47.戦いの始まり
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映画の中で、少女が尋ねた。
「大人になっても人生は辛い?」
殺し屋は答えた。
「ああ、辛いさ」
こんなときに映画なんて、と思われるかもしれない。だがフィクションが、誰かの手によって作られた世界が、現実の苦しみをわずかでも紛らわしてくれることもある。
とっぷりと夜がふけた頃合いだった。鳴海、しきみ、沙良、真琴──4人は、ソファにかけて映画を見ていた。並んで座るというより、お互いに寄り添う形で。
ポップコーンやジュースはあいにく切らしていたが。
小一時間ほど前のことだ。
さまざまな思いで、4人は同居している家についた。簡単に食事を取り、入浴、睡眠、いつも通りの日常を送ろうにも、つきつけられた現実が行動を空回りさせる。
ざわついた心をなんとか押さえながら、しきみは布団に入り、あることを思い出した。机の引き出しから、しまいっぱなしだった瞑想CDを取り出す。鳴海に貸すと約束していたのだ。
彼女の部屋の前まで行き、ノックする。返事はない。というより、人の気配がなかった。階段を降りて1階のリビングへ向かうと、案の定、いた。ソファに一人、縮こまるようにして座っている。
「鳴海」
声をかけると、友人は静かに振り返る。弱々しく微笑んだ。近寄って、CDを目の前に差し出した。
「これ、言ってたやつ」
「ん、ありがとう」
そう言いつつ、渡されたケースを持て余しているように見えた。しきみはおもむろに隣に座る。
「……眠れないの?」
「……うん」
頷きながら、鳴海はCDを目の前のローテーブルに置いた。しきみは鳴海の肩に頭をあずけ、ぼんやりしながら言う。
「……今日はさ、色々あったね」
「うん」
「こんなときはさ……」
しきみが言いかけたのと同時に、かたん、と足音が後方から聞こえてきた。2人が振り向くと、寝間着姿の沙良の姿が。
「沙良〜!」
しきみが嬉しそうに立ち上がり、抱きつきに行く。それを受け止め、沙良は困り笑顔を浮かべた。
「なんだか眠れなくて。声が聞こえたから、もしかしたらって」
「あははっ、やっぱあの後寝るのは無理だよね! よしっ、こういうときは映画見ない?」
しきみが豪快に笑いながら提案し、今まで平静だった鳴海が表情を変えた。
「うん……うん……え、映画!?」
目を丸くする2人をよそに、しきみは液晶タブレットを取り出し、契約しているストリーミングサービスの画面を表示させ、居間のテレビにいそいそと繋げた。大画面で見るつもりだ。
だがはっとして、手を止める。
「そうだ、真琴寝てるよね、やっぱやめたほうが……」
その瞬間、隣の和室のふすまが数センチ開き、じいっとこちらを覗く視線が。
しきみがおいでおいでと手を振り、鳴海が来いよ、と顎でしゃくり、沙良がほら、と少し身を乗り出した。視線の主──真琴はさっとふすまを勢い良く開け、ぱたぱたとかけより、沙良の腕にしがみついた。
「真琴も映画見よ!」
しきみの提案に、真琴は首を縦にふった。
「真琴も眠れなかったのか?」
鳴海の問いにも同じだった。
映画は、たまたまストリーミングサイトのトップにおすすめされたものを選んだ。20年以上前の映画だが、ネットでも名作としてよく名が挙がっており、タイトルだけならなんとなく知っている者も少なくないだろう。
内容は、孤独な日々を送る殺し屋の男に、家族を殺され復讐を誓った少女が弟子入りして交流を深めるというものだった。裏社会のことで悩む今の4人に近からず遠からず。言い出しっぺのしきみは苦笑いをし、鳴海や沙良も気まずそうに笑い、真琴は静かにため息をついた。しかし今更ながら変える気も起こらず、視聴を続けた。
淡々と人を殺す主人公の男。常に纏うただならぬ雰囲気は、決して手に凶器を持っていない日常シーンの端々にさえ、恐ろしさを感じられた。役者の演技力の良さもあったが、鳴海は既視感があった。
それは帰宅する前に見たものだ。
***
時は小一時間ほど遡る。
沢田家光が現ボンゴレボス、9代目からの勅命を読み終えたのと同時に、またもや新たな勢力が姿を現した。
「おまたせしました」
2人の女だった。外灯に照らされたその姿は、肌はコーヒー色で浅黒く、髪はあざやかな桃色をし、目元をアイマスクのようなもので覆っている。身長や身幅がほとんど差異がないため、双子のようにも見えた。
彼女らを視界に入れた瞬間、4人は不可思議な感覚に囚われた。例えるなら見知らぬ土地でぐうぜん、同じ故郷の者に出くわしたときのような──初対面であるはずの彼女達と自分の間に、同族のような何かを感じたのだ。
