醜い自分

『俺は妹に一目会いたい。会って一言謝りてぇンだ!』

俺の思いをアイツに打ち明けると、アイツは驚いたような表情で俺を見据える。

その表情は本気で俺を救ってやりたいと言っていて、俺は何故か胸が苦しくなった・・・。

俺は自分の欲望の為に、お前を利用しているのに・・・。

一瞬、自分の計画が密かに軋んだ。

でも、醜い俺は・・・お前の優しさを踏みにじる事にしたー・・・。

アイツの胸に自分の愛刀を突き刺した。

本当は、こんな事したくなかった・・・。

俺の刀が深々と胸に突き刺さったお前に近付き、俺は成るべく冷めた声で言った。

『大丈夫か?一護』

この言葉は嘘でも偽りでもない・・・俺の本心。

俺の本当の想いを隠す為、冷たい表情でアイツを見下ろし、顔には不気味な笑みを浮かべる。

嗚呼・・・きっと、今の俺は酷い顔をしているんだろうな・・・。

他人事のように思いながら俺は絶望しているアイツに淡々と言った。

『連中やお前には俺に協力して貰ってるだけだ』

俺を憎んで、嫌いになればいい・・・。

俺は咎人。

お前は死神代行。

お前が俺を好きになるのは許されない・・・。

俺も、お前を好きになる事は、許されないんだ・・・。

例え、俺がお前を愛していても。





―end―
(醜い俺は、温かい死神代行に恋をした)
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