DQ3 夜明けの果てに君と

最初に感じたのは、頬を撫でる風の冷たさだった。

 次に、草の匂い。

 そして、頬に触れる小さな葉の感触。

「…………ん?」

 カエデはゆっくりと目を開けた。

 視界いっぱいに広がっていたのは、青い空だった。

 雲が流れている。

 風に揺れる草が、さわさわと音を立てている。少し離れたところでは、見たこともない花が小さく揺れていた。

 のどかだった。

 あまりにも、のどかだった。

「…………え?」

 起き上がりかけたカエデは、そこで動きを止めた。

 見渡す限りの草原。

 遠くに連なる緑の丘。

 空を横切る鳥の影。

 そして、どこにも見当たらない、見慣れた街並み。

 つい先ほどまで、自分はこんな場所にいなかったはずだ。

 学校に行って、いつもどおりの一日を過ごして、それから――。

 そこまで考えて、頭の中に靄がかかった。

「……え、待って。ここ、どこ?」

 当然、返事はない。

 カエデは自分の服を見下ろした。

 着ているのは、いつもの高校の制服だった。

 スカートの裾についた草を払い、膝についた土を手で落とす。怪我はしていない。手足も動く。鞄はないけれど、少なくとも体に異常はなさそうだった。

 それだけが、今のところの救いだった。

 ――いや、救いなのか?

