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はじまり
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「よく来たな!待ってたぜ!ペロリン」
「ペロス兄さん!」
船から降りるとペロスペローさんがいた。きっと待ってくれてたのだろうか。
「怪我は平気か?ペロリン」
『だいぶ良くなりました。激しい運動さえしなければ大丈夫だとカカオ島のお医者さんにも言われたので…』
「そりゃ良かった」
「兄さん。私、先に部屋に行ってるわ。荷物の確認もしたいしね」
『プリンちゃん!?』
『一人であの荷物は重くない?』
「いいのいいの、ホーミーズが手伝ってくれるから」
『でも…』
ペロスペローさんが後ろからぬっ、と現れる。
「俺と二人きりは不満か?」
『い、いえそういうわけじゃ!』
ただ男性と二人きりで歩くなんてしたことないし何より恥ずかしい。プリンちゃんは先に行ってしまいもじもじとする私を見てペロスペローさんはにっこりと笑い、持っているキャンディの杖を街に向けた。
「さあ、街を案内するぜ!ペロリン」
赤、青、黄色。パステルカラーやドットカラーなど様々な色が並ぶカラフルな街並み。どれも艶々としていて、まるでオズのエメラルドのお城のようだ。
『すごい…』
「お褒めに預かり、光栄だぜペロリン」
『カカオ島だと全てがチョコレートで出来ていたけど、キャンディ島では全てがキャンディなんですね』
「そうだな、島によって建造物の主軸が違う。だが全てがキャンディなわけではないぜ?あの家の煙突を見てみな」
「煙突はビスケットで出来ている。キャンディは熱に弱いからなぁ。柱や煙突などはキャンディより強度の高いビスケットで補っているんだ」
フルーツなどもある。
「それぞれの島の特産品は建造物含めいくらでも食べていいことになってるんだぜペロリン」
『えっ!?建造物!?』
『ということは、あのオシャレな家も…?』
「食べていいぜ。だがキャンディ以外や、雨風を凌ぐ屋根などは食べちゃいけねぇ」
「折角キャンディ島に来たんだ、キャンディを好きなだけ食べるといいぜ」
『い、いえ流石にお店の既製品を買いますので…』
「律儀だなあ」
職人さんには敬意としてお金を払わなければならない。もちろんパティシエにも。そんなたった10数年の人生からつくられた自論の元、ペロスペローさんの甘いお誘いを断った。それにあの大きさのキャンディを舐めていたら自分の歯の方が心配になってくる。
「かといってキャンディ島に来てキャンディを食べないで帰るのも職人としては見過ごせねえ。こちらをどうぞペロリン」
ペロスペローさんは自分の帽子についているキャンディを抜き取り、子供にお菓子をあげるかのようにしゃがんで煌めくそれを差し出す。
『それ食べれたんですか』
「もちろんだ、さあご賞味あれ」
受け取ったキャンディは宝石のようにキラキラと輝いている。私がいた世界にも、宝石カットを施した飴とかあったなぁ…と思いつつキャンディを口の中に入れる。
『お、美味しい!』
味はべっこう飴に近いが、それでも優しくて後味がすっきりとした甘みがある。プリンちゃんのチョコレートといい、この国のお菓子を食べてしまったら仮に元の世界に戻ったとしてもそこらのお菓子じゃ満足できなくなりそうだ。
「喜んでもらえて何よりだ」
そこからペロスペローさんから貰った飴を舐めながら、キャンディ島の施設や産業について色々教えてもらった。隣にペロスペローさんがいるだけで人が寄ってきて何かしら甘いものをくれるので、両手にいっぱいのお菓子を持った私を見てペロスペローさんはくくく、と笑った。
「ところで、婿選びは順調か?」
『お恥ずかしながらペロスペローさんが初めてのお見合い相手です』
「そうか」
その返事の後、少し間を空けてペロスペローさんが口を開いた。
「初めて会った時は手荒なことをしちまったな」
『いえいえ、お互い事情は知らなかったことですし仕方ないです』
「優しいお嬢さんだ」
まあ、そりゃ空から女が降ってきたら敵襲だと思うよな…と口の中の飴を弄ぶ。じわじわと口の中の糖度が増していく。心地いい。
「海賊には勿体ねぇくらいにな…」
