒さの方が、人間の生存率は、下がる。」
科学力をもたない司帝国は、無事に越冬することが喫緊の課題だった。
(誰一人、死なせやしない……!)
千晶は、"ギリギリ科学じゃない"と言い張って、秋口からの食糧保管と寒さ対策に、その先頭に立って奮闘していた。
(千空なら、どうする……?)
そうして、
無情にも時間だけが流れ、遂に、決戦直前、冬の終わりが見え始めていた。
そんな折。
羽京がクロムを捕らえた。
白旗を上げ、自ら囮となって捕らえられたと考えられるその少年を連れ、羽京は本陣へと戻る。
その道中、千晶がいた。
「羽京、その人は?」
「現地民の男の子。」
「現地民?!」
現地民のことは、視察メンバーから聞いていたものの、その実態は謎な部分が多い。千晶は目を輝かせ、その少年に話しかける。
「君の名は?」
「…クロム。」
「クロム…くん、でいいのかな。」
「…おう。」
「歳はいくつ? 現地民ってことは、箱根出身? てか箱根在住ってことだよね。今でも箱根は箱根っていうの? 共通言語は日本語? でも三千年も経ってるといくらか変化はしてるのかな? その服は毛皮?手織り? 普段何食べてるの? 住環境は? どんなとこに住ん…」
矢継ぎ早に質問しまくる千晶に、クロムは堪忍袋の緒が切れた。
「さっさと連れてけよ、その、司って奴のトコォ!!」
「……千晶。」
静かにその名を呼ぶ羽京の声には、どこか怒りが込められていた。
「…あ、れ?」
司帝国、本陣
「炎色反応!!」
目を輝かせて叫ぶクロムに、千晶はなんとなく自分と似た波長を感じ取った。
(…ああ、楽しいよね。うんうんわかる…。)
この時、千晶の脳裏に、かつて自宅で実験しボヤ騒ぎになった(そして父親にこっぴどく叱られた)苦~い思い出が甦っていた。
しかし、白ける司・氷月・羽京の表情を横目で確認し、千晶はこの純粋科学少年へのフォローを躊躇った。
(でも、TPOが、最悪……。)
千晶がうずうずしてるんだろうなってことを、隣の羽京はなんとなく察していた。
司らの前で大見栄をきったクロムは、滝につるされる羽目に。
その拷問とも処刑ともとれる無慈悲な現場に千晶も同行、小声で羽京に話しかける。
「ねえ羽京、どう思う。」
「クロム君のこと?」
「彼の言ってること、どこまで本当なんだろう。」
「鵜呑みにしてないんだ?」
「バカなふりをしているだけという線も、あるいは。」
「千晶も、そう思う?」
「なんとか、引き出せないかな?!」
「シッ」
「千晶くん、何か言ったかい?」
司に聞き耳を立てられている?というより、千晶、ちょっと声が大きい。
「え、あ、聞き出せないかな、って。その子から、あちら側の話、なんとか聞き出せないかなー?って。情報が欲しいでしょ、少しでも多くの情報!」
「うん、僕もそう思うよ。クロム君にはいっぱい話してもらわないとね。うん。」
(チ・ア・キ…?)
(ゴメン……)
彼女がなんとなく危なっかしいことに薄々、いや大分、気が付いちゃう羽京であった。
「ハイ、では、さようなら。」
最後の最後まで口を割らない漢、クロムは、遂に氷月の手によって滝に落とされる。
「ああっ。」
最悪の結末、と絶望に千晶は両手で顔を覆い、その場にしゃがみ込んでしまった。
と同時に、隣にいた羽京が矢を構えた。
〈ズドーンッ〉
「へ? (滝つぼに落ちる音では、ない? じゃ、何の音?)」
千晶は、予測と違う音に困惑した。
おそるおそる、覗き込んだその先には、何がどうなっているのか、命拾いしたクロムがそこにいた。
(※何が起こったかは原作を参照のこと)
「助…かったの?」
状況を整理しきれぬまま横を向くと、ニッコリ笑顔の羽京がいた。
(※まだ恋していない)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
え? 千晶ってもしかして、天然?
ま、まっさかあ。クイズ女王にして軍師ですよ、軍師。帝国の皆の命を救うブレーンですよ。そんなわけがあるわけ…あはは……。