 そもそも、どうして草原にいるのだろう。

 どうやってここまで来たのだろう。

 そして、ここは本当にどこなのだろう。

 疑問ばかりが浮かんでくる。

 けれど、どれだけ考えても答えは出なかった。

「……と、とりあえず、人を探そう」

 ひとりで考えていても仕方がない。

 そう自分に言い聞かせ、カエデは立ち上がった。

 そのときだった。

 ――ぷるん。

「…………え?」

 何かが跳ねる音がした。

 カエデは音のしたほうを振り向いた。

 草むらの向こうに、青いものが見えた。

 丸い。

 つやつやしている。

 頭の上には、小さな突起のようなものがある。

 黒い目が、こちらを向いていた。

 そして、口らしきものが、にこりと笑ったように見えた。

「…………」

 カエデは、固まった。

 見覚えがあった。

 ありすぎるほど、あった。

 何度も見たことがある。

 ゲームの画面の中で。

 旅の始まりに、何度も遭遇したことがある。

 その姿を知らない人のほうが少ないかもしれない。

 青くて、丸くて、ぷるぷるしていて。

 大きな目と、にこにことした口。

「……ス、スライム……?」

 口にした瞬間、背筋がぞわりとした。

 そうだ。

 スライムだ。

 ドラゴンクエストシリーズでおなじみの、あのスライム。

 けれど。

 けれど、待ってほしい。

 どうして、目の前にいるのだろう。

 どうして、ゲームの画面がないのだろう。

 どうして、こんなに生々しいのだろう。

 日差しを受けてぬらりと光る体。

 地面に触れるたび、柔らかく形を変える輪郭。

 こちらをじっと見つめる、黒い目。

 可愛らしいはずの笑顔が、今はひどく不気味に見えた。

 カエデは一歩、後ずさった。

 スライムも、ぴょん、と跳ねた。

「……いや、待って待って待って」

 カエデの声が裏返る。

「いやいやいや、スライムって! スライムって、あのスライム!? え、嘘でしょ!? なんで!? ここどこ!? ていうか、近っ……!」

 スライムは答えなかった。

 ただ、ぷるん、と体を揺らした。

 次の瞬間。

 スライムの体が、ぐっと沈み込んだ。

「……え?」

 嫌な予感がした。

 そう思ったときには、もう遅かった。

 スライムが、勢いよく跳ねた。

「ひゃっ――!」

 カエデは反射的に横へ飛び退いた。

 直後、目の前を青い塊が通り過ぎる。

 どんっ、と鈍い音がして、スライムが背後の地面にぶつかった。

 草が大きく揺れた。

 カエデはよろめきながら、なんとか踏みとどまった。

「…………っ!」

 心臓が、痛いほど鳴っていた。

 今のは。

 今のは、当たっていたらどうなっていたのだろう。

 可愛いとか、弱いとか、そんな話ではない。

 あれは、自分を狙って飛びかかってきたのだ。

 目の前にいるのは、画面の中の敵ではない。

 現実に、自分を傷つけようとしている生き物だった。

「……うそ、でしょ……」

 声が震えた。

 逃げなければ。

 そう思ったのに、足がうまく動かなかった。

 スライムは、何事もなかったかのように体を起こした。

 ぷるん、と揺れる。

 そして再び、カエデのほうを向いた。

 逃がすつもりはないらしい。

「ちょ、ちょっと待って! 話し合おう!? ね!? 私、別に何もしてないよね!?」

 もちろん、返事はない。

 スライムが、再び身を沈める。

 今度こそ、避けられるだろうか。

 そもそも、どこへ逃げればいいのだろう。

 走ればいい?

 でも、追いつかれたら?

