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小野篁中心
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それは大学の授業が始まる前のこと。いつも一番乗りで席に座り読書を楽しむ私ですが、私のお気に入りの席に一つの手紙が置いてありました。誰かの忘れ物かしら、と手紙を手に取り裏を見てみるとそこには私の名前がとても美しくなめらかな筆跡で刻まれていました。
私への手紙。誰からかしらと便箋を破かぬように純白の封筒をぺりぺりと開封すると中からまた純白の便箋が複数枚出てきました。そして、私の名前を刻んだ筆跡が姿を現しました。
興味に促されるままその中身を読むと、それが恋文であることがわかりました。心拍数がなだらかに上がっていく中、私の指が綺麗。微笑む姿がかわいらしい。そして勉学に真剣に励む姿、大学の隅に咲く季節の花を愛でる姿が美しいなどと褒め言葉のオンパレードに顔が鉄板のように熱くなります。
そして何より、とても詩的で一冊の本を読んでいるかのように心動かされるのです。誰が、こんな手紙を書いたのでしょうか。一番最後まで読み進めても、送り主の名前は一切書かれていませんでした。しかしここに手紙があるということは一番乗りの私より早く来たということです。私は一つの案を思いつきました。
次の日。いつも登校する時間より、早く教室に着きました。こっそりと昨日手紙があった席にお返事の手紙を置いてわざと一回教室を去るのです。こうすれば、お返事を受け取ってもらえる確率は高くなります。
少し時間を潰し、教室に戻ると案の定手紙はなくなっていました。準備のために偶然早く教室に来てしまった教授に回収されていないことをを祈るばかりです。
さらにその次の日、また純白の封筒が私の席に置いてありました。私は食らいつくように封筒に手を伸ばし優しく封を切るとまた流水のように滑らかな筆跡でお返事の感謝と愛が囁かれていました。
それからというもの、私は顔も知らない殿方と毎日手紙を交わす仲になりました。その殿方は、私を褒める際に決して前と被る言葉を使いませんでした。
数日が経った頃、私はその殿方がどんな方なのか興味を抱き、人が少ない朝に裏の庭で会いたいと書きました。少し戸惑わられたのでしょう。少しの間返事が返ってきませんでした。そしていつもより少ない便箋の中で了承の内容が書かれていました。
会うその日になりました。あんなに情熱的な文章を書く人ですから、きっと優しくて朗らかな殿方が来るとわくわくしていました。いえ、もしかしたら文面だけでいじわるな方かもしれません。とにかく耳の奥に心拍音しか伝わらない中、足音だけは聴き逃しませんでした。思わず顔を上げると、そこには男性の胸が写りました。とても身長が高いということです。
ゆっくり顔を上に向けると、しかめっ面をした美形の顔が見えました。学年首席の小野篁くん。文武両道で、教授を唸らせるほどの学力を持ちながら少し反抗的な一面も持つと聞きます。
そんな大学の中でも有名な殿方が目の前にいる事実。私はぽっかりと口が空いた中、篁くんが続いて口を開きました。
「…申し訳ない。驚かせてしまっただろうか」
『い、いえ』
嘘です。とても驚きました。あの天才と呼ぶにふさわしい殿方が私の前に現れ、私に恋心を抱いている事実。その現実を処理するため、少し下を向いてしまいました。
「文で申した通り、私はあなたに恋情を抱いている」
「ただそれを伝えられた。それだけで私は満ち足りている。今後は一切関与せぬと誓おう」
少し冷たい言葉を言い放ち、去ろうとする篁くん。このままでは二度と私の目の前に現れてくれないと焦った私は篁くんの手をつい取ってしまいました。
『あ、あの』
咄嗟の行動とはいえ、殿方の手を軽々しく握ってしまった羞恥に体が震えます。篁くんも驚いたのか少し口を開けてこちらを見ています。だけれども、彼と会えなくなるリスクに比べたらこんなもの些細なことのように思えました。
『私はまだあなたと言葉を交わしたいです』
無意識に、逃がさないというかのように彼の手をさらに強く握ります。
『このあと、お茶でもどうですか』
私はもっとあなたを知りたい。強く握った手を離さないでいると、篁くんはゆっくりと低い声を発しました。
「…差し支えない」
その言葉を聞いた瞬間、つい笑みがこぼれてしまいました。そして手に伝わる少しごつごつした感触に気が付き、一気に手を離しました。
『ご、ごめんなさい!つい!』
一気に襲いかかる羞恥とまだ残る篁くんの手の感触にまた俯いていると、篁くんは私に背を向けました。
「授業が終わり次第、ここで待っている」
そう言って篁くんは庭から去っていきました。篁くんの後ろ姿が見えなくなった頃、私は篁くんとデートに行くという事実に気付き軽い悲鳴をあげました。
