北斗の拳
クリスマス・イブからクリスマスへと変わる日、リュウガは特殊な拾い物をした
とりあえずで持ち帰ったリュウガは、キョロキョロと部屋を見回す拾い物を風呂に突っ込ませる
「結構、良いとこ住んでるんだな」
「うるさい、それよりサッサと入ってこい、風呂はいつも準備させているから入れる筈だ」
「はーい」
拾い物、もといジュウザは遠慮する素振りも見せず言われた通りに風呂へと向かう
そんなジュウザの態度にリュウガは、ため息を吐きながらスーツを脱ぐと台所へ向かう
冷蔵庫を開けてビールを取り出し、家政婦が作ったシチューを温める
すると早くもジュウザは風呂から出てきた
「お、シチューあるんだ」
「な!お前、もう出たのか!?」
「え?うん、あ、ちゃんと髪は洗ったぜ?」
「なんで湯船に浸からなかった!それに髪はしっかり乾かせ!ほら、服が濡れてるぞ!」
リュウガは台所に入ってきたジュウザが肩にかけていたタオルを引っ掴むとジュウザの頭にかける
ジュウザはリュウガからの扱いが不服なのか、眉間にシワを寄せ、ジッとリュウガを見る
「別に良いって!すぐ乾く」
「馬鹿もの!今、乾いたら体が冷えるだろうが!」
「もー!サッサと飯にしようぜ?俺、腹が減ってるし」
髪を拭いてくるリュウガの手からスルリと逃れると話を変えるように皿を取りに行く
全く聞く気のない態度のジュウザにため息を再び漏らしながらジュウザから皿を受け取り盛り付ける
その後、冷蔵庫に野菜を見つけたジュウザは簡単なサラダを作り始めた
「…お前、料理出来たのか」
「ま、適当だけどね、サラダとか簡単だし」
などと短い会話をしている間にジュウザはサラダと酒のつまみを作っていた
それに気付いたリュウガがシワを寄せる
「ジュウザ、何を作ってる」
「ん?酒のつまみ」
「お前に酒は飲ませる気は無いぞ」
「えー!なんで?」
「お前…酒のせいで『あんな所』に居たんじゃないのか?」
あんな所とは、ジュウザを拾った所の事だが…
詳しい事情はほんの数十分前に遡る
今日、リュウガは車で何時も通りに通勤していたか帰る最中にエンストしてしまった為に、車は直すために預けて気晴らしも兼ねて徒歩で帰っていた
幸い帰っている途中だったので10分程の距離だった
リュウガとしては、クリスマスなどは関係なく何時も通り1人の予定だった
しかしバーや飲み屋が立ち並ぶ道に差し掛かった所で見知った男を見た
それは店と店の細い路地だったが声で気付いたのだ
「はぁ…疲れた…」
「………ジュウザ?」
「………え?」
久しぶりにあった腹違いの弟は上から下まで切り傷や土埃でズタボロであったのでリュウガは最初は目を見張ったが、すぐにジュウザの手を取ると引き寄せ無理矢理に立ち上がらせた
「うわっ!何すんだよ!」
「…とりあえず付いて来い、家が近くだ」
「………分かったよ」
幸い、周りの目は夜だったので殆ど無く、途中でコンビニで簡単な着替えをリュウガが購入して帰宅したのだ
ジュウザ曰く、かすり傷が殆どであり、全て喧嘩によるものだった
しかも長い間、家には帰らず風呂も銭湯やカプセルホテルで済ましていたらしくロクな荷物ではなかった
勿論、リュウガも家には眠りに帰っているようなものだったので大したものは家にはなかったが、ジュウザよりも遥かにマシだった
「あー…別に酒が原因であんな路地に居た訳じゃねぇよ、ちょっとした喧嘩」
「…ふん、どっちにしてもロクな理由ではない」
「なー、一本だけだから飲ませてよ」
「……………飲んで暴れるなよ、面倒だ」
「サンキュ!」
「良いから運べ」
