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小野篁中心
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正月。
それは新たなる年がやってきたことを祝う日。そして正月といえば様々なイベントが行われます。おせちを食べたり。年賀状が届いたり。
……初詣に行ったり。
そう。私は現在お付き合いしている、小野篁くんと共に初詣に行くのです。
この日のために、母にわがままを言って早朝から振袖を着付けてもらいました。まだ空が暗い頃から髪を整えてメイクをして……初の日の出は襦袢姿で迎えました。篁くんがいない初の日の出よりも、篁くんがいる初詣の方が今の私には重要だったのです。
何度も全身鏡で細かい修正を入れつつも赤い振袖に身を包んだ私は、振袖が気崩れないようにちまちまと小股で歩き待ち合わせの場所へと向かいました。
首元のフェザーショールのせいで若干汗をかいてきました。待ち合わせ場所の付近につきスマホを確認すると「到着した」と簡略的な一言が送られてきていました。お待たせさせている。小さな一歩を重ねなんとか待ち合わせ場所に向かいます。篁くんらしき男性が壁の前で姿勢正しく立っているのが見えました。篁くんは背が高いので遠くにいてもすぐに分かります。
黒髪に赤色のメッシュ。そして大きな金色の耳飾りとネックレス。目は諸事情あって特殊な包帯に隠れこんでいます。勤勉かつ秀才である彼ですがかなりのおしゃれさんなのです。
そんな篁くんですが、今はコート姿で紙コップのコーヒーをゆっくり嗜んでいます。その様になっている姿に心を射抜かれた私は大股でその場から逃げ出そうかと思いましたが、なんのために振袖を着たんだ。と深呼吸で高鳴る心臓を抑えようとします。
寒さと緊張で震える体に対し、余裕を演じた表情で篁くんの前へと進みます。篁くんもこちらに気付き、二人の視線が交わされました。
『あけましておめでとうございます』
私は篁くんに微笑みます。優しく柔らかな笑みをイメージしたのですが、頬は若干強ばっています。彼をドン引きさせていないことを願います。
しかし肝心の篁くんですが、こちらを凝視したままずっと無言。流石に焦りを感じ、余裕ぶっていた態度がいつもの態度に戻ってしまいました。
『ごめんなさい、本当に待たせてしまいましたか?』
結局さっきの余裕ぶった微笑みはなかったことになり、慌てる私見て篁くんは
「いや、支障ない」
と一言添えて中身がない紙コップを少し凹ませました。
「あけましておめでとう」
無事に二人会うことができました。いざ、神社へのお参りを!と思っていたところ。長い人の列とそれを誘導しているお兄さんの姿に圧巻されました。今回行くのは縁結びで有名な神社なのですが、多くの老若男女で構成されている太い列と列整理お兄さんお姉さんの大声が響き渡ります。中には、私と同じ振袖姿の女性がいました。
『随分と並んでいますね』
結局並ぶことにした私と篁くんですが、意外と列はスムーズに進んでいきます。周りの人たちよりかなり口数が少ない私たちは少し蚊帳の外のようで寂しくなりましたが、その二人だけの沈黙の空間を篁くんが切り開きました。
「縁結びで有名なゆえか、やはり恋人たちが多いな
確かに老若男女入り乱れてはいますが距離を近くして楽しそうに話している男女を多く見かけました。中には手を繋いでいたり、腕を組んでいたり。なんて大胆な。私は篁くんと手を繋いだり、腕を組んでいる姿を想像して一人で熱暴走を起こすところでした。
『篁くんは、何をお願いするつもりですか?』
私たちがお参りに行くのは恋愛の神様。もちろん私は篁くんとの縁が続くことを願います。篁くんは少し黙り込んだあと、こう言いました。
「対してお前は何を願う?」
篁くん、逃げました。
篁くんは照れくさいことがあるとすぐに逃げるのです。黙り込むし、話を逸らす。でもそんなところがかわいいのです。
『篁くんともっと仲良くなれますように…とお願いするつもりです』
私は正直にお願いごとを伝えます。内側から一気に火照っていく体。特に頬と耳は今すぐに氷嚢で冷やしたいほどです。ちらりと篁くんの方を見ると、少し微笑んでいます。
「私も同じだ」
その一言で今までがやがやと騒がしかった周辺の音が聞こえなくなりました。
その後数十分は並び、お参りが終わりました。流石に体が冷え込んでいるので屋台でお汁粉を買おうという話になり、篁くんは率先して私の分も買ってきてくれました。私はその間待ってるだけだったので、なんだか申し訳ない気持ちにもなります。
篁くんが買ってきてくれたお汁粉。なんと中には大きなお餅が入っています。先程神社で餅つきをしていたそうで、そこでできたものだとのこと。
