DX1~熱闘編~
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羽京と千晶の定期密会。
司を裏切るという危ない話をしているのに、たまーに声が大きくなっちゃう千晶に、羽京は内心ヒヤヒヤしていた。
「…だからね、あたし、彼に負けないように…」
その時、何者かの気配を感知した羽京は、彼女の口を塞ぎ、そして、その体をきつく抱き締めた。
「?!?!」
さすがの千晶も、これにはパニック。
千晶を抱いたまま、羽京は、そこにいる何者かに聞こえるように、低い声で唸るように言い放った。
「邪魔しないでもらえるかなーあ?」
羽京の牽制の声に反応してか、何者かが立ち去る足音が千晶の耳にも聞こえた。
(…そうか。聞かれちゃマズイもんね…。)
これは演技なのだと理解した千晶は、遠くなっていく足音を羽京と共に聴いていた。
…平時より大きくなってしまった拍動の音が、ちょっと、邪魔。
気配が完全になくなったのでぱっと離れると、互いに気まずい感じになる。
「…聞かれてたかな?」
「いや、距離からして、話してる内容までは聞かれてないと思う。」
「…そう。なら、いいんだけど。」
何事も無かったかのように、双方、振る舞う。
「とりあえず君は、もう少し声の大きさを抑え…」
「ここだと誰かに聞かれる可能性がある。」
「…まあ、また誰かが来る可能性は否定できない。けど、ちあ…」
「場所を変えたほうがいいかな?」
「ッ、それは、…そうしたほうがいいだろうね。」
千晶の声量をいちいち指摘するよりか、そのほうがよっぽど堅実だと判断した羽京は、諦めたように帽子を深くかぶりなおした。
「有事にすぐ戻れるよう本陣からの距離は遠すぎず、かつ会話を聞かれにくいところなんて…?」
千晶の言葉を受け、帽子の下から羽京の目がギラリと光った。
「…いい場所がある。」
羽京は千晶を大きな木の上に招待した。一人で登れない千晶を運んでやり、並んで腰かけた。
地に足つかない不安定さのせいか、千晶の声量は自然と小さくなった。
二人乗っても意外と安定する太い枝の上が、新たな密会の場となった。
「杠が、そんなことを?」
「うん、僕の目には狂気に映ったよ。」
「そんなこと、あたしには何も…。」
「諦めてない、って、ことなんだろうね。」
「うん。頑なに秘密を貫いているのは、確固たる信念があって、それは、紛れもなく…」
「命を」
「今にも消え入りそうな、命の灯火を」
「繋ぎとめる」
「科学の力で。」
「科学?」
「杠は、千空の科学を信じてる。」
「千空の…」
「そう、杠は、千空の幼馴染みだから、間近でそれを見てきたはずだ。杠がやっているのは、闇雲なやっつけ作業じゃない。きっと、千空の、入れ知恵。」
「ただの狂気じゃないと。」
「狂気には違いないだろうね。千空を殺したい程憎む人物の元で秘密裏にそんなこと続けるだなんて、気でも狂わないと出来ないよ。」
「そうだね。」
「こんなことしてるあたしらも、大概かな?」
「フッ、そうだね。」
「ふふ。」
ふたりは、互いに悪戯な笑みを向けた。
この日から、ここがふたりの密会場所になったのだった。
(※まだ付き合ってない)
司を裏切るという危ない話をしているのに、たまーに声が大きくなっちゃう千晶に、羽京は内心ヒヤヒヤしていた。
「…だからね、あたし、彼に負けないように…」
その時、何者かの気配を感知した羽京は、彼女の口を塞ぎ、そして、その体をきつく抱き締めた。
「?!?!」
さすがの千晶も、これにはパニック。
千晶を抱いたまま、羽京は、そこにいる何者かに聞こえるように、低い声で唸るように言い放った。
「邪魔しないでもらえるかなーあ?」
羽京の牽制の声に反応してか、何者かが立ち去る足音が千晶の耳にも聞こえた。
(…そうか。聞かれちゃマズイもんね…。)
これは演技なのだと理解した千晶は、遠くなっていく足音を羽京と共に聴いていた。
…平時より大きくなってしまった拍動の音が、ちょっと、邪魔。
気配が完全になくなったのでぱっと離れると、互いに気まずい感じになる。
「…聞かれてたかな?」
「いや、距離からして、話してる内容までは聞かれてないと思う。」
「…そう。なら、いいんだけど。」
何事も無かったかのように、双方、振る舞う。
「とりあえず君は、もう少し声の大きさを抑え…」
「ここだと誰かに聞かれる可能性がある。」
「…まあ、また誰かが来る可能性は否定できない。けど、ちあ…」
「場所を変えたほうがいいかな?」
「ッ、それは、…そうしたほうがいいだろうね。」
千晶の声量をいちいち指摘するよりか、そのほうがよっぽど堅実だと判断した羽京は、諦めたように帽子を深くかぶりなおした。
「有事にすぐ戻れるよう本陣からの距離は遠すぎず、かつ会話を聞かれにくいところなんて…?」
千晶の言葉を受け、帽子の下から羽京の目がギラリと光った。
「…いい場所がある。」
羽京は千晶を大きな木の上に招待した。一人で登れない千晶を運んでやり、並んで腰かけた。
地に足つかない不安定さのせいか、千晶の声量は自然と小さくなった。
二人乗っても意外と安定する太い枝の上が、新たな密会の場となった。
「杠が、そんなことを?」
「うん、僕の目には狂気に映ったよ。」
「そんなこと、あたしには何も…。」
「諦めてない、って、ことなんだろうね。」
「うん。頑なに秘密を貫いているのは、確固たる信念があって、それは、紛れもなく…」
「命を」
「今にも消え入りそうな、命の灯火を」
「繋ぎとめる」
「科学の力で。」
「科学?」
「杠は、千空の科学を信じてる。」
「千空の…」
「そう、杠は、千空の幼馴染みだから、間近でそれを見てきたはずだ。杠がやっているのは、闇雲なやっつけ作業じゃない。きっと、千空の、入れ知恵。」
「ただの狂気じゃないと。」
「狂気には違いないだろうね。千空を殺したい程憎む人物の元で秘密裏にそんなこと続けるだなんて、気でも狂わないと出来ないよ。」
「そうだね。」
「こんなことしてるあたしらも、大概かな?」
「フッ、そうだね。」
「ふふ。」
ふたりは、互いに悪戯な笑みを向けた。
この日から、ここがふたりの密会場所になったのだった。
(※まだ付き合ってない)