 武器なんてない。

 魔法だって使えない。

 ゲームなら、コマンドを選んで戦うことができる。敵の強さだって、ある程度は分かる。

 けれど、今は違う。

 自分の行動ひとつで、何が起こるのか分からない。

 スライムの体が、再び跳ね上がった。

「――っ!」

 カエデは身をよじった。

 青い体が制服のすぐ脇をかすめる。

 避けられた。

 けれど、着地した足が草に滑った。

「あっ……!」

 体勢が崩れる。

 膝が地面につき、手のひらに土が食い込んだ。

 顔を上げた先で、スライムが向きを変えていた。

 距離が、近い。

 近すぎる。

 もう一度、あれが飛んできたら。

 今度は、避けられないかもしれない。

「……っ、やだ……!」

 頭の中が真っ白になった。

 何かしなければ。

 逃げなければ。

 でも、どうすればいいのか分からない。

 スライムが跳ねる。

 カエデは、とっさに腕で顔を庇った。

 ――その瞬間。

「伏せろ!」

 鋭い声が、草原を切り裂いた。

 反射的に、カエデは身を縮めた。

 風を切る音。

 すぐそばで、金属がぶつかるような鋭い音が響いた。

 続いて、青い塊が地面を転がる。

 カエデは息を呑んだ。

 目の前に、ひとりの少年が立っていた。

 剣を構え、こちらを庇うように前へ出ている。

 風に揺れる髪と赤いマント。

 旅装に身を包み、手にした剣を迷いなく構える姿。

 背中越しに見えるその立ち姿には、年齢に似合わないほどの落ち着きがあった。

 少年はスライムから目を離さないまま、短く尋ねた。

「怪我は?」

「……え?」

「怪我はないか?」

「あ、え、えっと……た、たぶん……!」

「なら、そこを動くな」

 少年の声は落ち着いていた。

 それが、かえって不思議だった。

 目の前には、どう見ても普通ではない生き物がいる。

 自分は今にも泣き出しそうなのに。

 彼は、まるでこういうことに慣れているようだった。

 スライムが、再び跳ねた。

 少年は剣を引き、相手の動きを見極める。

 飛びかかってくる青い体を、わずかに身をずらしてかわした。

 そして、すれ違いざまに剣を振るう。

 乾いた音が響いた。

 スライムの体が大きく弾み、地面に落ちる。

 もう一度、跳ねようとした。

 けれど、少年の剣がそれを許さなかった。

 数度の攻防のあと、スライムの動きが止まった。

 青い体が淡い光に包まれ、やがて跡形もなく消えていく。

 草原に、風の音だけが戻った。

「…………」

 カエデは、呆然とその光景を見つめていた。

 終わった。

 あのスライムが。

 本当に、消えた。

 少年は剣を下ろし、しばらく周囲を警戒していたが、ほかに敵がいないと分かると、ようやくこちらを振り返った。

「……立てるか?」

 その顔を見た瞬間。

 カエデの心臓が、別の意味で跳ねた。

 見覚えがある。

 さっきよりも、ずっとはっきりと。

 顔立ちも、髪も、装備も。

 何度も見た、あの姿に似ていた。

 ゲームの中で、冒険の始まりからずっと見てきた勇者。

 けれど、目の前の少年は画面の中の存在ではない。

 剣を握る指には力がこもっている。

 呼吸をするたび、胸がわずかに上下する。

 こちらを気遣う眼差しも、草原に吹く風も、すべてが本物だった。

 ――まさか。

 いや、そんなはずはない。

 だって、ここはどこなのかも分からないのだ。

 似ているだけかもしれない。

 そもそも、本人だったとして、どうして自分がここにいるのだろう。

「……おい?」

「あっ、はいっ!」

 声をかけられ、カエデは飛び上がった。

 少年が、わずかに眉を寄せる。

「……大丈夫か?」

「だ、大丈夫です! はい! 全然! もう、めちゃくちゃ大丈夫です!」

「……そうは見えないが」

「気のせいです!」

「……?」

 少年は不思議そうに首を傾げた。

 その仕草まで、妙に見覚えがある気がした。

 カエデは慌てて視線を逸らした。

 だめだ。

 見れば見るほど、考えてしまう。

 まさか。

 でも。

 いやいやいや。

 そんなことを考えている場合ではない。

 今はとにかく、この場所について聞かなければ。

「あ、あの!」

「なんだ?」

「ここって……どこですか?」

 少年は少しだけ目を見開いた。

「……どこ、というのは?」

「えっと、その……国というか、町というか……。私、気がついたらここにいて……」

 言いながら、カエデは自分の説明があまりにも頼りないことに気づいた。

 けれど、ほかにどう言えばいいのか分からない。

 少年は彼女の服装に目を留めた。

 制服。

 この世界では見慣れない形の服を、彼は不思議そうに眺めている。

 けれど、問い詰めることはしなかった。

「ここはアリアハンの近くだ。町まで行けば、人もいる」

「……アリアハン」

 カエデは、思わず呟いた。

 知っている。

 その名前を、知っている。

 けれど、それだけではまだ確信できない。

 ここが本当に、自分の知っている世界なのだとしたら。

 目の前の少年が、本当にあの勇者なのだとしたら。

 考えがまとまるより先に、少年が手を差し出した。

「立てるか?」

 カエデはその手を見つめた。

 少し迷ってから、そっと手を取る。

 引き上げられ、なんとか立ち上がった。

「……ありがとうございます」

「いや。間に合ってよかった」

 少年はそう言って、ほっとしたように息をついた。

 その表情を見て、カエデの胸の奥が、ほんの少しだけ温かくなった。

 怖かった。

 本当に、怖かった。

 けれど、助けてもらえた。

 それだけで、張り詰めていた気持ちが少し緩んだ。

「……あの、あなたは……」

 聞きかけて、言葉が止まる。

 名前を聞いてしまえば、何かが決定的になってしまう気がした。

 少年はそんな彼女の様子を気に留めることなく、剣を鞘に収めた。

「町まで一緒に行こう。ここにひとりでいるのは危ない」

「えっ、でも……」

「さっきのような魔物が、ほかにもいるかもしれない」

「……ま、魔物」

 カエデの顔が引きつった。

 そうだ。

 さっきのは、魔物だった。

 ゲームの中では何度も倒した相手。

 けれど、現実になった途端、あんなにも恐ろしい存在になるなんて思わなかった。

 少年は彼女の顔色を見て、少し声を和らげた。

「町までは、そう遠くない。歩けそうか?」

「は、はい! 歩けます!」

「なら、行こう」

 少年が歩き出す。

 カエデは慌てて、その後を追った。

 草原を抜ける風が、制服の裾を揺らす。

 数歩進んだところで、カエデはちらりと隣を見た。

 やはり、似ている。

 どうしよう。

 もし本当に、あの人だったら。

 もし、ここが本当に――。

「……あの」

「ん?」

「お名前、聞いてもいいですか?」

 少年は、こちらを見た。

「俺はアレル」

 その瞬間、カエデの思考が止まった。

「…………」

 アレル。

 今、アレルって言った?

