朝のひととき

外で鳥の囀りが響き、朝だと言う事を知らせる。

襖の隙間から朝日が差し込み、調度・・・襖の方を向いて眠っていた銀髪で前髪が長い男は眩しさで目が覚めた。

目蓋がゆっくりと持ち上がり隠れていた琥珀色の切れ長の双眼が露わになる。

男は上体をゆっくりと起こし、隣に目を向ける。

すると、隣にはあどけない寝顔でスースーと規則正しい寝息を立てて眠っている己の恋人がいた。

絹のようなサラサラの鷲色の髪を白いシーツに散らばせ、意志の強い隻眼は目蓋によって覆われ果実のような唇から洩れる規則正しい寝息と一緒に小さく上下する細い肩。

普段は六爪を振り回し、独眼竜と名を馳せている武人とは思えない程、穏やかで愛らしく、男は優しい眼差しを向け、自然と口元に笑みが浮かぶのが分かった・・・。

暫く、寝顔を観察していると青年が寝返りを打った。

寝返りを打った所為で、着物が肌蹴、白い肌と細い肩が露わになり・・・男は思わず、昨夜の情事の煽情的な光景を思い出されドキリとなった。

行灯の薄暗い明かりに照らし出される白い肌、甘い嬌声を上げる果実のような唇、涙で潤んだ隻眼、白いシーツに横たわる華奢な体躯・・・。

欲情しそうになるも、自分の妄想を振り払い・・・肌蹴てしまった着物の襟を引っ張り、肌を隠す・・・。

そして、手を動かしくしゃりと、鷲色の髪を優しく撫でるー・・・。

「・・・んっ・・・」

すると、青年が小さく身じろぎふるりと・・・長い睫毛を振るわせ、目蓋に覆われた隻眼をゆっくりと開けると銀髪の男が目に映る。

「三、成・・・?」

掠れた声で名前を呼ばれる・・・。

目覚めて、開口一番に己の名前を呼ばれ・・・三成は嬉しく感じた。

「すまん・・・起こしたか?」

髪を撫でる手を止め、三成は言った。

彼の言葉に青年は首を横に振る。

「いや、大丈夫だぜ」

シーツに肘と掌を着き、上体を起こす。

三成は彼の背中を支え、起こすのを手伝う・・・。

「腰は大丈夫か?」

「心配すんな。そんな柔じゃねぇよ」

心配気味に尋ねる三成に青年は言った。

「だが・・・昨夜は・・・・」
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