未だにシワを寄せたままだがリュウガはジュウザへ料理を運ばせながら自分も料理を持ち、リビングへと移動する
ジュウザと言えば嬉しそうに笑いながら腕をまくってから、自分の作った料理を付いて行くように運ぶ
「んじゃ!いただきます!」
「…いただきます」
ごく自然に手を合わせるジュウザにリュウガは少し目を見開いたが、ワンテンポ置いてリュウガも手を合わせてから料理に手をつけた
「お、凄いな、このシチュー!手が込んでるじゃん」
「…そうなのか」
「ちょっ!アンタ、分かんねぇのかよ…」
「料理なんぞ、しないからな」
「それ以前の問題な気がするけど…」
シチューを一口食べたジュウザは驚いたように笑うがリュウガと言えば一切気にする事なく、黙々と食べる
そんなリュウガの様子に苦笑いをしながらジュウザも食事を続ける
暫くして食事を終えたジュウザは、すぐに皿を洗おうとするのでリュウガは声をかける
「何してる」
「え?いや、食べさせてもらったし片付け位はしようかと…」
「必要ない、皿も家政婦が洗うだろう」
「はぁ!?マジかよ…」
平然とした様子で皿をつけるリュウガに信じられないといった表情でジュウザは眉間にシワを寄せる
しかしやっぱりリュウガは気にする様子はなく、ソファーに座りジュウザを呼ぶ
呼ばれたジュウザは納得していないと言う態度でリュウガに近寄る
「酒、飲むんだろう?」
「いや、飲むけどさぁ…」
「どうした」
「はぁ…アンタの感覚が意外と金持ちだと思っただけ」
「はぁ?」
何故か拗ねたような態度で床に座わりテレビを見始めたジュウザに今度はリュウガが眉をひそめる
「全く、訳の分からん奴だ」
「えー…俺、結構、単純だぜ?」
「まぁいい、とりあえず今日は泊まって行くんだろ?」
「……………んー別に?アンタが出ていけって言うなら、このビール飲んだら出ていくぜ?」
念の為にとリュウガは泊まるかどうかジュウザに尋ねると
ジュウザはふてぶてしく笑いながらソファーに寄りかかり、リュウガの太ももを叩きながら上目遣いでリュウガを見る
「お前…本気で言ってるのか?」
「まぁな、別に俺にここに居る理由ないしアンタに任せるよ」
「はぁ…分かった、泊まっていけ」
「はーい」
別にどっちでも構わないっと言ったいい加減な態度のジュウザにリュウガはため息をこぼしながら泊まって行くように言う
流石のリュウガも鬼ではない
まだ髪も乾かぬうちに寒空の下に追い出す訳にはいかない
ましてや深夜が来ようとしているのに追い出すような真似はリュウガには出来なかった
しかしジュウザはそんなリュウガの心配など露ほども気にしていないのか、呑気にビールを飲む
だが髪はまだ乾いていないし、買ったばかりの少し大きめの服は髪のせいで濡れている
するとフッと何を思ったのか、再びジュウザがリュウガの太ももを軽く叩く
「なぁなぁ」
「ったく、なんだ」
「アンタは風呂、入らねぇの?」
「このビールを飲み終えたら仕事が残っている、後で入る」
下から見上げてくるジュウザの髪が濡れている事が気になるのか、再びタオルで髪を拭いてやりながら返事をする
しかしジュウザは拭かれながら更に尋ねる
「急ぐのか?」
「別に急いではないが…ってなんでそんな事を聞く」
「なら入っちまえよ、仕事のしすぎは体の毒だぜ?もう今日は仕事やめとけよ」
「自分の体の事は自分で把握しているから大丈夫だ」
リュウガはジュウザの拭き終えた髪を確認するように撫でながら素っ気なく答える
するとジュウザは素っ気ない答えが不服なのか、拗ねた表情になった後、身を乗り出してリュウガの目元にキスをする
