07.牛の子と10年後の夢主
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鳴海、しきみ、沙良、真琴の4人は、並盛町の探索をかねて買い物に出かけた。このメンバーがそろってから、初めての休日だった。
今やモール型のショッピングセンターが主流の時代でも、この商店街の賑わいはなかなかのものだった。おしゃれな店が立ち並び、商品にはこだわりが見られ、老若男女問わず人々が闊歩している。
ベッド、机、クローゼットなど大きいものはあとで家に届くようにしてもらい、こまごました小物、雑貨等々、それぞれ好みのものを買い込んだ。両手が紙袋でいっぱいになった頃には、すっかり昼下がりになっていた。
「そろそろごはん食べにいこうか。何がいい?」
鳴海はスマホを取り出し、近くの店を探し始める。
「……沙良の好きなもので」
真琴がそう振ってきたのだから、沙良はあわてて首を横に振った。
「え、私なんでもいいよ! あ、しきみは?」
こういう時、真っ先に自分の食べたいものを挙げるのがしきみなのだ。何も提案しないなんて珍しい、と思いつつ沙良はしきみのほうを向いた。が。
「あれ、しきみは?」
三人はあっけに取られて立ち尽くす。いつの間にか、しきみがいない。
*
『今日の運勢3位は〇〇座のあなた!新しい出会いの予感!ラッキーアイテムは飴玉!』
今朝、いつも見ているニュース番組で、しきみの占い結果は以上の通りだった。しょせん当たるはずもない、視聴者にむけたお遊び程度の占いだ。
気にするだけ無駄。そう分かっているつもりなのに、なぜかしきみはその占いが頭の片隅に引っかかっていた。気付けばお菓子を入れている棚を漁り、ブドウ味の飴玉をポケットに突っ込んでいた。
その後友人たちと買い物に行き、通りかかったビル街の公園に、小さな人影をみかけた。
5歳くらいの子供だった。背はこちらに向けていたが、ひくひくと子供が泣くときの、ひきつったような声がかすかに聞こえる。近くに親らしい大人もおらず、心配になって、ふらふらと近寄った。
「ねー、どうしたの?」
子供は白地に黒の斑点が散らばった服を着て、ほぼアフロと言ってもいいほどのくせっ毛に、角の飾りをつけていた。一見牛のコスプレのようだ。
しきみの呼びかけに、子供がくるりと振り返った。その顔は真っ赤に染まり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。必死に泣き止もうとしている、そんな感じだ。
「うっ……うっ……が、ま、ん」
「うん、我慢して偉いね」
子供はスタスタとしきみの足元にしがみついてきた。ティッシュを取ろうとポケットをさぐると、硬い固形物の感触がして、飴玉の存在を思い出した。
子供の顔をきれいに拭いてやるついでに、しきみは飴玉を(一応、5歳の子に与えていいかネットで調べた)子供に見せた。
「その……食べる?」
幼子の顔が、ぱっと輝いた。
今やモール型のショッピングセンターが主流の時代でも、この商店街の賑わいはなかなかのものだった。おしゃれな店が立ち並び、商品にはこだわりが見られ、老若男女問わず人々が闊歩している。
ベッド、机、クローゼットなど大きいものはあとで家に届くようにしてもらい、こまごました小物、雑貨等々、それぞれ好みのものを買い込んだ。両手が紙袋でいっぱいになった頃には、すっかり昼下がりになっていた。
「そろそろごはん食べにいこうか。何がいい?」
鳴海はスマホを取り出し、近くの店を探し始める。
「……沙良の好きなもので」
真琴がそう振ってきたのだから、沙良はあわてて首を横に振った。
「え、私なんでもいいよ! あ、しきみは?」
こういう時、真っ先に自分の食べたいものを挙げるのがしきみなのだ。何も提案しないなんて珍しい、と思いつつ沙良はしきみのほうを向いた。が。
「あれ、しきみは?」
三人はあっけに取られて立ち尽くす。いつの間にか、しきみがいない。
*
『今日の運勢3位は〇〇座のあなた!新しい出会いの予感!ラッキーアイテムは飴玉!』
今朝、いつも見ているニュース番組で、しきみの占い結果は以上の通りだった。しょせん当たるはずもない、視聴者にむけたお遊び程度の占いだ。
気にするだけ無駄。そう分かっているつもりなのに、なぜかしきみはその占いが頭の片隅に引っかかっていた。気付けばお菓子を入れている棚を漁り、ブドウ味の飴玉をポケットに突っ込んでいた。
その後友人たちと買い物に行き、通りかかったビル街の公園に、小さな人影をみかけた。
5歳くらいの子供だった。背はこちらに向けていたが、ひくひくと子供が泣くときの、ひきつったような声がかすかに聞こえる。近くに親らしい大人もおらず、心配になって、ふらふらと近寄った。
「ねー、どうしたの?」
子供は白地に黒の斑点が散らばった服を着て、ほぼアフロと言ってもいいほどのくせっ毛に、角の飾りをつけていた。一見牛のコスプレのようだ。
しきみの呼びかけに、子供がくるりと振り返った。その顔は真っ赤に染まり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。必死に泣き止もうとしている、そんな感じだ。
「うっ……うっ……が、ま、ん」
「うん、我慢して偉いね」
子供はスタスタとしきみの足元にしがみついてきた。ティッシュを取ろうとポケットをさぐると、硬い固形物の感触がして、飴玉の存在を思い出した。
子供の顔をきれいに拭いてやるついでに、しきみは飴玉を(一応、5歳の子に与えていいかネットで調べた)子供に見せた。
「その……食べる?」
幼子の顔が、ぱっと輝いた。
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