酩酊日記
首
2023/03/12 21:47死のうと思った訳では無い。ただ 意識を手放して、首を絞めるほど辛かったんだなあって自分を慰める口実をつくりたかっただけで。ぼうっとした頭は心地いい。考えられないから、不安も緊張もなくなって自我もぼんやりとしてやがて眠る。紐をどこかに引っ掛けているわけでもなく、ただ手でぎゅ、と締めているだけだから眠れば手から力が抜けて血は巡り、目が覚める。だからこれじゃあ死のうにも死ねない。だと言うのに 必死の形相で帰ってきたママをみて 気まずくなった。嬉しかったのは本当だけど。そういえばカメラあるんだったな。って。心配してほしくないなんていうのは嘘だけど、いざ心配されると恥ずかしくなって後ろに隠してしまう。別に死のうと思うほど悩んでいた訳では無いのだから。ただ楽になりたくて。毎日不安で仕方がないから。一瞬だけでもね。「頼むから死ぬな」ってママらしくない。ママは私が死んでも悲しみはするだろうけど、半年あればそういえば死んだんだっけってなるような人だと思ってたのに。変なの。嬉しかった。「何がつらい?何が不安なんだ?全部、俺がどうにかするから」別に私は何が不安というわけではなく、不安というのは私の魂の1部であるので取り除くとかそういうことではないと伝えたら、本当に泣きそうな顔をしていた。ママも不安なんだね。不安というのは、原因があるものなんて極わずかなんだよ。だから誰も悪くないんだよ。それは魂の機能だよ。生き抜くための機能。生命のための不安。だから取り除かなくたっていいの。つらくてつらくてしょうがないけど。死んじゃいたいって思うこともあるけど。泣いちゃうのは生きているからだって父は言っていた。死んだら泣かなくていいって魅力的だけれど、ママの涙は美しいから失われてしまうのは嫌、それを観測する私が居なくなるのも嫌。だからまだ生きている。ぐちゃぐちゃになったママを抱きしめて「ごめんね」と言ったらキツく抱きしめられた。私達こんなのばっかりだね。もっと何かないの?幸せな記憶。今度一緒に映画でもみようね。ポップコーンつくってあげるから。体の大きい貴方だからこそ、私の全身で抱きしめてあげられる。そのこと、忘れないでいたい。「君が死んでしまったら、俺は、守るべきものを見失ってしまう」「この家に囚われているのは君じゃなくて俺だということを痛感するなあ」「ごめんなあ」また謝っていた。