お汁粉をゆっくり口の中に含むと、濃厚な甘みが広がります。小豆のざらざらした感じもたまりません。ちょうど良い温かさは体を芯から温めてくれます。
隣を見ると、大きなお餅を一口で食べている篁くんがいました。少年のようにお餅を頬張る篁くんに、少し吹き出してしまいました。篁くんは子恥ずかしそうにそっぽを向いています。なら私も、とお餅を食べようと思いましたが本当によく伸びます。あの篁くんの大きな口では一口で食べられましたが私の口では無理です。伸びに伸びて中々噛み切れないお餅に苦戦していたらまた篁くんは微笑んで
「餅を喉に詰まらせぬように」
と言いました。く、悔しい。
私がしばらくお餅と苦戦し、やっとお汁粉を飲み干せた頃に篁くんは私の頭を見てこう言いました。
「その梅の花の飾りは」
まさか気付いてくれるとは思っていませんでした。篁くんが梅の花が好きだと言っていたのを覚えていたのです。折角なら好きな人の好きなものを身に付けたいと思い髪飾りを新調したのです。特に白梅を大々的に取り入れてみました。
『篁くん、梅の花が好きだと言っていたので』
やっぱり言葉にするとなんだか恥ずかしいものです。私は無意識に後頭部に手をやり白梅の髪飾りを軽く撫でました。
「…そうか」
篁くんはそう一言呟いたあと、
「初めて見た時から思っていたが、実に花が似合う」
と大きな手で私の後頭部に軽く手を添えました。これは、もしや…!?と軽く目を瞑ろうと思いましたが、その前に篁くんは手を退けてしまいました。
「これ以上はいけない…」
と自分に言い聞かせるように呟く篁くん。これ以上何をするつもりだったんでしょうか。聞く勇気もなく、私たちは帰路につくことになりました。
私は車でお迎えがあるので、途中で別れることになりました。結局あの時、篁くんは何をしようとしていたのか。分からずじまいですがいつか分かるだろう、とその時のお楽しみにしておこうと思います。
『今年も、よろしくお願いします』
今年もまたあなたといたい。そんな想いを込めて一言、新年の挨拶をします。無意識に柔らかくなっている私の表情を見て、篁くんは優しく微笑みました。
「こちらこそよろしく頼む」
挨拶を終え、二人はそれぞれの帰路につきました。私は車の中で、帰宅後に送る篁くんへのメッセージを考えています。また数日後に会うのに。もう会いたい。ふと脳裏に浮かんだその言葉をつい打ち込んでしまい、慌ててメッセージを消すのでした。
それは新たなる年がやってきたことを祝う日。そして正月といえば様々なイベントが行われます。おせちを食べたり。年賀状が届いたり。
……初詣に行ったり。
そう。私は現在お付き合いしている、小野篁くんと共に初詣に行くのです。
この日のために、母にわがままを言って早朝から振袖を着付けてもらいました。まだ空が暗い頃から髪を整えてメイクをして……初の日の出は襦袢姿で迎えました。篁くんがいない初の日の出よりも、篁くんがいる初詣の方が今の私には重要だったのです。
何度も全身鏡で細かい修正を入れつつも赤い振袖に身を包んだ私は、振袖が気崩れないようにちまちまと小股で歩き待ち合わせの場所へと向かいました。
首元のフェザーショールのせいで若干汗をかいてきました。待ち合わせ場所の付近につきスマホを確認すると「到着した」と簡略的な一言が送られてきていました。お待たせさせている。小さな一歩を重ねなんとか待ち合わせ場所に向かいます。篁くんらしき男性が壁の前で姿勢正しく立っているのが見えました。篁くんは背が高いので遠くにいてもすぐに分かります。
黒髪に赤色のメッシュ。そして大きな金色の耳飾りとネックレス。目は諸事情あって特殊な包帯に隠れこんでいます。勤勉かつ秀才である彼ですがかなりのおしゃれさんなのです。
そんな篁くんですが、今はコート姿で紙コップのコーヒーをゆっくり嗜んでいます。その様になっている姿に心を射抜かれた私は大股でその場から逃げ出そうかと思いましたが、なんのために振袖を着たんだ。と深呼吸で高鳴る心臓を抑えようとします。
寒さと緊張で震える体に対し、余裕を演じた表情で篁くんの前へと進みます。篁くんもこちらに気付き、二人の視線が交わされました。
『あけましておめでとうございます』
私は篁くんに微笑みます。優しく柔らかな笑みをイメージしたのですが、頬は若干強ばっています。彼をドン引きさせていないことを願います。
しかし肝心の篁くんですが、こちらを凝視したままずっと無言。流石に焦りを感じ、余裕ぶっていた態度がいつもの態度に戻ってしまいました。
『ごめんなさい、本当に待たせてしまいましたか?』
結局さっきの余裕ぶった微笑みはなかったことになり、慌てる私見て篁くんは
「いや、支障ない」
と一言添えて中身がない紙コップを少し凹ませました。
