第一章
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第一章 第12話 プラトニック
「今日はなんだか、千晶、その、とっても、可愛い。」
「ほんとぉ?! 嬉しい!!」
「うん。」
照れ隠しとばかりに帽子を深く被る羽翔。
広島駅。
落ち合って秒でイチャイチャしてやがる。いいぞもっとやれ。
その場を取り繕うような薄っぺらい科白ではない。羽翔の言葉は、本心からにじみ出てきたものだった。
会うたびに可愛くなっていく彼女に、羽翔はすっかりメロメロなんである。
はー、可愛い。
月に一度以下。11時からせいぜい16時までの、正味5時間のデート。
ふたりの関係は、プラトニックを貫いていた。
当時の民法上、女性は16歳から結婚できることになっていたし、当人同士の同意があれば、深い関係になっても罪には問われないし、倫理上問題ないとされていた。
できることなら、彼女を抱きたい。そう思うのが健全な男子というものである。
自衛隊という職業からしても十分な体力があり、20代半ばという若さの羽翔も、健全な男子の枠に当てはまるはずである。
が、千晶を前にすると、少し違った。
「ねーえー、次ドコ行くー?」
「ほーじゃのー、たちまちホテルで飲み直すかいのー。」
「またー?w ホテルのハシゴとか聞いたことないけえウケるw」
「ええじゃろー、たちまち酒買ってこようかー。」
「呑みたいんか抱きたいんかアンタはどっちなんよーw」
酔っ払いCPにエンカウント。互いの体をベタベタ触り合っている。
ちょっと、気まずい。
ふたりの間に沈黙が流れる。
気まずい。
沈黙を破らねば、と羽翔が切り出そうとする
「あ、あの」
「羽翔は」
と同時に、千晶が口火を切った。
「え…」
「羽翔は、あたしのこと……」
次に来る言葉が予想できてしまう。
「抱きたい…って、思ってる?」
しかしそれでも、何と答えればいいかわからない。
「……それは……。」
俯いたままの千晶の表情が、窺い知れない。
何と言えば。
この感情を、どう言語化すればいいのかが、わからない。
本当に好きだから、安易に抱けない。
もう少し若いときの羽翔であれば、そのまま受け入れ、流れのままに抱くだろう。
若さというナイフは、容易に相手を傷つける。
来る者拒まず、去る者追わず。ただただ、潮の流れに身を任せ、クラゲのように漂うだけの彼だった。
千晶に出会って、それが変わった。
本当に好きだから、心の底から愛しているから、
傷つけたくない。
僕のせいで傷ついて、僕のもとを離れてほしくない。
海洋深層水のように見えずに湧き上がるこの思いを、どう説明すればいい?
だからといって、「抱けない」と言ってしまうと、それは拒絶と思わせてしまうのではないか? と、口ごもる。
言葉に迷い、沈黙が続く。
「っごめんッ、変なこと聞いちゃった。今のは、忘れて?」
「あっ」
先を越されてしまった。
「いやあ、ちょっとびっくりしちゃったんだ。ああいうのって、ほんとにあるんだなって。」
いつもそうだ。
「時季的に、クリスマスの余韻を引きづっているってとこかな?」
いつも千晶が先を行く。
「羽翔は、そんな野蛮な人じゃないもんね。」
違う。僕は、……節操なしの野蛮な男だ。
翳りのない純真な眼差しが、今は、痛い。
「次、ドコ行く?」
羽翔はただ、彼女の後をついていくことしか出来なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
クラゲって、泳いでるんじゃなく漂ってるだけ、なんですって。
好きな子にメロメロになってる羽翔さん可愛いすぎる←っつーのを書きたかった。
敢えて千晶のモノローグを入れないのは、読者に自由に想像してもらうため。
(♪)
"純情
ほんと邪魔くさい
女なんて
そぶりだけじゃ判らないの? No No
強情
こんな ひどいヤツ
嫌いだろう
こっち向けよ 抱いてやるよ"
佐々木望 - 純情 詞:真名杏樹 『純情』1990
