電話越しの告白

突然の事だった。

「政宗。糸電話をやらないか?」

「・・・・は?」

生真面目な恋人の口から出た意外な言葉に政宗と呼ばれた鷲色の髪に眼帯をした青年は思わず間抜けな声を洩らす。

そして、丸くした灰銀の隻眼を眼前にいる銀髪の長い前髪が特徴の長身の男に向ける。

その表情は至って真面目だ。

「Hey、三成。急にどうしたんだ?」

熱でもあるのかと思いながら、政宗は三成に疑問符を向ける。

頭上に?マークを浮かべながら怪訝な表情で尋ねて来る政宗に三成は口を開く。

「このような物で本当に声が聞こえるのかと思ってな・・・」

そう言うと、既に出来上がっている糸電話を政宗に見せる三成。

「・・・・ha」

三成の手の中にある糸電話はどこをどうしたらそうなるのかと思う程・・・不格好で、手荒に扱ったら壊れそうな作りをしており、よく見ると三成の骨張った指には幾つか絆創膏が巻かれているのに気付いた。

彼は筋金入りの不器用で、家事は勿論・・・折り鶴さえ、折れない程だ。

そんな彼が態々怪我をしてまで作って、自分と糸電話をしたかったのだと言う事を考えると、政宗は自然に笑みを浮かべた。

「OK。やってもいいぜ」

「なら、それに向かって何か言ってくれ」

政宗の言葉に三成は口元に小さく笑みを浮かべ、電話の片方を彼に渡し、自分は部屋の外に出る。

バタンッと部屋のドアが締まる音を聞きながら政宗はドアと手の中にある軽く潰れた紙コップの受話器を交互に見た後、扉の向こうにいるであろう、三成の姿を想い描くと何故か、愛しさが込み上げて来た。

生真面目で、不器用で、でも・・・優しくて、いつも傍にいてくれる彼。

自分はそんな彼が大好きだ。

本当は言いたいのに、素直じゃない自分は・・・そう言った言葉を彼に言った事がない。

政宗は潰れた紙コップの受話器を大事そうに両手で包み、口元まで持って行くと、囁くように言った・・・。

「三成・・・。I love you・・・・・・」

面と向かって言えない素直じゃない自分を許して欲しいと思いながら・・・。

すると、突然・・・バンッ!と乱暴に扉が開かれる。
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