#しつもん
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この世界にやって来て、少し経った。右も左も分からずあたふたしていた初めのころに比べるとだいぶ慣れてきたと思う。エースやデュース、ジャックなど友達もできた。自分なりに学園生活を謳歌しているのだが、1つ困っていることがある。それは…
「小エビちゃん!なにしてるの~?」
この人、フロイド・リーチ先輩________私の想い人である。私の淡い恋心なんて知らずに、私を見つけると、いつもこうやって後ろから抱き着いて(締めて?)くるのだ。好きな人から会うたびにこんなことをされて、その後の会話で心臓が持つわけがない。
「…あ…フロイド先輩!やめてくださいよ…びっくりするっていつも言ってるのに…」
「だって小エビちゃん小っちゃくて可愛いんだもん。締めたくなっちゃうの。」
口を尖らせてとんでもないことを言うフロイド先輩。そんな表情も愛おしい。ついつい先輩の綺麗なオッドアイとつやつやの人房の黒髪に見惚れてしまう。あんまり目を合わせるとそれこそ先輩が言うところの’’茹でエビ’’になってしまうので俯く。先輩と会うといつもこうだ。恥ずかしくて上手く話せないし、いつも通りに振舞えない。どうすればいいんだろう。頭の中でこんなことを考えていると、
「な~に、小エビちゃん。オレがいるのになんでなんも言わないわけ?」
かがんで私の顔を覗き込んできた。先輩の不意打ちに私の顔がみるみる真っ赤になっていくのを感じる。
「…っすみません!用事を思い出したので!」
走って逃げていく私の後ろから先輩の少し不機嫌そうな呼び止める声が聞こえるけれど構わず逃げ出した。
「はぁっはぁ…」
全速力で走って乱れた呼吸を整える。先輩と話せるようになりたい。好きな人と話す方法、と寮の自室で検索する。好きな人、と言葉にするのも恥ずかしい。
「えーっと、まず…挨拶から始める、か…」
挨拶は向こうからしてくれるから、どちらかというとその先どうすればいいのか知りたい。
「…あ、これいいかも。」
_____相手が答えやすい質問をする。これなら先輩のことを知れるし、質問したら後は先輩の話を聞くだけだからあんまり恥ずかしくない。よし、明日からこれで頑張ろう。
「小エビちゃん!おっはよー」
「…っおはようございます、先輩。」
昨日走って逃げたことは気にしていないようだ。気分屋な先輩らしい。
「元気~?」
「!元気です。先輩はどうですか?」
「オレも今日はなんでもできそうな気分~」
顔は見れないけれど、にやっと笑っているのが想像できる。
「先輩!先輩は…」
「ん?オレが?」
「…先輩は…何でバスケ部に入ったんですか?」
「?え~その日はそんな気分だったから。」
「じゃあ、先輩はたこはたこ焼きとアヒージョ、どっちが好きですか?」
「…たこ焼きかなぁ~」
「えっと、先輩は…」
「ちょっと待って、小エビちゃん。オレこれ飽きた。」
「…へ?」
間抜けな声が出た。先輩の’’飽きた’’が何度も頭の中で反響する。
「どうしたの小エビちゃん、今日おかしいよ。」
また覗き込もうとしてくる。今目が合ったら泣いてしまいそうでまた走って逃げようとした。すると、
「待ってよ、小エビちゃん。逃げないでよ。」
腕をぐいっとすごい力で掴まれて逃げられない。声が震えそうになりながらも、
「…離してください。」
小さな声で呟くと、
「どうしたの、ねえ。」
いつものにやにや笑いは消えて、真剣な目で私の方を見つめてくる。その視線に耐えていた涙が1筋頬を伝った。
「…先輩と上手く話したくて…でも…上手くいかなくて…ごめんなさい…」
「……」
先輩が何も言わないので恐る恐る顔を上げると、
「…やっとこっち見たぁ♡」
「…へ?」
「だってさ~小エビちゃんいっつも下向いてんだもん。アズールとかジェイドとかカニちゃんサバちゃんとかと喋るときはちゃんと前向いてんのにさ。オレちょっと悲しかった~」
予想外な返事に戸惑う。
「…そっかそっか、オレと喋りたかったんだ~でもオレ、小エビちゃんの話聞きたいから、質問ばっかりは飽きちゃうな~。」
うーんと考え込むような仕草をして、
「あ、そうだぁ♡これからは、お互い質問したことは自分でも答えるっていうのはどう?そうすれば~オレも小エビちゃんももっとよくお互いのこと知れるでしょ~」
オレあったま良い~とにこにこする先輩。いつの間にか涙も止まっていて、
「…はい、先輩。」
「なぁに~?」
「その…これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくねぇ、小エビちゃん♡」
フロイド先輩は私に向かって、にこっと笑ってみせた。
私がこの思いを打ち明けられるのはまだだいぶ先になりそうだ。いつかその時が来たら…自信を持って目を見て言えるといいな。
Fin.
