ジョースター家への旅路
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え?ぼくが貴族の家にだって?」
ディオが目を丸くして、兄と父を見た。向かい合わせに座る彼らは夕食のパンやらスープを食べている。
「そうさ、昔恩を売った貴族がお前を家に置いてくれるんだと」
ダリオが苦々しく言う。
「まったく幸運だな!ディオ。ちょびっと金をくれるのかと思ったら、家に置いて勉強させてくれるんだぜ。使用人でもねぇ、客人としてな」
「ちょ、ちょっと待てよ、父さん。ぼくは何にも聞いてないぜ」
「だろうよ。オレたちが決めたことだ」
ダリオはスープを飲んでるセオを叩いた。セオはディオに目を向けて笑う。
「おれは来月からエジプトに行くだろう。そのあとのお前が気になってたからな。父さんのツテを使って、できるだけ良い暮らしをさせられないか考えてたんだよ」
「ツテだって?」
訝しげにディオは父を見やる。そんなツテがあるようには見えない。
「なんだぁ?その顔は!ディオ!」
「とにかく俺がエジプトに行く前には、お前は貴族の世話になってるってことだ。名前はジョースター卿。場所はロンドンじゃあないが、この前行ってみたら空気の綺麗な所だった。田舎にしては何でもあるって感じだ」
「兄さんはエジプトへ出稼ぎに行って、ぼくは貴族に世話に?」
「おいおい。これでも結構話を進めるのに苦労したんだぞ」
ちらり、と父を見た。
「俺だって貴族のとこに行くのは一緒だ。俺の歳なら十分働けるし、働きながら学べる。遺跡の発掘なんて貴族の趣味みたいなものだしな……、ああ、そうだ。ジョースター卿にはお前と同い年の息子がいるらしいから、仲良くしろよ。仲良くする方が都合がいい」
もうほとんど決定された自分の行き先にディオは抗いたい衝動を持ったが、抑え込んだ。どう考えてもこの話は美味しいのだ。
「ふーん、…別に同い年の息子はどうでもいいけど、貴族の元で勉強できるのはいいな。働かなくてもいいだろうし」
「うん、そうだろう。俺もお前がちゃんとしたとこで生活できるなら安心して向こうに行ける」
「オレだけはこの狭い家に置いてけぼりってことだ。」
ダリオは大声で笑った。ディオは少し眉を寄せた。ほんのちょっぴりでもこの父に恩義を感じるのは嫌だった。
「父さんも頼んだら使用人とかにさせてくれるんじゃないか」
「馬鹿言うんじゃねえ。オレにだって仕事はある。貴族の世話になんて本当は、…なりたくねえんだ」
「俺たちの負担がなくなるんだから、新しい家に越してもいいかもしれないね。もし引っ越したら教えてよ」
「当たり前だろう。どうせいつかは戻るんだから」
戻るわけないだろう、とディオは思ったが「そうだね」と返した。それからもうこの家で食事を取るのも残り僅かかな、とほんの少し寂しく思った。