DX1~熱闘編~
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一足先に勝手に探索を始めた千晶と、それに追従する羽京の話。
今でこそ、冷静に軍師として活躍してきたように見える千晶だが、その実、好奇心の塊なんである。
現役高校生クイズ女王としてその幅広い知識を遺憾なく発揮したその裏で、興味の沸くまま唆るまま、なんでも見て、調べ、試し、失敗し、そして多くのことを学んできた。
貪欲な好奇心こそ、今の千晶を築いてきた礎である。
ストーン・ウォーズという緊張の日々から解き放たれた千晶は、一気に童心に還り、止められない好奇心のまま、自由奔放に探索していた。
幼いころのクロムのように。
そしてその体力もクロム並み、いや、それ以下だった。
千晶の行く先々で何度となく危ないシーンが訪れたが、すぐ傍に控える羽京により窮地を免れていた。
「千晶…、そろそろ、戻ったほうが…。」
「帰りたいなら先に帰ってていーよ!」
「そんなわけには…。」
「あっ! これもしかして?!」
目の前に切り立つ崖の高い層の部分に、気になるものを見つけたらしい千晶。
「届くかな…?」
足場らしきものを見つけ、不格好ながら千晶はその側面を登り始める。
「ああっ、危ないよ、千晶、やめといたほうが…」
「近くで見るだけ!」
ほとんど気力で登っていった。
やがてその裾の裏が下から見えそうな位置になり、はっとして羽京は顔ごと視線を横に向ける。
その時だった。
「あっ。」
千晶の手が滑り、その体ごと宙に浮いた。
その音に反応して羽京は視線を戻すや、落ちてくる彼女を目視し、受け止める体勢に入った。
〈ドスンッ〉
ものの見事に、羽京の体の上に、千晶の体が収まった。
千晶はやや放心状態だったが、しばらくして状況を把握、羽京から離れようとした。
が。
「? 羽京?」
千晶の体は、背後に沈む羽京の腕によって、拘束される形となったまま、動けなくなっていた。
「羽京? …大丈夫?」
衝撃で気を失ったのかと、千晶は思った。
が、その腕は固く、彼女を抱きとめていた。その力は意思をもっていた。
「……もう、やめて。」
千晶の耳元で、羽京が力無く囁く。
「え?」
「危ないことは、もう、やめるんだ。」
「羽京?」
「千晶、君は、僕がいなかったら…」
「ああ、ちょっと、油断しちゃっただけ。もっとちゃんと気をつければ…」
「そういう問題じゃない。」
静かに怒る羽京の言葉に、千晶は口をつぐむ。
「………ごめん。」
「うん。」
「だから、離して。」
「いやだ。」
「え?」
「君が、もう危ないことしないって誓うまで、僕はこの手を離さない。」
「ええ?」
千晶を抱く腕にまた力が込められた。
「離さない。」
「でも、このままじゃ、ずっと重いよ? 重いでしょ?」
「いや。君が誓うまで、僕はいつまでもこうしている。」
「なにそれ。耐久戦?」
「ああ。こう見えて僕は自衛官だったからね。厳しい状況下にも耐えられるよう訓練はしてきたつもりさ。」
「なに、それ……。」
「千晶。……お願いだ。」
「……ッ。」
「……もう、危ないことしないって、言ってくれ。……お願いだ……。」
「なに……それ……。」
「千晶。」
ふたりとも、ほとんど泣きそうになっていた。
「……わかった。」
「はっ。」
「危ないことは、もう、しない。」
「千晶。ありがとう。」
羽京はその手を緩め、千晶を解放した。その声はほとんど泣いているようだった。
「なんで、羽京が泣くの。」
「いやなんでって、なんでだろう。」
「変な羽京。」
笑いかける千晶に、羽京も微笑んだ。
「じゃあ、行こう。」
立ち上がった千晶は差し出したその手を、羽京と重ねた。
「ふふ、何やってんだろうな、あたしたち。」
「何って、…何が?」
「ずっとふたりでさ、探索ばっかして。」
「うん。」
千晶を護るため、とは敢えて言わない羽京だった。
「こういうの、なんて言うんだろうね?」
「え?」
「今の我々の、関係。」
強いていうなら、護衛、かな、と羽京は思った。
「さしずめこれは……、」
千晶は面白そうに続けて言った。
「コンビ! 相方だね、相方。」
「相方……。」
「うん!」
嬉しそうに言う千晶のその言葉を否定する気など、この時の羽京にはなかった。
羽京の考える護衛=垂直関係
千晶の考える相方=水平関係
つまり、千晶は、対等な関係を望んでいた。
肩を並べ歩く羽京は、口角を上げ、その相方に向いて言った。
「うん。そうだね。いいと思う。」
集落までの道のり、ふたりは歩幅を合わせてゆっくりと歩いていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
