階段売り物語
階段を売り始めてどのくらい経っただろうか。がむしゃらに働いていただけなのだが、気付けば『凄腕の階段売り』と言われるようになっていた。客の要望に応えるため、ヒアリングを繰り返しているだけで特別なことは何もしていない。ただ一点を除いては。
「本当にピッタリね!貴方に頼んでよかったわ!」
「ご期待に応えることができて、私も嬉しいです」
今回も要望に添えることが出来た。いつもより多くヒアリングをした甲斐があったな。
「それにしても伸び縮みする階段なんて初めて見たわ。けれどこの階段なら、どんな高さでも合わせやすくて便利ね」
そう。俺が売っているのは「伸縮する階段」。他のやつが売っている階段とはこの一点だけが違う。あとは他の奴と同じだ。蹴上 げ、踏 み面 、段鼻 、側板 などをどういう物にするのか。これを客に念入りに確認し、俺の階段へと反映させる。
「また何か不便がございましたら、ご連絡ください。失礼致します」
ニコリともせず玄関から出るが、特に何も言われる事は無い。最初の顔合わせの際に笑う事が苦手である事、不快な思いをさせてしまう恐れがある事を説明し、同意を得ているからだ。
「さて。次のお宅に行くか」
笑わない俺は今日も階段を売りに行く。
「本当にピッタリね!貴方に頼んでよかったわ!」
「ご期待に応えることができて、私も嬉しいです」
今回も要望に添えることが出来た。いつもより多くヒアリングをした甲斐があったな。
「それにしても伸び縮みする階段なんて初めて見たわ。けれどこの階段なら、どんな高さでも合わせやすくて便利ね」
そう。俺が売っているのは「伸縮する階段」。他のやつが売っている階段とはこの一点だけが違う。あとは他の奴と同じだ。
「また何か不便がございましたら、ご連絡ください。失礼致します」
ニコリともせず玄関から出るが、特に何も言われる事は無い。最初の顔合わせの際に笑う事が苦手である事、不快な思いをさせてしまう恐れがある事を説明し、同意を得ているからだ。
「さて。次のお宅に行くか」
笑わない俺は今日も階段を売りに行く。
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