困惑する少年少女達を置いて、2人の女はその場を取り仕切ろうとする。
「我々は9代目直属、”チェルベッロ”機関の者です。今回のリング争奪戦では、我々が審判を務めます。我々の決定は9代目の決定だと思ってください」
「9代目はこれがファミリー全体を納得させるための措置だと仰っています。異存はありませんか? XANXUS様」
チェルベッロと名乗った女達はあくまで、XANXUS側にのみ了承を取っていた。
XANXUSは沈黙を了解として返し、チェルベッロが礼を述べながら頭を垂れる。
家光が待ったをかけた。
「異議ありだ。そんな機関は聞いたことがない。ましてやジャッジを任せられるか」
しかし、チェルベッロはぴしゃりと言いはなった。
「異議は認められません。我々は9代目に使えているのであり、貴方の力の及ぶ存在ではない」
「何っ……」
眉根を寄せる家光。実質組織のNo.2であり、非常時にボスと同等の権利を持つといわれているCEDEF のトップ。
そんな家光ですら影響を及ぼすことの出来ないとは。彼女たちは一体何者なのか。
「本来ハーフボンゴレリングは、継承の式典の際、ボスの持つ一組と門外顧問の持つ一組、計二組が、各々が認めた7名に渡し、完全なリングの姿で継承されるものなのです」
「ですが今回は、異例の事態となってしまいました。2人がふさわしいと考える7名が食い違い、それぞれが違う人物に一方だけを配ったのです……」
それが、9代目が後継者と認めたXANXUS率いる7名と、家光が指輪を配った綱吉氏側の7名なのだという。
「明晩より、真にリングにふさわしいのはどちらなのか、命をかけて証明してもらいます」
命を懸けて──その言葉に、綱吉達は体を硬直させた。
「そして」
ここでチェルベッロの一人が、4人の少女達へと視線を落とした。感情がまったく読み取れない、仮面のような表情を向けられて、否が応でも緊張してしまう。
「稀有なことに、この時代において、エテルナリングが自ら持ち主を示しました。ですがヴァリアー側からは抗議の声が多く上がっており、9代目に選ばれた後継者側からの意見を無視はできません」
「海のリング、蘇芳 鳴海。
風のリング、近衛 しきみ。
光のリング、一ノ瀬 沙良。
闇のリング、立花 真琴」
一人一人名前を呼ばれ、ヴァリアーからも視線がそそがれる。しきみはひたすらチェルベッロのみに注目するようにし、沙良は震えて目を泳がせ、真琴はそんな沙良に寄り添いつつ下を向いていた。
唯一、鳴海のみが、鋭い視線をまっすぐ見つめ返していた。
「指輪は彼女たちを主と認めたと、指輪の声を聞く者・タルボは言っていました。ですが実際ヴァリアーの所属のいかんに関わらず、ボンゴレの中にはこの4名に長年眠りし秘宝がふさわしいものなのか、疑問を呈する声が多く上がっています」
「!!、待って、俺たちは」
鳴海が物申そうとして、一歩踏み出す。それを制したのはしきみだった。おさえて、と小さく口で動かす。
鳴海はそこで口ごもった。
自分達はチェッカーフェイスという男の手引きによりこの世界にやってきた。理由は教えてもらえなかったが、これでようやく少し判明した。そのエテルナリングの為に、自分たちは異世界より飛ばされ、加えてこの争いに巻き込まれたに違いない。
だが、それをここで説明したところで信じてもらえるのか?しかも、チェッカーフェイスは己のことは誰にも話すなと釘を刺してきた。(28.参照)そうでなければ、この世界で生きていく上で支援はできなくなるだろう、と脅してまで。
鳴海はぐっと拳を握りしめ、後ずさる。発言するつもりがないのを察し、チェルベッロは本題に戻る。
「先述しました通り、この4名に対しても、エテルナリング後継者としての実力を示してもらいます」
「場所は並盛中学校。詳しくは追って説明いたします」
「えっ、並中でやんの!?」
思わず綱吉が大きな声を出す。ヴァリアーをのぞいた皆に動揺が走った。決闘の場所が、いつも通っている学び舎とは。
「明晩11時、並盛中学校にてお待ちしています」
「さようなら」
「ちょ、待ってそんな……!」
綱吉達の制止を気にも止めず、チェルベッロ達はすぐさま姿をくらましてしまった。
これ以上ここにいる意味がないと、ヴァリアー側も撤退する気配を見せる。そのとき、立ち去り際にXANXUSが、狼狽えている綱吉を睨み付けた。
鋭い、野生の猛獣のような眼光。綱吉は恐怖のあまりへなへなと座り込み、鳴海があわてて懸けよる。鳴海はまたXANXUSを見上げ、精一杯睨み返したつもりだった。だが、きっと情けない顔をしているに違いない。鳴海は内心己を叱りつけていた。
