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体温

暗闇に青々と輝く満月が昇る少し肌寒い夜。

そんな肌寒い夜にも関わらず、縁側に出ている一人の青年がいた。

鷲色の髪で右目に眼帯をした隻眼の白い肌を持つ、華奢な体付きに着流しと言った軽装で暗闇に浮かぶ満月を見上げていた。

暫く満月を見上げていると、体が冷えたのか・・・寒気が全身を駆け抜けた。

「さぶっ・・・・」

思わず、そんな声が上がり両腕で己の身体を抱き締めた。

すると、パサリと肩に羽織りが掛けられギュッと背後から抱き締められた。

「風邪を引くぞ・・・・」

背後から聞こえた聞き覚えのある静かな凛とした声・・・。

その声を聞いた青年は「あっ・・・」と、思い出したように内心呟く。

(そういや・・・・今日、泊まりに来てたっけ・・・)

そう・・・今日はこの奥州の青葉城に恋人である―三成が訪れていた。

青年は自身の体に絡み付くようにして回された三成の腕に触れる。

「三成・・・」

軽く、首を動かし隻眼を背後にいる彼に向ける。

灰銀の隻眼に銀髪で長い前髪が特徴の彼の顔が映る。

長い前髪の隙間から切れ長の琥珀色の双眼が覗き、己を映していた。

「一体、こんな時刻に何をしている・・・」

「体をこんなに冷やしてまで・・・」と、付け加え三成は言った。

気遣わしげな彼の言葉に政宗は目線を満月に向け、口を開く。

「満月がbeautifulだったもンでな・・・」

「びゅ・・・?何だ?」

南蛮語が分からない三成は疑問符を浮かべる。

「綺麗って意味だ」

頭上に?マークを浮かべている三成に政宗は言った。

その言葉に三成は納得した。

そして、自分も暗闇に浮かぶ満月を見上げた。

確かに、彼の言葉(びゅうてぃふぉー・・・?だったか)通り見事なものだった。

澄み切った空の上にぽっかりと浮かぶ、青々と輝く満月が幻想的な雰囲気を出していた。

二人は暫くの間、無言になった・・・。
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