 いや、待って。

 落ち着こう。

 同じ名前の人なんて、いるかもしれない。

 いるかもしれないけれど。

 あの見た目で。

 あの装備で。

 アリアハンの近くにいて。

 名前が、アレル。

 …………。

「…………あ、そう、なんですね」

 声が、ひっくり返りかけた。

 アレルが不思議そうに彼女を見る。

「……何か?」

「い、いえ! なんでもないです!」

「……そうか」

 納得しているのか、していないのか。

 アレルはそれ以上追及せず、前を向いた。

 カエデは口元を押さえた。

 どうしよう。

 どうしようどうしよう。

 名前まで一致してしまった。

 これはもう、偶然で片づけていいのだろうか。

 いや、でも、まだ決まったわけではない。

 決まったわけではないのだ。

 そう自分に言い聞かせながら、カエデは歩いた。

 ――そして。

 草原の向こうに、町が見えた。

 白い壁。

 見張りの塔。

 遠くからでも分かる、見覚えのある街並み。

 町へ近づくにつれて、カエデの足取りが少しずつ遅くなった。

 石造りの建物。

 道の曲がり方。

 門の向こうに見える景色。

 知っている。

 知っているはずだ。

 画面の中で、何度も見た。

 何度も歩いた。

 けれど、実際に目にする景色は、記憶の中のそれとはまるで違っていた。

 建物の壁には細かな凹凸があり、石畳の隙間からは小さな草が顔を出している。人々の声や、どこかの店から漂ってくる食べ物の匂いまでが、風に乗って届いてきた。

 町は、生きていた。

 ゲームの背景ではない。

 誰かが暮らし、笑い、働いている、本物の町だった。

「……すごい」

 カエデは、思わず足を止めた。

「……何がだ?」

「えっ、あっ、いや! なんでもないです!」

 慌てて歩き出す。

 危ない。

 また変なことを言うところだった。

 でも、仕方がない。

 だって、ここは。

 ここは、もしかして本当に。

「……アリアハン、なんだ」

 小さく漏れた呟きに、アレルが反応した。

「そうだが」

「……えっ」

「さっき、そう言っただろう?」

「そ、そうでしたね!」

 カエデは勢いよく頷いた。

 やってしまった。

 知っていることを、知っているように口にしてしまった。

 アレルはしばらく彼女を見ていたが、やがて小さく息をついた。

「……お前、少し変わっているな」

「へっ!?」

「いや。悪い意味ではない」

「ほ、ほんとですか……?」

「少なくとも、今のところは」

「今のところ!?」

 思わず声が大きくなった。

 アレルが、ほんのわずかに口元を緩めた。

 笑った。

 その顔を見たカエデは、またしても言葉を失いかけた。

 ――ああ、もう。

 やっぱり、似ている。

 似ているどころではない。

 この人は。

 もしかして、本当に。

 けれど、その答えを確かめる前に、アレルが口を開いた。

「俺は、これから城へ行く」

「……お城?」

「ああ。旅立つ前に、王様に挨拶をしておきたいんだ」

 旅立つ。

 王様。

 城。

 その言葉が、カエデの頭の中でつながっていく。

 まさか。

 まさか、そんな。

 アレルは、歩きながら続けた。

「俺は今日、勇者として旅に出る。その前に、王様に報告しておく必要があるんだ」

「…………」

 カエデの足が止まった。

 勇者。

 旅立ち。

 頭の中で、すべてがひとつになった。

 目の前にいる少年。

 アリアハン。

 ――ああ。

 やっぱりそういうことか。

 ここは、ドラゴンクエストIIIの世界だ。

 しかも、物語の始まり。

 まだ、バラモスを倒す旅が始まっていない時点の。

