中学生
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マイカに告白した男子生徒を意識がなくならない程度に咬み殺し、双子に手を出すと僕が黙っていない旨を告げた。後はあの男子生徒が誰かに話しさえすれば、双子に手を出すリスクについて広まるだろう。良い虫除けになる。レイラはモテなくなる!とか文句を言うかもしれないが、マイカを守るための牽制だと言えば大人しくなるだろう。何だかんだ妹を大事にしているから。
さあ、僕も帰ろう。今週は何だか疲れた。
家にバイクを止め、玄関に向かう道すがら携帯電話を開くと双子の父親からメールが入っていた。『娘達をよろしく』なんだ?玄関の扉を開ける前に向こう側から引き戸が開かれる。正直気配がなかったので驚いた。
スーツ姿の長身の女性が現れる。
「お帰りなさいませ。恭弥坊っちゃん」
「ユリ?」
ユリは双子のSPを束ねる紫雲家の使用人でかなり強い。僕は闘う気にはならないが。ユリがいるということは双子もいるな。
案の定、僕の部屋の隣の部屋から双子が出てきた。
「おかえりー恭弥くん」「おかえりー」
「ただいま、今日来る日だっけ?」
「あれ?レイラ言ったんじゃなかったの?」
「マイカが言ったんだと思ってた」
「聞いてないよ」
「だって恭弥くんが先に帰ってなって言ってたから、てっきり」
なんだ悪いのは僕か。
「ごめんね」
「別にいいさ」
もう双子は半分身内のようなものだ。夏休みにもしょっちゅう来ていたし。
双子のいる部屋と会話だけできるように、少しだけ襖を開けたまま着替える。今日も暑かった。先に風呂に入ろうかな。時計を見ると夕飯まであまり時間がない。着替えるだけで済まそう。
「恭弥くん、今日金曜ロードショー見よ」
「君たちが9時までに風呂上がったらね」
◇◇◇
「今朝は山本が双子と話し込んでてビックリしたよ」
「てめえ、抜け駆けしてんじゃねえぞ」
「ははっ、ワリィワリィ」
獄寺くんは手柄独り占めしてんじゃねえぞと山本を睨む。本日はオレの家で晩ごはんを一緒に食べて反省会である。
「女子達がさ、部活見学の話してたから野球部もどうかって話したら意外と来てくれてさ」
「部活見学かぁ」
放課後残っておけばよかった。オレと獄寺くんは部活入ってないからさっさと帰っちゃった。
「意外と普通に仲良くなれると思うんだよなー」
「山本…」
「ケッ」
オレは未だにヒバリさんの言っていた双子は悪魔だっていう話が気になってるんだけど。
「レイラは悪魔ってか、小悪魔って感じじゃね?マイカはフツーに優しいしちょっと天然な感じ」
「そうなの?」
「あ、あとな2人とも近くで見れば見るほど可愛い」
「おまえ絆されてんじゃねーか」
「一般的な意見だって!」
確かに可愛いのは可愛いと思うけどさ、レイラは美人過ぎて近寄りがたさを感じるしほわっとしたマイカからも育ちの良さからかなにか自分とは遠いものを感じるんだ。
「ダメな男の代表みたいな考えだな」
「リボーン!!」
「その点山本はさすがだ。獄寺はもうちょい女子に興味持て。マフィアは女を大切にするもんだぞ」
リボーンが山本の肩に飛び乗る。
「で、どっちならモノにできそうだ?」
「小僧…流石にそこまではちょっと、な」
「そりゃそうだよリボーン。まだ1週間なんだから」
「やれやれ、甘いやつらだ。今週だけで双子は既に数人から告白されてるんだ。誰かと付き合い始めたりなんかしたら難易度上がるぞ」
「まじで!?」
◇◇◇
双子と並んで食事をとり、順番に風呂に入る。双子は時短!と言って一緒に入っていった。
上がってきた双子が髪を拭きながら時間を訪ねてくる。まだあと20分あるから髪を乾かしてこい。
その間僕は自分の部屋に上着を取りに行った。レイラが何度言っても寝巻きをキャミソールとショートパンツから変えないからだ。
夏休みに泊まりにきた時もそうだった。
『ちょっと薄着過ぎない?』
『フツーだよ』
『うそつけ。マイカの方が普通だろ』
マイカは半袖長ズボンの普通のパジャマだ。キャミソールショートパンツはレイラだけだ。そんな格好で寝たら冷える。
キャミソールで寝ようとするレイラの頭から僕のTシャツを被せた。
『きゃー』
『いいから着ろ』
レイラは意外と素直に僕のTシャツを着た。しまった。ショートパンツが隠れてなにも履いてないみたいに見える。これはこれで目に毒だ。僕は眉間を抑えた。……いいや、今日はもう寝るだけだし。
『お腹出して寝るんじゃないよ、おやすみ』
『恭弥くんおばあちゃんみたいなこという』
『おやすみ』『おやすみー』
そして今日もやはり薄着だった。紐しかかかっていない華奢な肩に乾かしたばかりの髪の毛がさらりと落ちる。
僕はパーカーをレイラに押し付けた。
「貸してあげるから、着て」
「いいの?」
いいさ、パーカー貸してやるくらい。レイラはパーカーを羽織ってソファに座る。トワから1人分空けてだ。
僕に真ん中に座れと。まあいつものことではあるが。
「ふふ。恭弥くんの匂いがする」
余った袖を口元に持っていき、こちらを見つめるレイラ。パーカーの先からのぞく指も声も全てがあざとい。他の男の前でやるなよ。確実に食われる。
映画は何度か見たことのあるアニメ映画だった。双子が意味もなく、腕を組んでくるので僕はポップコーンにも麦茶にも手が伸ばし辛かった。両腕を塞がれている僕と片手の空いている双子。たまに「あーん」とポップコーンを僕の口に運んでくる。君たちのどちらかが腕を離してくれたら解決なんだけどな。
ポップコーンがなくなり映画が終盤に差し掛かった頃、時折眠そうにあくびをしていたマイカの頭がこてんと僕の肩に乗った。
「寝ちゃった」
思ったより近くでレイラの声がした。レイラは眠ってしまった妹を愛おしそうに見ている。
「布団まで運ぼうか?」
「可哀想だけど、起こして歯磨きしなきゃ。洗面所まで運んであげて」
僕も疲れた1週間だけど、この子達も疲れたろう。
「君も運んであげようか」
「えっ」
太ももとソファのあいだに手を入れてかかえあげる振りをしようとしたが、自分の肌とは明らかに違う柔らかくて滑らかな感触と冷たい体温を感じて手を引っ込めた。レイラは一瞬、見たことのない顔をした。嫌がっているわけじゃなく、驚いただけでもない。珍しい戸惑った顔だ。
「ん、寝てたぁ」
そうこうしているとマイカが起きた。僕が動いたからか。
双子は一緒になって洗面所に向かっていった。