「大人になっても人生は辛い?」
殺し屋は答えた。
「ああ、辛いさ」
こんなときに映画なんて、と思われるかもしれない。だがフィクションが、誰かの手によって作られた世界が、現実の苦しみをわずかでも紛らわしてくれることもある。
とっぷりと夜がふけた頃合いだった。鳴海、しきみ、沙良、真琴──4人は、ソファにかけて映画を見ていた。並んで座るというより、お互いに寄り添う形で。
ポップコーンやジュースはあいにく切らしていたが。
小一時間ほど前のことだ。
さまざまな思いで、4人は同居している家についた。簡単に食事を取り、入浴、睡眠、いつも通りの日常を送ろうにも、つきつけられた現実が行動を空回りさせる。
ざわついた心をなんとか押さえながら、しきみは布団に入り、あることを思い出した。机の引き出しから、しまいっぱなしだった瞑想CDを取り出す。鳴海に貸すと約束していたのだ。
彼女の部屋の前まで行き、ノックする。返事はない。というより、人の気配がなかった。階段を降りて1階のリビングへ向かうと、案の定、いた。ソファに一人、縮こまるようにして座っている。
「鳴海」
声をかけると、友人は静かに振り返る。弱々しく微笑んだ。近寄って、CDを目の前に差し出した。
「これ、言ってたやつ」
「ん、ありがとう」
そう言いつつ、渡されたケースを持て余しているように見えた。しきみはおもむろに隣に座る。
「……眠れないの?」
「……うん」
頷きながら、鳴海はCDを目の前のローテーブルに置いた。しきみは鳴海の肩に頭をあずけ、ぼんやりしながら言う。
「……今日はさ、色々あったね」
「うん」
「こんなときはさ……」
しきみが言いかけたのと同時に、かたん、と足音が後方から聞こえてきた。2人が振り向くと、寝間着姿の沙良の姿が。
「沙良〜!」
しきみが嬉しそうに立ち上がり、抱きつきに行く。それを受け止め、沙良は困り笑顔を浮かべた。
「なんだか眠れなくて。声が聞こえたから、もしかしたらって」
「あははっ、やっぱあの後寝るのは無理だよね! よしっ、こういうときは映画見ない?」
しきみが豪快に笑いながら提案し、今まで平静だった鳴海が表情を変えた。
「うん……うん……え、映画!?」
目を丸くする2人をよそに、しきみは液晶タブレットを取り出し、契約しているストリーミングサービスの画面を表示させ、居間のテレビにいそいそと繋げた。大画面で見るつもりだ。
だがはっとして、手を止める。
「そうだ、真琴寝てるよね、やっぱやめたほうが……」
その瞬間、隣の和室のふすまが数センチ開き、じいっとこちらを覗く視線が。
しきみがおいでおいでと手を振り、鳴海が来いよ、と顎でしゃくり、沙良がほら、と少し身を乗り出した。視線の主──真琴はさっとふすまを勢い良く開け、ぱたぱたとかけより、沙良の腕にしがみついた。
「真琴も映画見よ!」
しきみの提案に、真琴は首を縦にふった。
「真琴も眠れなかったのか?」
鳴海の問いにも同じだった。
映画は、たまたまストリーミングサイトのトップにおすすめされたものを選んだ。20年以上前の映画だが、ネットでも名作としてよく名が挙がっており、タイトルだけならなんとなく知っている者も少なくないだろう。
内容は、孤独な日々を送る殺し屋の男に、家族を殺され復讐を誓った少女が弟子入りして交流を深めるというものだった。裏社会のことで悩む今の4人に近からず遠からず。言い出しっぺのしきみは苦笑いをし、鳴海や沙良も気まずそうに笑い、真琴は静かにため息をついた。しかし今更ながら変える気も起こらず、視聴を続けた。
淡々と人を殺す主人公の男。常に纏うただならぬ雰囲気は、決して手に凶器を持っていない日常シーンの端々にさえ、恐ろしさを感じられた。役者の演技力の良さもあったが、鳴海は既視感があった。
それは帰宅する前に見たものだ。
***
時は小一時間ほど遡る。
沢田家光が現ボンゴレボス、9代目からの勅命を読み終えたのと同時に、またもや新たな勢力が姿を現した。
「おまたせしました」
2人の女だった。外灯に照らされたその姿は、肌はコーヒー色で浅黒く、髪はあざやかな桃色をし、目元をアイマスクのようなもので覆っている。身長や身幅がほとんど差異がないため、双子のようにも見えた。
彼女らを視界に入れた瞬間、4人は不可思議な感覚に囚われた。例えるなら見知らぬ土地でぐうぜん、同じ故郷の者に出くわしたときのような──初対面であるはずの彼女達と自分の間に、同族のような何かを感じたのだ。
困惑する少年少女達を置いて、2人の女はその場を取り仕切ろうとする。