「小エビちゃん!なにしてるの~?」
この人、フロイド・リーチ先輩________私の想い人である。私の淡い恋心なんて知らずに、私を見つけると、いつもこうやって後ろから抱き着いて(締めて?)くるのだ。好きな人から会うたびにこんなことをされて、その後の会話で心臓が持つわけがない。
「…あ…フロイド先輩!やめてくださいよ…びっくりするっていつも言ってるのに…」
「だって小エビちゃん小っちゃくて可愛いんだもん。締めたくなっちゃうの。」
口を尖らせてとんでもないことを言うフロイド先輩。そんな表情も愛おしい。ついつい先輩の綺麗なオッドアイとつやつやの人房の黒髪に見惚れてしまう。あんまり目を合わせるとそれこそ先輩が言うところの’’茹でエビ’’になってしまうので俯く。先輩と会うといつもこうだ。恥ずかしくて上手く話せないし、いつも通りに振舞えない。どうすればいいんだろう。頭の中でこんなことを考えていると、
「な~に、小エビちゃん。オレがいるのになんでなんも言わないわけ?」
かがんで私の顔を覗き込んできた。先輩の不意打ちに私の顔がみるみる真っ赤になっていくのを感じる。
「…っすみません!用事を思い出したので!」
走って逃げていく私の後ろから先輩の少し不機嫌そうな呼び止める声が聞こえるけれど構わず逃げ出した。
「はぁっはぁ…」
全速力で走って乱れた呼吸を整える。先輩と話せるようになりたい。好きな人と話す方法、と寮の自室で検索する。好きな人、と言葉にするのも恥ずかしい。
「えーっと、まず…挨拶から始める、か…」
挨拶は向こうからしてくれるから、どちらかというとその先どうすればいいのか知りたい。
「…あ、これいいかも。」
_____相手が答えやすい質問をする。これなら先輩のことを知れるし、質問したら後は先輩の話を聞くだけだからあんまり恥ずかしくない。よし、明日からこれで頑張ろう。
「小エビちゃん!おっはよー」
「…っおはようございます、先輩。」
昨日走って逃げたことは気にしていないようだ。気分屋な先輩らしい。
「元気~?」
「!元気です。先輩はどうですか?」
「オレも今日はなんでもできそうな気分~」
顔は見れないけれど、にやっと笑っているのが想像できる。
「先輩!先輩は…」
「ん?オレが?」
「…先輩は…何でバスケ部に入ったんですか?」
「?え~その日はそんな気分だったから。」
「じゃあ、先輩はたこはたこ焼きとアヒージョ、どっちが好きですか?」
「…たこ焼きかなぁ~」
「えっと、先輩は…」
「ちょっと待って、小エビちゃん。オレこれ飽きた。」
「…へ?」
間抜けな声が出た。先輩の’’飽きた’’が何度も頭の中で反響する。
「どうしたの小エビちゃん、今日おかしいよ。」
また覗き込もうとしてくる。今目が合ったら泣いてしまいそうでまた走って逃げようとした。すると、
「待ってよ、小エビちゃん。逃げないでよ。」
腕をぐいっとすごい力で掴まれて逃げられない。声が震えそうになりながらも、
「…離してください。」
小さな声で呟くと、
「どうしたの、ねえ。」
いつものにやにや笑いは消えて、真剣な目で私の方を見つめてくる。その視線に耐えていた涙が1筋頬を伝った。
「…先輩と上手く話したくて…でも…上手くいかなくて…ごめんなさい…」
「……」
先輩が何も言わないので恐る恐る顔を上げると、
「…やっとこっち見たぁ♡」
「…へ?」
「だってさ~小エビちゃんいっつも下向いてんだもん。アズールとかジェイドとかカニちゃんサバちゃんとかと喋るときはちゃんと前向いてんのにさ。オレちょっと悲しかった~」
予想外な返事に戸惑う。
「…そっかそっか、オレと喋りたかったんだ~でもオレ、小エビちゃんの話聞きたいから、質問ばっかりは飽きちゃうな~。」
うーんと考え込むような仕草をして、
「あ、そうだぁ♡これからは、お互い質問したことは自分でも答えるっていうのはどう?そうすれば~オレも小エビちゃんももっとよくお互いのこと知れるでしょ~」
オレあったま良い~とにこにこする先輩。いつの間にか涙も止まっていて、
「…はい、先輩。」
「なぁに~?」
「その…これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくねぇ、小エビちゃん♡」
フロイド先輩は私に向かって、にこっと笑ってみせた。
私がこの思いを打ち明けられるのはまだだいぶ先になりそうだ。いつかその時が来たら…自信を持って目を見て言えるといいな。
Fin.
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