この後、探索チームにコハクとクロムが加入し、本格的な探索フェーズに移ります。
今でこそ、冷静に軍師として活躍してきたように見える千晶だが、その実、好奇心の塊なんである。
現役高校生クイズ女王としてその幅広い知識を遺憾なく発揮したその裏で、興味の沸くまま唆るまま、なんでも見て、調べ、試し、失敗し、そして多くのことを学んできた。
貪欲な好奇心こそ、今の千晶を築いてきた礎である。
ストーン・ウォーズという緊張の日々から解き放たれた千晶は、一気に童心に還り、止められない好奇心のまま、自由奔放に探索していた。
幼いころのクロムのように。
そしてその体力もクロム並み、いや、それ以下だった。
千晶の行く先々で何度となく危ないシーンが訪れたが、すぐ傍に控える羽京により窮地を免れていた。
「千晶…、そろそろ、戻ったほうが…。」
「帰りたいなら先に帰ってていーよ!」
「そんなわけには…。」
「あっ! これもしかして?!」
目の前に切り立つ崖の高い層の部分に、気になるものを見つけたらしい千晶。
「届くかな…?」
足場らしきものを見つけ、不格好ながら千晶はその側面を登り始める。
「ああっ、危ないよ、千晶、やめといたほうが…」
「近くで見るだけ!」
ほとんど気力で登っていった。
やがてその裾の裏が下から見えそうな位置になり、はっとして羽京は顔ごと視線を横に向ける。
その時だった。
「あっ。」
千晶の手が滑り、その体ごと宙に浮いた。
その音に反応して羽京は視線を戻すや、落ちてくる彼女を目視し、受け止める体勢に入った。
〈ドスンッ〉
ものの見事に、羽京の体の上に、千晶の体が収まった。
千晶はやや放心状態だったが、しばらくして状況を把握、羽京から離れようとした。
が。
「? 羽京?」
千晶の体は、背後に沈む羽京の腕によって、拘束される形となったまま、動けなくなっていた。
「羽京? …大丈夫?」
衝撃で気を失ったのかと、千晶は思った。
が、その腕は固く、彼女を抱きとめていた。その力は意思をもっていた。
「……もう、やめて。」
千晶の耳元で、羽京が力無く囁く。
「え?」
「危ないことは、もう、やめるんだ。」
「羽京?」
「千晶、君は、僕がいなかったら…」
「ああ、ちょっと、油断しちゃっただけ。もっとちゃんと気をつければ…」
「そういう問題じゃない。」
静かに怒る羽京の言葉に、千晶は口をつぐむ。
「………ごめん。」
「うん。」
「だから、離して。」
「いやだ。」
「え?」
「君が、もう危ないことしないって誓うまで、僕はこの手を離さない。」
「ええ?」
千晶を抱く腕にまた力が込められた。
「離さない。」
「でも、このままじゃ、ずっと重いよ? 重いでしょ?」
「いや。君が誓うまで、僕はいつまでもこうしている。」
「なにそれ。耐久戦?」
「ああ。こう見えて僕は自衛官だったからね。厳しい状況下にも耐えられるよう訓練はしてきたつもりさ。」
「なに、それ……。」
「千晶。……お願いだ。」
「……ッ。」
「……もう、危ないことしないって、言ってくれ。……お願いだ……。」
「なに……それ……。」
「千晶。」
ふたりとも、ほとんど泣きそうになっていた。
「……わかった。」
「はっ。」
「危ないことは、もう、しない。」
「千晶。ありがとう。」
羽京はその手を緩め、千晶を解放した。その声はほとんど泣いているようだった。
「なんで、羽京が泣くの。」
「いやなんでって、なんでだろう。」
「変な羽京。」
笑いかける千晶に、羽京も微笑んだ。
「じゃあ、行こう。」
立ち上がった千晶は差し出したその手を、羽京と重ねた。
「ふふ、何やってんだろうな、あたしたち。」
「何って、…何が?」
「ずっとふたりでさ、探索ばっかして。」
「うん。」
千晶を護るため、とは敢えて言わない羽京だった。
「こういうの、なんて言うんだろうね?」
「え?」
「今の我々の、関係。」
強いていうなら、護衛、かな、と羽京は思った。
「さしずめこれは……、」
千晶は面白そうに続けて言った。
「コンビ! 相方だね、相方。」
「相方……。」
「うん!」
嬉しそうに言う千晶のその言葉を否定する気など、この時の羽京にはなかった。
羽京の考える護衛=垂直関係
千晶の考える相方=水平関係
つまり、千晶は、対等な関係を望んでいた。
肩を並べ歩く羽京は、口角を上げ、その相方に向いて言った。
「うん。そうだね。いいと思う。」
集落までの道のり、ふたりは歩幅を合わせてゆっくりと歩いていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
この後、探索チームにコハクとクロムが加入し、本格的な探索フェーズに移ります。