ボソ、と何かペロスペローさんが何か呟いたような気がして彼を見上げると「どうした?」とにこやかに笑った。もう飴はパリッ、と砕けるくらいに溶けていた。
「ペロス兄さん!」
船から降りるとペロスペローさんがいた。きっと待ってくれてたのだろうか。
「怪我は平気か?ペロリン」
『だいぶ良くなりました。激しい運動さえしなければ大丈夫だとカカオ島のお医者さんにも言われたので…』
「そりゃ良かった」
「兄さん。私、先に部屋に行ってるわ。荷物の確認もしたいしね」
『プリンちゃん!?』
『一人であの荷物は重くない?』
「いいのいいの、ホーミーズが手伝ってくれるから」
『でも…』
ペロスペローさんが後ろからぬっ、と現れる。
「俺と二人きりは不満か?」
『い、いえそういうわけじゃ!』
ただ男性と二人きりで歩くなんてしたことないし何より恥ずかしい。プリンちゃんは先に行ってしまいもじもじとする私を見てペロスペローさんはにっこりと笑い、持っているキャンディの杖を街に向けた。
「さあ、街を案内するぜ!ペロリン」
赤、青、黄色。パステルカラーやドットカラーなど様々な色が並ぶカラフルな街並み。どれも艶々としていて、まるでオズのエメラルドのお城のようだ。
『すごい…』
「お褒めに預かり、光栄だぜペロリン」
『カカオ島だと全てがチョコレートで出来ていたけど、キャンディ島では全てがキャンディなんですね』
「そうだな、島によって建造物の主軸が違う。だが全てがキャンディなわけではないぜ?あの家の煙突を見てみな」
「煙突はビスケットで出来ている。キャンディは熱に弱いからなぁ。柱や煙突などはキャンディより強度の高いビスケットで補っているんだ」
フルーツなどもある。
「それぞれの島の特産品は建造物含めいくらでも食べていいことになってるんだぜペロリン」
『えっ!?建造物!?』
『ということは、あのオシャレな家も…?』
「食べていいぜ。だがキャンディ以外や、雨風を凌ぐ屋根などは食べちゃいけねぇ」
「折角キャンディ島に来たんだ、キャンディを好きなだけ食べるといいぜ」
『い、いえ流石にお店の既製品を買いますので…』
「律儀だなあ」
職人さんには敬意としてお金を払わなければならない。もちろんパティシエにも。そんなたった10数年の人生からつくられた自論の元、ペロスペローさんの甘いお誘いを断った。それにあの大きさのキャンディを舐めていたら自分の歯の方が心配になってくる。
「かといってキャンディ島に来てキャンディを食べないで帰るのも職人としては見過ごせねえ。こちらをどうぞペロリン」
ペロスペローさんは自分の帽子についているキャンディを抜き取り、子供にお菓子をあげるかのようにしゃがんで煌めくそれを差し出す。
『それ食べれたんですか』
「もちろんだ、さあご賞味あれ」
受け取ったキャンディは宝石のようにキラキラと輝いている。私がいた世界にも、宝石カットを施した飴とかあったなぁ…と思いつつキャンディを口の中に入れる。
『お、美味しい!』
味はべっこう飴に近いが、それでも優しくて後味がすっきりとした甘みがある。プリンちゃんのチョコレートといい、この国のお菓子を食べてしまったら仮に元の世界に戻ったとしてもそこらのお菓子じゃ満足できなくなりそうだ。
「喜んでもらえて何よりだ」
そこからペロスペローさんから貰った飴を舐めながら、キャンディ島の施設や産業について色々教えてもらった。隣にペロスペローさんがいるだけで人が寄ってきて何かしら甘いものをくれるので、両手にいっぱいのお菓子を持った私を見てペロスペローさんはくくく、と笑った。
「ところで、婿選びは順調か?」
『お恥ずかしながらペロスペローさんが初めてのお見合い相手です』
「そうか」
その返事の後、少し間を空けてペロスペローさんが口を開いた。
「初めて会った時は手荒なことをしちまったな」
『いえいえ、お互い事情は知らなかったことですし仕方ないです』
「優しいお嬢さんだ」
まあ、そりゃ空から女が降ってきたら敵襲だと思うよな…と口の中の飴を弄ぶ。じわじわと口の中の糖度が増していく。心地いい。
「海賊には勿体ねぇくらいにな…」
ボソ、と何かペロスペローさんが何か呟いたような気がして彼を見上げると「どうした?」とにこやかに笑った。もう飴はパリッ、と砕けるくらいに溶けていた。