(羽翔さんにせつなセクシーな顔で歌ってほしいわ)
「今日はなんだか、千晶、その、とっても、可愛い。」
「ほんとぉ?! 嬉しい!!」
「うん。」
照れ隠しとばかりに帽子を深く被る羽翔。
広島駅。
落ち合って秒でイチャイチャしてやがる。いいぞもっとやれ。
その場を取り繕うような薄っぺらい科白ではない。羽翔の言葉は、本心からにじみ出てきたものだった。
会うたびに可愛くなっていく彼女に、羽翔はすっかりメロメロなんである。
はー、可愛い。
月に一度以下。11時からせいぜい16時までの、正味5時間のデート。
ふたりの関係は、プラトニックを貫いていた。
当時の民法上、女性は16歳から結婚できることになっていたし、当人同士の同意があれば、深い関係になっても罪には問われないし、倫理上問題ないとされていた。
できることなら、彼女を抱きたい。そう思うのが健全な男子というものである。
自衛隊という職業からしても十分な体力があり、20代半ばという若さの羽翔も、健全な男子の枠に当てはまるはずである。
が、千晶を前にすると、少し違った。
「ねーえー、次ドコ行くー?」
「ほーじゃのー、たちまちホテルで飲み直すかいのー。」
「またー?w ホテルのハシゴとか聞いたことないけえウケるw」
「ええじゃろー、たちまち酒買ってこようかー。」
「呑みたいんか抱きたいんかアンタはどっちなんよーw」
酔っ払いCPにエンカウント。互いの体をベタベタ触り合っている。
ちょっと、気まずい。
ふたりの間に沈黙が流れる。
気まずい。
沈黙を破らねば、と羽翔が切り出そうとする
「あ、あの」
「羽翔は」
と同時に、千晶が口火を切った。
「え…」
「羽翔は、あたしのこと……」
次に来る言葉が予想できてしまう。
「抱きたい…って、思ってる?」
しかしそれでも、何と答えればいいかわからない。
「……それは……。」
俯いたままの千晶の表情が、窺い知れない。
何と言えば。
この感情を、どう言語化すればいいのかが、わからない。
本当に好きだから、安易に抱けない。
もう少し若いときの羽翔であれば、そのまま受け入れ、流れのままに抱くだろう。
若さというナイフは、容易に相手を傷つける。
来る者拒まず、去る者追わず。ただただ、潮の流れに身を任せ、クラゲのように漂うだけの彼だった。
千晶に出会って、それが変わった。
本当に好きだから、心の底から愛しているから、
傷つけたくない。
僕のせいで傷ついて、僕のもとを離れてほしくない。
海洋深層水のように見えずに湧き上がるこの思いを、どう説明すればいい?
だからといって、「抱けない」と言ってしまうと、それは拒絶と思わせてしまうのではないか? と、口ごもる。
言葉に迷い、沈黙が続く。
「っごめんッ、変なこと聞いちゃった。今のは、忘れて?」
「あっ」
先を越されてしまった。
「いやあ、ちょっとびっくりしちゃったんだ。ああいうのって、ほんとにあるんだなって。」
いつもそうだ。
「時季的に、クリスマスの余韻を引きづっているってとこかな?」
いつも千晶が先を行く。
「羽翔は、そんな野蛮な人じゃないもんね。」
違う。僕は、……節操なしの野蛮な男だ。
翳りのない純真な眼差しが、今は、痛い。
「次、ドコ行く?」
羽翔はただ、彼女の後をついていくことしか出来なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
クラゲって、泳いでるんじゃなく漂ってるだけ、なんですって。
好きな子にメロメロになってる羽翔さん可愛いすぎる←っつーのを書きたかった。
敢えて千晶のモノローグを入れないのは、読者に自由に想像してもらうため。
(♪)
"純情
ほんと邪魔くさい
女なんて
そぶりだけじゃ判らないの? No No
強情
こんな ひどいヤツ
嫌いだろう
こっち向けよ 抱いてやるよ"
佐々木望 - 純情 詞:真名杏樹 『純情』1990
(羽翔さんにせつなセクシーな顔で歌ってほしいわ)