 理解した瞬間、カエデの口が勝手に動いた。

「……えっ。じゃあ、バラモスを倒しに行くの!?」

 言ってから、気づいた。

 しまった。

 アレルが、ゆっくりと振り返った。

「…………」

「…………」

 沈黙。

 町を行き交う人々の声が、急に遠くなった気がした。

 アレルの表情から、わずかな笑みが消えていた。

「……なぜ、バラモスの名を知っている?」

「…………」

「俺は今、初めてお前に話したはずだが」

「…………」

 カエデは、口を開いた。

 閉じた。

 もう一度、開いた。

「……えっと」

「うん」

「……その」

「……?」

「……あ、あはは、さっきすれ違った人達がそんな噂をしてたというか…」

 乾いた笑いが、喉から漏れた。

 アレルは笑わなかった。

 当然だ。

 出会ったばかりの少女が、見たこともない服装をしていて、町のことを知っているような口ぶりをして、そのうえ、まだ詳しく話していない旅の目的まで言い当てたのだから。

 不思議に思わないほうがおかしい。

 カエデは、ぎこちなく頷いた。

「……勘、かな?」

 どうしよう。

 どう説明すればいいのだろう。

 異世界から来たことも。

 この世界の物語を知っていることも。

 あなたが、自分の知っている勇者そのものだということも。

 何ひとつ、うまく説明できる気がしなかった。できたとしても、きっと狂った奴だと思われてしまう。
いっそのこと、この世界の住人だとしてしまった方が、この場だけは乗り切れるのか……

 アレルは黙り込んでしまった彼女をしばらくの間見つめていたが、やがて城のほうへ視線を向けた。

「……ひとまず、城へ行こう。話はそれからだ」

「……お城?」

「ああ。俺は王様に会わなければならないし、お前のことも気になる」

「……あ、あの、私、怪しい者では……」

「それは、話を聞いてから判断する」

「ですよねぇ……」

 カエデは肩を落とした。

 どうやら、自分はとんでもないことを口走ってしまったらしい。

 怖い。

 不安だ。

 何も分からない。

 それでも。

画面の向こうでしか知らなかった勇者が、今、自分の隣を歩いている。

 それだけは、夢でも幻でもなかった。

 すぐそばから聞こえる足音も、風に揺れる赤いマントも、隣を歩く少年の気配も、すべてが現実だった。

 何度も見てきたはずの横顔を、カエデはそっと盗み見る。

 画面越しなら、どれほど見つめていても、こちらの視線に気づかれることはなかった。けれど、今は違う。目が合えば、きっと何かを尋ねられる。自分が知っている彼と、目の前にいる彼。その違いを、どう受け止めればいいのだろう。

 そんなことを考えていると、隣を歩いていたアレルが、ふと足を緩めた。

「お前の名前を教えてくれないか?」

 不意に向けられた声に、カエデの肩が小さく跳ねる。

 そういえば、まだ名乗っていなかった。

 当然のことを聞かれただけなのに、胸の奥が落ち着かない。彼に自分の名前を告げる――たったそれだけのことが、どうしてこんなにも特別に感じられるのだろう。

「……カエデです。」

振り絞るようにそう告げると、アレルは確かめるように繰り返した。

「……カエデ、か」

カエデは制服の裾をぎゅっと握りしめた。

 そして、心の中で小さく呟いた。

 ――どうしよう。

 私、本当に。

 ドラゴンクエストIIIの世界に来ちゃったんだ。

 まだ何も知らないまま。

 この世界で、これから何が起こるのかも。

 隣を歩く勇者と、どんな旅をすることになるのかも。

 何ひとつ、知らないまま。
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