「あけましておめでとう」
無事に二人会うことができました。いざ、神社へのお参りを!と思っていたところ。長い人の列とそれを誘導しているお兄さんの姿に圧巻されました。今回行くのは縁結びで有名な神社なのですが、多くの老若男女で構成されている太い列と列整理お兄さんお姉さんの大声が響き渡ります。中には、私と同じ振袖姿の女性がいました。
『随分と並んでいますね』
結局並ぶことにした私と篁くんですが、意外と列はスムーズに進んでいきます。周りの人たちよりかなり口数が少ない私たちは少し蚊帳の外のようで寂しくなりましたが、その二人だけの沈黙の空間を篁くんが切り開きました。
「縁結びで有名なゆえか、やはり恋人たちが多いな
確かに老若男女入り乱れてはいますが距離を近くして楽しそうに話している男女を多く見かけました。中には手を繋いでいたり、腕を組んでいたり。なんて大胆な。私は篁くんと手を繋いだり、腕を組んでいる姿を想像して一人で熱暴走を起こすところでした。
『篁くんは、何をお願いするつもりですか?』
私たちがお参りに行くのは恋愛の神様。もちろん私は篁くんとの縁が続くことを願います。篁くんは少し黙り込んだあと、こう言いました。
「対してお前は何を願う?」
篁くん、逃げました。
篁くんは照れくさいことがあるとすぐに逃げるのです。黙り込むし、話を逸らす。でもそんなところがかわいいのです。
『篁くんともっと仲良くなれますように…とお願いするつもりです』
私は正直にお願いごとを伝えます。内側から一気に火照っていく体。特に頬と耳は今すぐに氷嚢で冷やしたいほどです。ちらりと篁くんの方を見ると、少し微笑んでいます。
「私も同じだ」
その一言で今までがやがやと騒がしかった周辺の音が聞こえなくなりました。
その後数十分は並び、お参りが終わりました。流石に体が冷え込んでいるので屋台でお汁粉を買おうという話になり、篁くんは率先して私の分も買ってきてくれました。私はその間待ってるだけだったので、なんだか申し訳ない気持ちにもなります。
篁くんが買ってきてくれたお汁粉。なんと中には大きなお餅が入っています。先程神社で餅つきをしていたそうで、そこでできたものだとのこと。
お汁粉をゆっくり口の中に含むと、濃厚な甘みが広がります。小豆のざらざらした感じもたまりません。ちょうど良い温かさは体を芯から温めてくれます。
隣を見ると、大きなお餅を一口で食べている篁くんがいました。少年のようにお餅を頬張る篁くんに、少し吹き出してしまいました。篁くんは子恥ずかしそうにそっぽを向いています。なら私も、とお餅を食べようと思いましたが本当によく伸びます。あの篁くんの大きな口では一口で食べられましたが私の口では無理です。伸びに伸びて中々噛み切れないお餅に苦戦していたらまた篁くんは微笑んで
「餅を喉に詰まらせぬように」
と言いました。く、悔しい。
私がしばらくお餅と苦戦し、やっとお汁粉を飲み干せた頃に篁くんは私の頭を見てこう言いました。
「その梅の花の飾りは」
まさか気付いてくれるとは思っていませんでした。篁くんが梅の花が好きだと言っていたのを覚えていたのです。折角なら好きな人の好きなものを身に付けたいと思い髪飾りを新調したのです。特に白梅を大々的に取り入れてみました。
『篁くん、梅の花が好きだと言っていたので』
やっぱり言葉にするとなんだか恥ずかしいものです。私は無意識に後頭部に手をやり白梅の髪飾りを軽く撫でました。
「…そうか」
篁くんはそう一言呟いたあと、
「初めて見た時から思っていたが、実に花が似合う」
と大きな手で私の後頭部に軽く手を添えました。これは、もしや…!?と軽く目を瞑ろうと思いましたが、その前に篁くんは手を退けてしまいました。
「これ以上はいけない…」
と自分に言い聞かせるように呟く篁くん。これ以上何をするつもりだったんでしょうか。聞く勇気もなく、私たちは帰路につくことになりました。
私は車でお迎えがあるので、途中で別れることになりました。結局あの時、篁くんは何をしようとしていたのか。分からずじまいですがいつか分かるだろう、とその時のお楽しみにしておこうと思います。
『今年も、よろしくお願いします』
今年もまたあなたといたい。そんな想いを込めて一言、新年の挨拶をします。無意識に柔らかくなっている私の表情を見て、篁くんは優しく微笑みました。
「こちらこそよろしく頼む」
挨拶を終え、二人はそれぞれの帰路につきました。私は車の中で、帰宅後に送る篁くんへのメッセージを考えています。また数日後に会うのに。もう会いたい。ふと脳裏に浮かんだその言葉をつい打ち込んでしまい、慌ててメッセージを消すのでした。
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