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貴方が唯一の薬

「風邪ですね・・・・・」

顔に古傷がある強面の男―片倉小十郎は蒲団に横たわる、鷲色の髪で右目に眼帯をした隻眼の青年の額に触れ、静かに言った。

腹心の言葉に隻眼の青年こと、伊達政宗は思わず・・・・情けないと思った。

独眼竜と呼ばれているこの自分が風邪を拗らせ寝込む等とはー・・・・。

それに、今日は恋人である三成が来る日。それなのに風邪を引いてしまった・・・・。

「shit・・・・」

悔しさと、情けなさに政宗は呟いた。

「今日は一日、薬を飲んで大人しく寝ていて下さい」

「OK・・・・」

小十郎はゆっくりと立ち上がり、主にそう言うと薬の用意をするため一端、部屋から出て行った。

静寂な部屋に一人残された政宗は天井を見上げた。

喉はヒリヒリと痛み、頭は熱のせいでボーッとし、体は汗で濡れ、気持ち悪くて仕方ない・・・・。

出来れば着替えたいのだが、熱で重たい体を起こす事等出来る訳がなかった。

「はぁ・・・・・」

思わず溜め息が出る。

ボーッとする頭で政宗は恋人である三成の事を考えた。

(ha~会いてぇな、三成に・・・・)

そう考えると、彼に会いたくなり政宗は思わず呟いた。

「三成・・・・」

「何だ?」

突如、返って来た言葉に政宗は驚き、思わずばっと上半身を起こし声が聞こえた方を向く。

そこには・・・・先程、自分が会いたいと考えていた恋人の姿があった。

銀髪の長い前髪、その隙間から見える切れ長の琥珀の双眼を持つ長身の男。

「三成!ー・・・ゲホッゲホ、ゴホッ」

思わず、大きな声で彼の名前を呼んだ所為で政宗は激しく咳込んだ。

「大丈夫か?無理はするな・・・・」

咳込む政宗に三成は駆け寄り、彼の背中を優しく撫でる。

「・・・あ、ああ。Thanks、三成・・・・」

彼を見上げると、心配そうな目で自分を見る三成の琥珀の双眼と視線が合う。
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