序章
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母の死因はなんだったのだろうか?おそらく病死だろう。それか衰弱死か。この時代で治せない病ならどうしようもないが、父が原因のひとつならどうにかできる。幸いなことに俺は人に気に入られるすべは持っているし、忍耐力は人一倍あるのだ。父は母を奴隷のように扱うが、俺には少しばかり優しい。そうなるように努力していたのだから、そうじゃなきゃならない。
それから数年経って、かわいい弟は人間らしくなった。つまりは歩いたり会話できるようになったということだ。
母の出身は知らないが、彼女は上級階級の人間と関わる方法を知っていた。立ち振る舞いや食事、言葉遣いのマナー、暗黙の了解などだ。彼女は俺たち兄弟にもっと良い暮らしをーー人に頭を下げて、路地裏を歩き回って、その日の食事だけ稼ぐようなものじゃない暮らしをーー望んでいて、どこかの貴族の使用人でもと考えているらしかった。それか教育に力を入れているから、学校に行ってまともな仕事をと考えているのかもしれない。彼女は教えるのは得意であったし、俺は彼女の教える教育は社会常識的なもの以外は大抵知っていたから、自然と彼女と相互理解が計れるようになっていて、いつも喜ばせた。父はそんな俺たちにイラつきをおぼえていたが、それ以上に俺はよく働いたし、彼の機嫌を取るための努力を母よりも上手くやっていたから、問題は起こっていなかった。
父個人の問題は多い。例えばジョースター卿の指輪を売ろうとして警察に捕まったり、(そしてジョースター卿の好意で保釈してもらい、まさかお金さえ貰ってきた)新しく経営し始めた酒場が上手くいかずにいつもイライラしてたりする。最近は母に手を上げる回数も増えた。そういうとき、母は俺たちをかばいながら大丈夫だと言うのだが、大きなアザを持ったその顔を見て、心穏やかになれるわけはない。弟には父が母を虐げている様子を見て欲しくないから、危ないと思ったら最近は外に出ている。両親の不仲も子どもに取っては影響を及ぼす。そうやって弟をかばっても、聡い子どもだから傷ついているし、俺が仕事に出ているときはどうしたって逃れようがない。そんなときは、夜に一緒に寝てあやすことしかできない。
まだ10もいかない子どもができる仕事はたかがしれていたが、運良く配達のときに知り合った人間たちから色々な情報や知識を得ることは出来た。同世代の子どもよりかなり体格が良かったのも生活する上で好ましかった。とにかくこの下水道で這いずり回るネズミのような生活から飛び出たかった。そこまで自分は不便はしてないが、弟にはこの生活から早く出て欲しい。できれば、母や父が死ぬ前に。
語学にそこそこ精通していた俺は、赤ん坊の頃から中国語と日本語、英語について話すことが出来たし多少の文字もかけたので、そうとう他の子どもよりも有利であった。文字を読める、書けるというのはこの時代では重要だ。簡単な翻訳の仕事もこっそりとしたことがある。来る日のために仕事や家事、母の教えをもらうとき以外はほとんど勉強している。アラビア語や英語の方言、近くにあるフランス語とかだ。アラビア語は最近求めてる取引先を知ったからだ。彼はどうやらエジプトで発掘作業を行いたがっている。かなりの高報酬で。
俺のアドバイスやそれとなく伝えた知識によって、父と母は今もかなり元気な様子を見せた。父は酒浸りだし、母は、……酒屋の常連にしつこい者がいて最近は憔悴してるけれど。どちらもすぐに死なないだろう。
それから数年経って、かわいい弟は人間らしくなった。つまりは歩いたり会話できるようになったということだ。
母の出身は知らないが、彼女は上級階級の人間と関わる方法を知っていた。立ち振る舞いや食事、言葉遣いのマナー、暗黙の了解などだ。彼女は俺たち兄弟にもっと良い暮らしをーー人に頭を下げて、路地裏を歩き回って、その日の食事だけ稼ぐようなものじゃない暮らしをーー望んでいて、どこかの貴族の使用人でもと考えているらしかった。それか教育に力を入れているから、学校に行ってまともな仕事をと考えているのかもしれない。彼女は教えるのは得意であったし、俺は彼女の教える教育は社会常識的なもの以外は大抵知っていたから、自然と彼女と相互理解が計れるようになっていて、いつも喜ばせた。父はそんな俺たちにイラつきをおぼえていたが、それ以上に俺はよく働いたし、彼の機嫌を取るための努力を母よりも上手くやっていたから、問題は起こっていなかった。
父個人の問題は多い。例えばジョースター卿の指輪を売ろうとして警察に捕まったり、(そしてジョースター卿の好意で保釈してもらい、まさかお金さえ貰ってきた)新しく経営し始めた酒場が上手くいかずにいつもイライラしてたりする。最近は母に手を上げる回数も増えた。そういうとき、母は俺たちをかばいながら大丈夫だと言うのだが、大きなアザを持ったその顔を見て、心穏やかになれるわけはない。弟には父が母を虐げている様子を見て欲しくないから、危ないと思ったら最近は外に出ている。両親の不仲も子どもに取っては影響を及ぼす。そうやって弟をかばっても、聡い子どもだから傷ついているし、俺が仕事に出ているときはどうしたって逃れようがない。そんなときは、夜に一緒に寝てあやすことしかできない。
まだ10もいかない子どもができる仕事はたかがしれていたが、運良く配達のときに知り合った人間たちから色々な情報や知識を得ることは出来た。同世代の子どもよりかなり体格が良かったのも生活する上で好ましかった。とにかくこの下水道で這いずり回るネズミのような生活から飛び出たかった。そこまで自分は不便はしてないが、弟にはこの生活から早く出て欲しい。できれば、母や父が死ぬ前に。
語学にそこそこ精通していた俺は、赤ん坊の頃から中国語と日本語、英語について話すことが出来たし多少の文字もかけたので、そうとう他の子どもよりも有利であった。文字を読める、書けるというのはこの時代では重要だ。簡単な翻訳の仕事もこっそりとしたことがある。来る日のために仕事や家事、母の教えをもらうとき以外はほとんど勉強している。アラビア語や英語の方言、近くにあるフランス語とかだ。アラビア語は最近求めてる取引先を知ったからだ。彼はどうやらエジプトで発掘作業を行いたがっている。かなりの高報酬で。
俺のアドバイスやそれとなく伝えた知識によって、父と母は今もかなり元気な様子を見せた。父は酒浸りだし、母は、……酒屋の常連にしつこい者がいて最近は憔悴してるけれど。どちらもすぐに死なないだろう。