第二章(R-15)
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第二章 第10話 幻聴
千晶が言うには、そのバスボールが欲しい、の一点張りだった。
「欲しい! どうしても!! 欲しい!!!」
…何か、デジャビュを覚えるが。
結局、千晶の希望通り、そのバスボールを手に入れるために、僕たちは坂の上のラブホテルの一室に入ってしまった。
「バスボール♪ バスボール♪」
……マズイ。
そりゃ、いずれは千晶とこうなりたいとは思っていた。
むしろ、千晶の方から入るなんて、本来なら願ったりかなったりの状況、なんだけど……。
『私を抱いてくれるってことでしょう?』
今は、だめ、なんだ……。
「あったー! バスルームにあったよ、バスボール。」
短く切り揃えられた髪を揺らし、千晶はまるで、無邪気さを装っているようだった。
「うわ、このバスタブ、ジャグジーついてるじゃん! 本格的ー。」
『ねえ、ここで抱いて。』
羽翔の耳元で、甘い声が囁く。
背後から、長い髪の女が彼を抱きしめていた。
かつての彼は、特に好きでもない女、名も知らない女をも、抱いていた。
求められ、ねだられ、流されるままに、ホテルに辿り着き、そして、本能のままに抱いた。
「とりあえず、お湯を溜めてみよう。ふふーん♪」
レバーを引き、水が流れる音が部屋全体に響き渡る。
千晶はしゃがんで、その様子を見ていた。
『さっさと襲っちゃえばいいのに。』
違う、違うんだ。彼女は……千晶は……。
それに、僕は、…そうなる前に、彼女に…、
千晶に、言っておかなければならないことが、ある。
「まだ半分も溜まってないけど、もう入れちゃおっかな?」
そうなる前に。そうなってしまう前に……。
『ねえ羽翔。』
僕の理性が利くうちに、止めないと。
〈シュポーーーー〉
でないと僕は、彼女を傷つけてしまう……。
『来て。』
長い髪の幻影が羽翔を縛りつけ、彼を動けなくしていた。
「薔薇の香りだ。いい匂い。」
しばらくすると千晶はゆっくりと立ち上がり、恥ずかしそうに髪をいじった。
「……いっぱい歩いて、汗、かいちゃった。流していこうかな。」
そう言って、背中のホックに、自ら手を伸ばす。
マズイ。
彼女が脱いでしまったら、もう僕は……肉欲を抑えきれる自信が、ない。
「待って!! ……千晶に、話しておきたいことがある。」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、千晶は振り向いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
軽くホラー。
鳩が豆鉄砲を食ったような、って表現、なかなか使わなくなったよね。
(♪)
"孤独と焦りの中 踠(もが)くばかり"
佐々木望 - BAD DREAMにうなされて 詞:有森聡美 『rumblefish』1992
千晶が言うには、そのバスボールが欲しい、の一点張りだった。
「欲しい! どうしても!! 欲しい!!!」
…何か、デジャビュを覚えるが。
結局、千晶の希望通り、そのバスボールを手に入れるために、僕たちは坂の上のラブホテルの一室に入ってしまった。
「バスボール♪ バスボール♪」
……マズイ。
そりゃ、いずれは千晶とこうなりたいとは思っていた。
むしろ、千晶の方から入るなんて、本来なら願ったりかなったりの状況、なんだけど……。
『私を抱いてくれるってことでしょう?』
今は、だめ、なんだ……。
「あったー! バスルームにあったよ、バスボール。」
短く切り揃えられた髪を揺らし、千晶はまるで、無邪気さを装っているようだった。
「うわ、このバスタブ、ジャグジーついてるじゃん! 本格的ー。」
『ねえ、ここで抱いて。』
羽翔の耳元で、甘い声が囁く。
背後から、長い髪の女が彼を抱きしめていた。
かつての彼は、特に好きでもない女、名も知らない女をも、抱いていた。
求められ、ねだられ、流されるままに、ホテルに辿り着き、そして、本能のままに抱いた。
「とりあえず、お湯を溜めてみよう。ふふーん♪」
レバーを引き、水が流れる音が部屋全体に響き渡る。
千晶はしゃがんで、その様子を見ていた。
『さっさと襲っちゃえばいいのに。』
違う、違うんだ。彼女は……千晶は……。
それに、僕は、…そうなる前に、彼女に…、
千晶に、言っておかなければならないことが、ある。
「まだ半分も溜まってないけど、もう入れちゃおっかな?」
そうなる前に。そうなってしまう前に……。
『ねえ羽翔。』
僕の理性が利くうちに、止めないと。
〈シュポーーーー〉
でないと僕は、彼女を傷つけてしまう……。
『来て。』
長い髪の幻影が羽翔を縛りつけ、彼を動けなくしていた。
「薔薇の香りだ。いい匂い。」
しばらくすると千晶はゆっくりと立ち上がり、恥ずかしそうに髪をいじった。
「……いっぱい歩いて、汗、かいちゃった。流していこうかな。」
そう言って、背中のホックに、自ら手を伸ばす。
マズイ。
彼女が脱いでしまったら、もう僕は……肉欲を抑えきれる自信が、ない。
「待って!! ……千晶に、話しておきたいことがある。」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、千晶は振り向いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
軽くホラー。
鳩が豆鉄砲を食ったような、って表現、なかなか使わなくなったよね。
(♪)
"孤独と焦りの中 踠(もが)くばかり"
佐々木望 - BAD DREAMにうなされて 詞:有森聡美 『rumblefish』1992
