北斗の拳

「あぁーもう!付いてくんなよ!」
「だーかーらー…お前を1人に出来ないって言ってんでしょうが」

バットは砂埃が舞う中、マントを靡かせながらアインに背を向け、突き進もうとする
アインはため息を1つした後、勢い良くバットの肩を掴み振り向かせる

「確かに食料は必要だけどなぁ、どこに大将1人で探しに行く馬鹿がいるんだよ!」
「だって………一刻も早く、皆を楽にしてやりたいんだ」

バットは呟くように言うと拗ねたように俯いた
そんなバットの様子に、アインは呆れたように微笑むと肩に置いていた手でバットの頭を優しく撫でた

「分かってるよ、だから俺も付いて行くんだろ?」
「うわっ!や、やめろよ!」
「ふははっ!お前の髪、結構撫で心地良いな!!」
「もう!やめろってば!」

照れくさそうにバットは頬を赤らめると、誤魔化す様に顔を上げ、頭を左右に振る
そんな様子のバットがおかしいのかアインはケタケタと笑ったまま、撫で続ける
それが気に食わないのか、遂にはバットはアインの手を払う

「いつまで撫でてるんだよ!ほら、行くぞ!」
「あらあら、我らが大将はご機嫌斜めだねぇ」
「誰のせいだよ!!!」

バットは再びアインに背を向けると歩き出そうとした
しかし何を思ったのかアインは再びバットの肩を掴み、引き寄せる
バットは引き寄せられて文句を言うが、アインの様子は違っていた
アインはバットを呼びながら抱き寄せたからだ

「うわっ!あ、アイン!いい加減、ふざけるのはよせって!」
「…バット」
「アイン?」
「最初、姿が見えなくなった時は肝が冷えたぜ…」
「……………うん、ごめん」

アインの切なそうな声を耳元で聞いて、流石のバットも素直に謝るとアインの背にそっと腕をまわし、抱き返す
暫くすると、どちらともなく離れて今度は仲良く並んで歩き出した

「食料、少しでも見つかると良いなぁ…」
「ま、気が済むまで付き合ってやるよ」
「…アイン、その、ありがとう」
「ふっ、早めに帰ろうぜ?大将?」

その後、夜に食料を持って帰った二人はリンにこっぴどく叱られた
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