このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

SSまとめ

太陽の熱い日差しと冷たい風が吹いてくる季節。それは学生にとっても社会人にとっても様々な行事の折り目である。
そしてその折り目に苦しめられる青髪と赤目が印象的な美丈夫な男が1人苦々しく鮮やかに彩られた弁当をつつきながら溜め息を吐く。

「うぅ……課題が、課題が襲ってくる……」
「だからあれ程、計画的にしろと注意したろう」

目の前で同じく弁当をつつく褐色の肌と鋼色の髪と瞳が目を引く男はしかめっ面で指摘してくる。
その正論に不貞腐れたように行儀が悪いのも構わず箸をかじる。

「アーチャーあのな!俺は槍投げもあるしバイトもしてんだぞ!?課題はやってたんだよ!!!」
「忙しいのは認めるが……ランサー、いくら君でも計画性と言う物があるだろう」

苦労は認めているらしくアーチャーと呼ばれた男は溜め息を吐いて食べ終わった弁当を片付けていく。
ランサーと呼ばれた男は、その言葉を聞いた瞬間に机に頭突きをすると情けなくも疲れた声で弱音を吐いた。

「あ〜なら少し資料集めだけでも手伝ってくれよ〜」
「はぁ……仕方ない、資料だけだぞ?」
「え!?マジか!!!」

アーチャーからすると弱音を吐くランサーなど、あまりに珍しい為に思わず助けるような台詞を吐いていた。
すると相当嬉しかったのか机とキスしていた額を上げて輝く宝石のように煌めいている赤い瞳で嬉しそうにランサーは笑顔を見せた。
やはり笑顔が1番だと感じたアーチャーは釣られるように微笑むとこう返していた。

「私も他に課題があるからな。君の家で作業しても構わんだろ?君の事は食事も疎かにしているから注意してくれとバゼットが嘆いていた」
「マジかよ……飯まで良いのか?」
「その代わり単位は落としてくれるな?」

拝むようなポーズをとって「アーチャーは女神か!」などと訳の分からない事を呟いているランサーに苦笑いをしながらも席を立ちながら最終確認をする。

「とりあえず少し荷物を整えたら君の部屋へ行く」
「おう!ま、隣なんだし適当に来いよ!酒とか持って来て良いからよ!」
「はぁ……君が飲みたいだけだろう、たわけ」

最初とは打って変わって満面の笑顔で自分を送り出すランサーに呆れながらも自分の知る彼らしさに戻ってきた事に安堵を覚えて、弁当は洗って返せと言う台詞を忘れずに伝えると教室へと帰った。
その夜は結局、ランサーに資料を渡しつつ自分の課題をこなしたが晩御飯を取った後からは酒盛りになり、思い出したくも無い腰の痛みを抱えながらアーチャーは結局、ランサーの部屋へと泊まる羽目になったのだった。

END
2/8ページ
スキ