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小さな恋人

奥州―青葉城へと続く道を歩く一人の武将。

銀髪で前髪が長いこの男は石田三成。

彼は恋人である、関ヶ原の戦いで天下を治めた奥州筆頭―伊達政宗に会いに行くため、青葉城へと向かっていた。

城に着くと、彼は門兵に城の中へと通すよう言った。

門兵はすんなりと許可すると、三成を城内へと通す。

城内へと入った三成は顔には出さないが、久し振りに恋人に会えるという喜びで内心わくわくしていた。

(あいつに会うのは久し振りだな…)

自分が来るという書状は送っていない。

突然来て、驚かせてやろうという心情で三成はいた…。

そして、政宗がいる部屋の前に来ると、彼の腹心である片倉小十郎がいるのに気付いた。

(面倒だな…)

三成は内心呟いた。

それもその筈…彼の右目は自分にいつも敵意を剥き出しにしているのだから。

伊達軍を叩き潰し、彼を傷付けたのだから当然だ。

しかも、その伊達を叩き潰した西軍の大将である自分が恋人なのだ…。
敵意を剥き出しにされても仕方ないだろう…。

三成がそんな事を考えていると、竜の右目と目が合った。

いつもなら物凄い形相で睨んで来るが、今日は違った。

「いい所に来たな。石田」

「?」

小十郎の言葉に三成は怪訝な顔をした。

(いい所に来た、だと…?)

三成はその科白に引っ掛かった。

すると、いつもなら中々部屋に入れてくれないと言うのに、すんなりと障子の扉を開け、目で入れ、と示した。

それに三成は部屋の中に足を踏み入れた。

そして、部屋の中に入ると、そこには…。

サラサラの鷲色の髪に右目に眼帯をした幼子がいた。

一瞬、三成はこの幼子が誰か分からなかった。

だが、髪の色、眼帯、白い肌、華奢な体…。
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