そのあと、にやけ顔で教室に戻ったら友達に笑われてしまいました。しかし私の心のうきうきは止まりません。その日だけは授業に集中できませんでした。
私への手紙。誰からかしらと便箋を破かぬように純白の封筒をぺりぺりと開封すると中からまた純白の便箋が複数枚出てきました。そして、私の名前を刻んだ筆跡が姿を現しました。
興味に促されるままその中身を読むと、それが恋文であることがわかりました。心拍数がなだらかに上がっていく中、私の指が綺麗。微笑む姿がかわいらしい。そして勉学に真剣に励む姿、大学の隅に咲く季節の花を愛でる姿が美しいなどと褒め言葉のオンパレードに顔が鉄板のように熱くなります。
そして何より、とても詩的で一冊の本を読んでいるかのように心動かされるのです。誰が、こんな手紙を書いたのでしょうか。一番最後まで読み進めても、送り主の名前は一切書かれていませんでした。しかしここに手紙があるということは一番乗りの私より早く来たということです。私は一つの案を思いつきました。
次の日。いつも登校する時間より、早く教室に着きました。こっそりと昨日手紙があった席にお返事の手紙を置いてわざと一回教室を去るのです。こうすれば、お返事を受け取ってもらえる確率は高くなります。
少し時間を潰し、教室に戻ると案の定手紙はなくなっていました。準備のために偶然早く教室に来てしまった教授に回収されていないことをを祈るばかりです。
さらにその次の日、また純白の封筒が私の席に置いてありました。私は食らいつくように封筒に手を伸ばし優しく封を切るとまた流水のように滑らかな筆跡でお返事の感謝と愛が囁かれていました。
それからというもの、私は顔も知らない殿方と毎日手紙を交わす仲になりました。その殿方は、私を褒める際に決して前と被る言葉を使いませんでした。
数日が経った頃、私はその殿方がどんな方なのか興味を抱き、人が少ない朝に裏の庭で会いたいと書きました。少し戸惑わられたのでしょう。少しの間返事が返ってきませんでした。そしていつもより少ない便箋の中で了承の内容が書かれていました。
会うその日になりました。あんなに情熱的な文章を書く人ですから、きっと優しくて朗らかな殿方が来るとわくわくしていました。いえ、もしかしたら文面だけでいじわるな方かもしれません。とにかく耳の奥に心拍音しか伝わらない中、足音だけは聴き逃しませんでした。思わず顔を上げると、そこには男性の胸が写りました。とても身長が高いということです。
ゆっくり顔を上に向けると、しかめっ面をした美形の顔が見えました。学年首席の小野篁くん。文武両道で、教授を唸らせるほどの学力を持ちながら少し反抗的な一面も持つと聞きます。
そんな大学の中でも有名な殿方が目の前にいる事実。私はぽっかりと口が空いた中、篁くんが続いて口を開きました。
「…申し訳ない。驚かせてしまっただろうか」
『い、いえ』
嘘です。とても驚きました。あの天才と呼ぶにふさわしい殿方が私の前に現れ、私に恋心を抱いている事実。その現実を処理するため、少し下を向いてしまいました。
「文で申した通り、私はあなたに恋情を抱いている」
「ただそれを伝えられた。それだけで私は満ち足りている。今後は一切関与せぬと誓おう」
少し冷たい言葉を言い放ち、去ろうとする篁くん。このままでは二度と私の目の前に現れてくれないと焦った私は篁くんの手をつい取ってしまいました。
『あ、あの』
咄嗟の行動とはいえ、殿方の手を軽々しく握ってしまった羞恥に体が震えます。篁くんも驚いたのか少し口を開けてこちらを見ています。だけれども、彼と会えなくなるリスクに比べたらこんなもの些細なことのように思えました。
『私はまだあなたと言葉を交わしたいです』
無意識に、逃がさないというかのように彼の手をさらに強く握ります。
『このあと、お茶でもどうですか』
私はもっとあなたを知りたい。強く握った手を離さないでいると、篁くんはゆっくりと低い声を発しました。
「…差し支えない」
その言葉を聞いた瞬間、つい笑みがこぼれてしまいました。そして手に伝わる少しごつごつした感触に気が付き、一気に手を離しました。
『ご、ごめんなさい!つい!』
一気に襲いかかる羞恥とまだ残る篁くんの手の感触にまた俯いていると、篁くんは私に背を向けました。
「授業が終わり次第、ここで待っている」
そう言って篁くんは庭から去っていきました。篁くんの後ろ姿が見えなくなった頃、私は篁くんとデートに行くという事実に気付き軽い悲鳴をあげました。
そのあと、にやけ顔で教室に戻ったら友達に笑われてしまいました。しかし私の心のうきうきは止まりません。その日だけは授業に集中できませんでした。
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