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好青年の秘密

単純に家康は信じられなかったのだ
元々は体育会系だった家康の体は引き締まっているが筋肉隆々である
つまり男らしい体格であり、家康としては己は童顔だが美青年とは言えないので心惹かれる要素はないように思えた

一応、知識として毛利から「一部の連中には大層、人気だが美青年などの方が主流だな」と聞かされていた
そして確かに同性を想うなら顔が良い方が良いのは自然な考え方だ、と話を聞いた当時の家康も納得した
その為、三成の発言は正直、思考回路がショートしそうだった


「1つに絞るのは難しいが真っ先に出る答えは、お前の笑顔や存在が私は好きだと感じたからだと言える」
「……………へ?」
「何か問題があったか?」
「…い、いや!無い!!!」
「ふん、満足したなら、もう今更な事をいちいち聞いてくるな!」


笑顔を褒められた事は小さい頃などにあったが、まさか存在が好きと言われると思っていなかった家康は流石に耳まで赤く染まる
なんなら肌の殆どが赤いのでは?と思う程だ
しかし三成の「今更な事」と言う言葉が引っかかった家康は止せば良いのに、三成に尋ねる


「い、今更な事、なのか…?ワシ、初耳だぞ…」
「当たり前だ!初めて伝えたのだからな、だが私は貴様が笑う度に自問自答してきた!幾度となくな!…最初は私自身も答えは見つからなかったが、刑部や半兵衛様のお言葉のお陰で気付く事が出来た!」
「そ、そうか…やっぱり刑部や半兵衛殿か……」


三成の発言に半ば呆れつつも納得した
ようは大谷や半兵衛が面白い半分で、三成をそそのかしたのだ
きっと三成を可愛がる二人なので半分は三成を思ってだろうが、相手が男の己だと知ると困らせようと三成が告白するように誘導でもしたのだろう
そう家康は考えていた所で三成から次の爆弾を投下された


「いや!それだけではない!秀吉様からのお言葉が無ければ告白する事も考えつかなかったろう!!!」
「な、ん…だって!!?ひ、秀吉殿!?なんて言ったんだ!」

「ふん、良いだろう!貴様にも聞かせてやる!秀吉様は貴様が私に呪いをかけたのだと悩む私に優しく言って下さった!『三成、その思いは情愛だ、家康を斬るのではなく思うままにぶつかってみろ』とっ!」

「な、なるほど…秀吉殿らしい言葉だ…(秀吉公!ぶつかった結果がコレだぞ!!!)」


喜々として語る三成に苦笑いをしながら家康は心の中で秀吉に文句を言わずにはいられなかった
正直、三成の発言には他にもツッコミ所はあったが、一々気にしていては激しく動く心臓が持ちそうになかった
一刻も早くこの場から立ち去りたい
どうしようもなく顔が火照って恥ずかしく、まともに三成の顔を見る事が出来ない
これではまるで三成の事が好きなようである
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