「我々は9代目直属、”チェルベッロ”機関の者です。今回のリング争奪戦では、我々が審判を務めます。我々の決定は9代目の決定だと思ってください」
「9代目はこれがファミリー全体を納得させるための措置だと仰っています。異存はありませんか? XANXUS様」
チェルベッロと名乗った女達はあくまで、XANXUS側にのみ了承を取っていた。
XANXUSは沈黙を了解として返し、チェルベッロが礼を述べながら頭を垂れる。
家光が待ったをかけた。
「異議ありだ。そんな機関は聞いたことがない。ましてやジャッジを任せられるか」
しかし、チェルベッロはぴしゃりと言いはなった。
「異議は認められません。我々は9代目に使えているのであり、貴方の力の及ぶ存在ではない」
「何っ……」
眉根を寄せる家光。実質組織のNo.2であり、非常時にボスと同等の権利を持つといわれている
そんな家光ですら影響を及ぼすことの出来ないとは。彼女たちは一体何者なのか。
「本来ハーフボンゴレリングは、継承の式典の際、ボスの持つ一組と門外顧問の持つ一組、計二組が、各々が認めた7名に渡し、完全なリングの姿で継承されるものなのです」
「ですが今回は、異例の事態となってしまいました。2人がふさわしいと考える7名が食い違い、それぞれが違う人物に一方だけを配ったのです……」
それが、9代目が後継者と認めたXANXUS率いる7名と、家光が指輪を配った綱吉氏側の7名なのだという。
「明晩より、真にリングにふさわしいのはどちらなのか、命をかけて証明してもらいます」
命を懸けて──その言葉に、綱吉達は体を硬直させた。
「そして」
ここでチェルベッロの一人が、4人の少女達へと視線を落とした。感情がまったく読み取れない、仮面のような表情を向けられて、否が応でも緊張してしまう。
「稀有なことに、この時代において、エテルナリングが自ら持ち主を示しました。ですがヴァリアー側からは抗議の声が多く上がっており、9代目に選ばれた後継者側からの意見を無視はできません」
「海のリング、蘇芳 鳴海。
風のリング、近衛 しきみ。
光のリング、一ノ瀬 沙良。
闇のリング、立花 真琴」
一人一人名前を呼ばれ、ヴァリアーからも視線がそそがれる。しきみはひたすらチェルベッロのみに注目するようにし、沙良は震えて目を泳がせ、真琴はそんな沙良に寄り添いつつ下を向いていた。
唯一、鳴海のみが、鋭い視線をまっすぐ見つめ返していた。
「指輪は彼女たちを主と認めたと、指輪の声を聞く者・タルボは言っていました。ですが実際ヴァリアーの所属のいかんに関わらず、ボンゴレの中にはこの4名に長年眠りし秘宝がふさわしいものなのか、疑問を呈する声が多く上がっています」
「!!、待って、俺たちは」
鳴海が物申そうとして、一歩踏み出す。それを制したのはしきみだった。おさえて、と小さく口で動かす。
鳴海はそこで口ごもった。
自分達はチェッカーフェイスという男の手引きによりこの世界にやってきた。理由は教えてもらえなかったが、これでようやく少し判明した。そのエテルナリングの為に、自分たちは異世界より飛ばされ、加えてこの争いに巻き込まれたに違いない。
だが、それをここで説明したところで信じてもらえるのか?しかも、チェッカーフェイスは己のことは誰にも話すなと釘を刺してきた。(28.参照)そうでなければ、この世界で生きていく上で支援はできなくなるだろう、と脅してまで。
鳴海はぐっと拳を握りしめ、後ずさる。発言するつもりがないのを察し、チェルベッロは本題に戻る。
「先述しました通り、この4名に対しても、エテルナリング後継者としての実力を示してもらいます」
「場所は並盛中学校。詳しくは追って説明いたします」
「えっ、並中でやんの!?」
思わず綱吉が大きな声を出す。ヴァリアーをのぞいた皆に動揺が走った。決闘の場所が、いつも通っている学び舎とは。
「明晩11時、並盛中学校にてお待ちしています」
「さようなら」
「ちょ、待ってそんな……!」
綱吉達の制止を気にも止めず、チェルベッロ達はすぐさま姿をくらましてしまった。
これ以上ここにいる意味がないと、ヴァリアー側も撤退する気配を見せる。そのとき、立ち去り際にXANXUSが、狼狽えている綱吉を睨み付けた。
鋭い、野生の猛獣のような眼光。綱吉は恐怖のあまりへなへなと座り込み、鳴海があわてて懸けよる。鳴海はまたXANXUSを見上げ、精一杯睨み返したつもりだった。だが、きっと情けない顔をしているに違いない。鳴海は内心己を叱りつけていた。
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