ジョースター家への旅路
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舗装されていない道を通っている。馬車は激しく揺れている。安いお金で雇った者だから運転が上手くない。ほんとのちょっと段差があるだけで天井に頭があたるくらい狭いし、数時間この中で過ごさなきゃいけないのは辛いものがある。きちんとした身なりをしたディオは、外を見ながらこれからを思う。
ジョースター家。どうやら庶民から貴族になった一族らしく、資産家である。例に漏れず地元の連中からは貴族だから、という理由と、元は庶民ということで舐めてかかる者が多い。といってもジョースター卿は福祉への投資や地元への気遣いが多いらしいから慕われているとも聞く。
孤児院の経営もしており、自分の立場は恩人の息子でもあるし悪くは無いだろう。同い年の息子がジョースター卿にもいるらしいが、きっと貴族の子どもらしく甘くてぼんくらなやつだ。今は客として行く立場だから滅多なことは出来ないが、行く行くはジョースター家を踏み台にして登りつめてやろう、…ディオらそんなふうに考えていた。
大きな門を過ぎると、素晴らしく整った庭が現れる。
(こんな庭があったって何をするんだ?)
ひょいと窓から外を見ると小道の端から少年が馬車の前に飛び出すところだった。「おい!」と言うと、少年は馬車に気づいて顔色を変えた。いきなり人死に出会うのかとディオもヒヤリとしたが、御者がすんでのところで馬を引いて止まらせた。
ばん!と扉を蹴り破って、ディオは少年の前に飛び降りる。いまだに地面にへたりこんでいる黒髪の少年は、自分の隣に投げ捨てられたバッグケースに驚いて立ち上がった。
「おい君!急に馬車の前に飛び出たら危ないじゃあないか」
少々苛立ちを隠せないまま声を張り上げて言った。
「ご、ごめん。お客さんが来るのは夜だと聞いてたものだから……」
そう言う少年をちら、とみると、ずいぶんいい服装をしている。なぜだか服も手も汚れているが質のいい服は分かる。
「もしかして、…君はジョナサン・ジョースター」
「そういう君はディオ・ブランドーだろう!もっと勉強をするために来たとか」
ジョースター卿の息子、ジョナサンはディオに握手を求めて手を差し出した。
「ああ、そうだよ。よろしく」
手を握り返すことなくディオは自分の鞄を持った。泥だらけの手を握る気にはなれない。ジョナサンは自分の手の状態に気づいて、高そうな服で拭いとる。
「ごめん、向こうでいい場所があってさ。夢中で遊んでたら泥だらけになっちゃったんだ。そうだ!君も行かないかい」
「遠慮しとくよ。まず、ジョースター卿にあいさつしなきゃいけないから」
「じゃあ終わったら行こうよ」
その言葉に返事をせずに玄関へ足を向ける。ジョナサンは素っ気ない新たな同居人にいささか落胆している様子だったが、生垣の後ろから犬の声が聞こえると、ビクッと肩をはねらせた。
「うわっ、ダニーだ!ダニーが来た」
「ダニー?」
「ぼくの犬さ。でも、人の腕を噛むようなやつだからね。あんまり近寄らない方がいい」
「へぇ」
ジョナサンは近くにあった箒を持って、駆け寄ってきた白と黒ぶちの猟犬らしいダニーを追い払おうとする。ダニーは少し怯んだが、見かけない少年に気づいてそっちの方へ走った。
「危ないよ!」
忠告をするが、ディオはまったく動こうとしない。それどころか犬の目を真っ直ぐに見つめて腕を揃えて構えた。いったい何をするんだろうか、とジョナサンはドキドキした。尻尾を振りながらディオに飛びつこうと犬は走りよる。ディオは思い切り右足を犬の腹に食い込ませ、蹴りあげた!ダニーは哀れな鳴き声を発して地面に転がる。ちょうどジョナサンの足元に倒れ込んだ。
「ええ!き、君、急に何をするんだ!」
「なんだい。君が危ない犬だって教えてくれたんじゃないか。犬ってのは強いものに従うもんさ」
「でも……」
(いくらなんでもやりすぎた。この子はちょっと怖い子なのかもしれない)
よろよろと立ち上がったダニーを見もせず歩いて行ったディオに、ジョナサンは不安を覚えた。これから上手く共に過ごせるのだろうか?
