04.新たな部下、そして再会
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「……しきみ…?」
沙良はブランコから立ち上がり、あたりを見渡した。ジャングルジム、シーソー、すべり台。公園の中はどれもが静かにたたずんでいる。
自分たち以外、誰もいない。そう、沙良と真琴以外、人っ子一人いなかった。
「しきみ!!しきみ!!」
あっけにとられた真琴の横で、沙良は何度も友人の名前を呼ぶ。だが、返事はない。
風に吹かれた木の葉が、ぱっと空へ旋回するような軽やかさだった。人が一人いなくなるにしては、あまりにもさわやかすぎるひととき。
目の前でしきみが消えた。跡形もなく。
「え、えっと……」
沙良は動揺しつつ、真琴を見つめる。普段ポーカーフェイスな彼女も、今度ばかりはかなり驚いている。口元をきゅっと結び、目を丸くして。
「しきみが、」
消えた。沙良の口からそう言葉が漏れ出る前に、真琴がかぶせてきた。
「ごめん。もう帰る」
「あ、う、うん……」
止める理由を、沙良は思いつかなかった。日は既に沈みかかっていた。辺りはしだいに薄暗くなっていく。
「もしかしたら、二人そろって、夢、見ている、かも」
真琴はそうつぶやいた。
「う、うん……そう、そうだよね。ありえないよね、こんな……」
沙良は無理やり笑顔を作るが、心の中で別の声が聞こえる。
これは夢ではない。たった今体験したばかりじゃないか。これは夢ではない。
「……じゃあ、また明日」
「うん……」
去っていく真琴の背中を見送った。沙良はブランコに再び腰かけ、軽く揺らす。
「どうしよう……どうしたら……」
このまま大人しく家に帰る気にもなれず、かといって外に居続けるのもためらいがあった。
身の置き場がわからない。自分がどこにいたらいいのかわからない。なにをすればいいのか、わからない。
沙良は膝上に置いた手で握りこぶしをつくる。迷子のような心細さは久しぶりだった。
****
並盛中学校の中庭は今、戦場と化していた。獄寺隼人のダイナマイトは留まることを知らず、あとからあとから湧いて出てくる。大量だ。一体その細身のどこに隠し持っているのか。
「すっごい……あの人どんだけ持ってるの……」
鳴海の呟きに、リボーンが答える。
「獄寺隼人は、体の至るところにダイナマイトを隠し持った人間爆撃機だ。
またの名を“スモーキン・ボム 隼人”」
「うっわ……嫌な二つ名だ……」
鳴海が青い顔をした。
一方綱吉は逃げるのに必死だった。運がいいのか、彼の中の潜在能力が目覚めたのか、今のところひとつも当たっていない。それが余計に獄寺を苛出せた。
これだけの大騒ぎにも関わらず、他の生徒や教師は一切こちらに来る気配を見せない。不思議に思った鳴海の考えを、赤ん坊はとっくに見抜いていたらしい。
「部外者は全員、ボンゴレの力を使って追い出しているからな。誰も来ない」
「……あの、もう一つ聞きたいことがあるんですが」
「……その敬語は取っ払っていいぞ」
ごほん、ごほんと咳ばらいをし、深呼吸をする。
「綱吉くんに、本当にボンゴレを継がせる気がある?」
前々から疑問だった。一週間、綱吉とリボーンをそばで眺めていたが、リボーンはかなりのスパルタ教師だ。言葉も態度もきついところがある。
現に、綱吉の命がかかっている今わの際ですら傍観している。鳴海はかなり疑問だった。
「跡継ぎ全員亡くなってるのに、綱吉くんに万が一のことがあれば……」
「俺がこの場にいること自体が、証明だ」
リボーンは言い切り、それ以上話そうとしなかった。鳴海はため息をつき空を仰ぐ。
そうこうしているうちに、綱吉が行き止まりにぶち当たってしまった。
「ひっ、う、うそ!!」
「終わりだ」
勝機が見えたか、獄寺は満足げにダイナマイトを投げる。
「つ、綱吉くんっ……!!」
助けようと鳴海が一歩踏み出したのと、リボーンが拳銃を取り出したのはほぼ同時だった。
「死ぬ気で戦え」
銃声。
綱吉の眉間を貫く銃弾。倒れる綱吉。起き上がる、パンツ一丁額に炎付きの綱吉の再来である。
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