中学生
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恭弥くんがサクラ姉を好きになったのいつからだったかな。気づいたらもう、そうで。とってもわかりやすくてこれが恋する男の子かぁなんて思ったのを覚えている。ずっと同じひとを想い続けるってすごい熱量だと思う。恭弥くんには幸せになって欲しい、それこそサクラ姉みたいな優しくて綺麗で強くて健常な人と。それにはサクラ姉に言い寄る邪魔な誰かさんを排除しないといけないわけだけどわたし達はまだそれを叶えられずにいる。
「な、レイラ。数学教えてくんね?…レイラ?」
聞いてる?と山本くんがわたしの顔を覗き込んだ。
「あ、うん。いいよー。数学ね…」
ちら、と沢田くんの方を振り返るとリボーンに飛び蹴りを食らっているところだった。マイカがそれを笑顔で見ている。目は引いてるけど。
彼らは学校を休んでいる分の課題をこなしている最中だった。わたし達は邪魔しないようにお見舞いの品だけ渡して帰るはずだったんだけど「まあゆっくりしてけ」というリボーンのひとことで今のこの状況だ。
「どこがわからないの?」
「う〜ん…こっから、ここまで、かな」
「ほぼ全部ね」
これ、わたしがいる間に終わらないやつだ。最初の問題の文章を指差して垂れてくる横髪を耳にかける。この問題は、この数字とこの数字を公式に当てはめて、って山本くん全然プリント見てない。わたしの顔ばっかり見てる。今度はこっちが聞いてる?って聞く番。
ねえ?と彼の顔を見るとブラウンの瞳と視線がかち合う。
「何笑ってるの?」
「や、別に」
彼はなんだか嬉しそうに笑っている。わたしみたいな美人が勉強教えてくれて嬉しい?なんちゃって。何故かしばらく見つめ合っていたけど山本くんがわたしの背後に目を向けたことでそれは終了した。
「レイラ、そろそろ帰らないと…」
「えっもう帰んの?」
マイカが沢田くんを放置してこちらへやってきて、山本くんが残念そうな声をあげた。沢田くんはリボーンに腕を捻られている。ものすごいスパルタ。獄寺くんは相変わらず10代目と叫んでいた。
「来たばっかじゃん」
「ごめんね、用事あって」
「そっか…。なぁ、明日も来てくんね?勉強わかんないとこだらけでさ」
「明日も用事あるの、ごめんね。また今度」
「まじかぁ、残念」
眉を下げる山本くんに荷物を持ったマイカが「私なら来られるよ」と、良いのかな、優しいね。
「それなら是非頼みたいぞ」
「リボーンくん…」
「オレはツナ見んので精一杯でな」
その沢田くんは完全に魂抜けてるんだけど大丈夫?獄寺くんまで屍になってるのはどうして?何があったんだろう。獄寺くんは賢いはずなのに山本くんに勉強教えたりとかしないのかな。…しないんだろうね。
「マイカすっごく教えるの上手だから、山本くんめちゃくちゃ成績上がっちゃうかもね」
「おっ期待しちまうな」
「えっ、そんなこと…」
ないよぅ、とだんだん声が小さくなる。マイカが照れ照れしている。かわいい。
じゃあまた明日と山本くんとマイカが手を振り合う。沢田くんにも手を振ったけど彼は泡吹いてピクピクしてる。ここ病院だからきっと大丈夫よね。沢田くんのベッドの前を通ると獄寺くんが一瞬だけマイカを見た様な気がした。
「恭弥くんとサクラ姉、いい感じになってるといいなぁ」
「見に行っちゃう?」
「んー…ふふ。辞めとく」
◇◇◇
翌日約束通り、山本くんに勉強を教えるべく病室を訪ねた。焼いて来たお菓子と一緒に。男の子って甘いもの好きなイメージ無かったけどあっという間になくなっちゃった。獄寺くんも意外だけど結構食べる。これだけ喜んでくれるならまた作ってこようっと。
山本くんは飲み込みが早くて沢田くんが泣き叫ぶのを置いておいて、一足先に課題が完了した。
「ありがとなマイカ!ほんとわかりやすかったぜ。先生に向いてるんじゃね?」
「どういたしまして、これくらいなんでもないよ。褒めすぎだよー」
山本くん、頭は悪くないのに授業中寝てるから成績が悪いと見た。説明も論理立ててするより感覚の方が伝わるみたい。レイラに山本くんを教えるのは無理だったかも、レイラ一回見たら理解できるタイプだし。ほんとこれくらいのことでレイラの大事な時間を使うわけにはいかないから。
「レイラ用事があるって、忙しいのな」
「あ、うん。昨日はお見合いで今日はデートに出かけてったよ」
「お見合い!?デート!!?」
山本くんが目を見開いて驚いてる。沢田くんと獄寺くんもこちらを向いた。
「よくあるよ?お見合い。レイラをお嫁さんに欲しがる人が結構居て…まあ、昨日のも断ると思うけど」
「え…それは彼氏いるから?」
「あっ今日遊びに行ってる子はお友達みたいだよ。レイラ彼氏作らないし」
山本くんの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。首を傾げた彼の口から出たのは「彼氏じゃなくても2人で遊びに行くのはデートってことか」「うーん、まあそんな感じ」正確には目に入らない範囲で黒スーツが付いて回るから2人きりではないんだけどね。
「ヒバリとは付き合ってねえの?」
「えっなんで恭弥くん?ないない、ないよー。山本くんって面白いこと言うね!」