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君の一番になりたい

「おい、黒崎一護。“私の”黒刀から離れろ」

青年はわざと“私の”と言う言葉を強調し、一護に向かって言った。

すると、その言葉に一護は額にブチッと青筋が浮かぶのが分かった。

「はぁ!?いつ、黒刀がお前のモンになったんだよ?朱蓮」

朱蓮と呼ばれた青年は一護の言葉に自身の髪を掻き上げると言った。

「フッ・・・。決まっているだろう?最初からだ。この地獄にいる限り、黒刀は私のモノ・・・。貴様が出る幕はないのさ」

自信満々に言う朱蓮。

それに一護は。

「んな、横暴な理屈があるか!てめぇなんて黒刀の眼中にもねぇクセに!!」

一護のその言葉に朱蓮はブチッと額に青筋が浮かぶ。

「何だと!そう言う貴様こそ、黒刀に軽くあしらわれて、相手にされていないではないか!!」

「うるせぇ!眼中にもねぇてめぇなんかに言われたかねぇ!!」

ギャーギャーと低能な口喧嘩を始める二人をよそに黒刀は一護から貰った袋の中を漁り、モグモグと一人菓子を食べ漁っていた。

喧嘩をする死神代行―黒崎一護と地獄の魔王―朱蓮は必ず互いを見れば大好きな黒刀をかけて下らない口喧嘩を勃発させるのだ。

そして、その口喧嘩の原因が自分だと露知らない黒刀は二人が喧嘩しているのを見て、仲良いなぁと勘違いしながら見学しているのは最早、地獄では日常茶飯事なのだ・・・。

「大体、お前みてぇな奴に黒刀は釣り合わねぇよ!」

「何を言っている?貴様のような子供より、私のような品がある“大人”の方が釣り合うに決まっているだろう!!」

「んだとッ!てめぇのどこに品があンだよ?!ただの自信過剰なナルシストだろーが!!」

「誰がナルシストだ!直ぐ、ムキになるガキめ!!」

「てめぇだって、直ぐムキになるじゃねーか!」

一護と朱蓮は互いの胸倉を掴み、至近距離で両者の悪態を吐く。

黒刀は菓子を咀嚼しながらギャーギャー口喧嘩をする二人をよそに深紅の空を見上げる・・・。

「じゃあ!どっちがいいか黒刀に決めて貰おうじゃねーか!!」

「いいだろう・・・。貴様等、相手にされないと思うがな・・・」

一護の言葉に朱蓮は自信に満ち溢れた笑みを浮かべる。

朱蓮の笑みに一護はイラッとしながらもグッと耐え、自分達の後ろで腰掛け、菓子を頬張っている黒刀に視線を向ける。

「黒刀!」

一護は半ば怒鳴り付けるように黒刀の名前を呼ぶ。

「ん?」

名前を呼ばれた黒刀は口元に菓子の食べかすを付け、片方の頬をリスのように膨らませた状態で菓子を咀嚼しながら振り向いた。
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