お礼画面
「ありがとう」
造花の花束を机の上にぱさっと置く。
微笑んでいるかと思えば片切友一はなんでもない普通の顔をしていた。
「この間のお礼だよ」
なんだかわからないことを言い、それなのに急に背けた顔の頬を赤らめて、苦しそうにうなってから苦々し気にポツリと吐き出す。
「俺はこんなことしか出来なくてごめんな」
柔らかい造花の花を持ち上げてそっとこちらに近付けて、それを取った手を包み込むように手を重ねて握り締めて、そしてすぐに放した。
「いつか、必要な時にはこうして手を握りに行くから、じゃあ」
そうして、友達は去って行った、他の友達のところへ。
「またなっ」
……またな。
また、友一に会える、また今度会えるんだ。
次に会う時には何かをあげてお礼をしよう、壊れやすい繊細な彼のために、それでも大丈夫だと思えるような贈り物を。
「……また……」
また、『じゃあね』の次に繋げられる何か、そんなものを。
(ありがとう!)