ジョースター家。どうやら庶民から貴族になった一族らしく、資産家である。例に漏れず地元の連中からは貴族だから、という理由と、元は庶民ということで舐めてかかる者が多い。といってもジョースター卿は福祉への投資や地元への気遣いが多いらしいから慕われているとも聞く。
孤児院の経営もしており、自分の立場は恩人の息子でもあるし悪くは無いだろう。同い年の息子がジョースター卿にもいるらしいが、きっと貴族の子どもらしく甘くてぼんくらなやつだ。今は客として行く立場だから滅多なことは出来ないが、行く行くはジョースター家を踏み台にして登りつめてやろう、…ディオらそんなふうに考えていた。
大きな門を過ぎると、素晴らしく整った庭が現れる。
(こんな庭があったって何をするんだ?)
ひょいと窓から外を見ると小道の端から少年が馬車の前に飛び出すところだった。「おい!」と言うと、少年は馬車に気づいて顔色を変えた。いきなり人死に出会うのかとディオもヒヤリとしたが、御者がすんでのところで馬を引いて止まらせた。
ばん!と扉を蹴り破って、ディオは少年の前に飛び降りる。いまだに地面にへたりこんでいる黒髪の少年は、自分の隣に投げ捨てられたバッグケースに驚いて立ち上がった。
「おい君!急に馬車の前に飛び出たら危ないじゃあないか」
少々苛立ちを隠せないまま声を張り上げて言った。
「ご、ごめん。お客さんが来るのは夜だと聞いてたものだから……」
そう言う少年をちら、とみると、ずいぶんいい服装をしている。なぜだか服も手も汚れているが質のいい服は分かる。
「もしかして、…君はジョナサン・ジョースター」
「そういう君はディオ・ブランドーだろう!もっと勉強をするために来たとか」
ジョースター卿の息子、ジョナサンはディオに握手を求めて手を差し出した。
「ああ、そうだよ。よろしく」
手を握り返すことなくディオは自分の鞄を持った。泥だらけの手を握る気にはなれない。ジョナサンは自分の手の状態に気づいて、高そうな服で拭いとる。
「ごめん、向こうでいい場所があってさ。夢中で遊んでたら泥だらけになっちゃったんだ。そうだ!君も行かないかい」
「遠慮しとくよ。まず、ジョースター卿にあいさつしなきゃいけないから」
「じゃあ終わったら行こうよ」
その言葉に返事をせずに玄関へ足を向ける。ジョナサンは素っ気ない新たな同居人にいささか落胆している様子だったが、生垣の後ろから犬の声が聞こえると、ビクッと肩をはねらせた。
「うわっ、ダニーだ!ダニーが来た」
「ダニー?」
「ぼくの犬さ。でも、人の腕を噛むようなやつだからね。あんまり近寄らない方がいい」
「へぇ」
ジョナサンは近くにあった箒を持って、駆け寄ってきた白と黒ぶちの猟犬らしいダニーを追い払おうとする。ダニーは少し怯んだが、見かけない少年に気づいてそっちの方へ走った。
「危ないよ!」
忠告をするが、ディオはまったく動こうとしない。それどころか犬の目を真っ直ぐに見つめて腕を揃えて構えた。いったい何をするんだろうか、とジョナサンはドキドキした。尻尾を振りながらディオに飛びつこうと犬は走りよる。ディオは思い切り右足を犬の腹に食い込ませ、蹴りあげた!ダニーは哀れな鳴き声を発して地面に転がる。ちょうどジョナサンの足元に倒れ込んだ。
「ええ!き、君、急に何をするんだ!」
「なんだい。君が危ない犬だって教えてくれたんじゃないか。犬ってのは強いものに従うもんさ」
「でも……」
(いくらなんでもやりすぎた。この子はちょっと怖い子なのかもしれない)
よろよろと立ち上がったダニーを見もせず歩いて行ったディオに、ジョナサンは不安を覚えた。これから上手く共に過ごせるのだろうか?