「っ!ジュウザ!」
「リュウガ、目の下に隈が出来てる…折角の美形が台無しだぜ?」
突然の事に声を荒らげるリュウガにジュウザは気にする様子は無く、再び目元へとキスを送る
「っこら、ジュウザ!」
「んっ、心配してやってんだろ?それに嫌なら殴れば良いじゃねぇかよ」
「お前なっ!」
声では怒りつつも全く抵抗せず、満更でもない様子のリュウガに気を良くしたジュウザは座っているリュウガの上に乗ると、顔を両手で包むように支えて顔中にキスをし出した
「ほら、仕事する気がなくなったろ?」
「はぁ…まぁな」
「ふふん、なんならマッサージもしてやるけど?」
「いらん…」
何が楽しいのかジュウザは微笑みながらリュウガの首に腕を回す
対照的にリュウガは本当にやる気がなくなったのか、少し疲れた表情になりながら顔をジュウザの首元へと埋める
しかし暫くしてリュウガもジュウザの首元や鎖骨へキスをし、時々赤い痕も付け始めた
「んっ、ちょっ!リュウガ?」
「なんだ」
「痕とか、付けんなっ、それにくすぐったいっ!ふぁっ…」
「ふん、知るか…」
吹っ切れたのかジュウザの文句を無視するとリュウガは、どんどんキスする場所を下げていく
その動きに流石にジュウザも危機感を持ったのか、身じろいだり肩を押して抵抗を見せるがリュウガはしっかりと腰を掴み、立ち上がるのを妨害していた
「ほ、んとに!やめろってば!んっ」
「………何が不服だ」
「ふぁっ…手をとっめろ!馬鹿!」
「嫌なら抵抗しろと言ったのはお前だろ?ジュウザ」
「ぁ、う、ちゃんと、抵抗してるって!ひゃっ!」
もはや先程までの余裕はジュウザは無く、必死にリュウガの肩に掴まりリュウガの口付けに耐えるばかりであった
リュウガもそんなジュウザの様子に気を良くしたのか、珍しく薄く微笑むが、休まずキスをしながら少しデカイ服のせいですんなりの中へ手を入れる
「はっぅ、ぁっ」
「ふん、折角のクリスマスなんだ、ジュウザ…相手してくれるだろ?」
「っ!分かった、から…せめてもっとゆっくりしろよ!」
肌を撫でるリュウガの手がくすぐったいのか、頬を赤らめてリュウガの手から逃れようと体をひねらせる
そのジュウザの態度に笑みを深くさせながらリュウガは、しっかりと腰を掴む腕を放さずに肌を撫でる
「っも、良いだろ?」
「何がだ」
「俺、別に誘ったわけじゃないぜ?」
腰を支えている腕を掴みながら不貞腐れた表情をさせながらジュウザはリュウガを見つめる
「なら何であんな真似をした」
「え、あー…なんかリュウガ、疲れてるみたいだからさ、今日くらい休めば良いと思ったんだよ」
目線を合わせず、どもりながら素直に告げるジュウザにリュウガは目を驚いたように見開きながらも見つめる
よほどジュウザの答えが予想外だったのか、その後も暫くリュウガは無言でジュウザを見つめる
すると今までリュウガの膝に乗っていたジュウザは、ずっと乗っている事に居心地が悪くなったのか身じろいでリュウガの顔色を窺う
「………その、リュウガ?」
「どうした」
「いやさ、流石に上から退こうか?俺、重いだろ…」
「………いや、もう少しこのままで」
立ち上がろうとするジュウザをリュウガは止めるとジュウザの体を引き寄せ、抱き締める
そんならしくないリュウガの行動にジュウザも最初は慌てたが、抱き締めるばかりのリュウガに不思議に思いながらもジュウザは抱き締め返した
「…お兄ちゃん、お疲れ様」
「………ふん」
「はは、素直じゃねぇなぁ」
ジュウザの言葉を鼻で笑いながらもリュウガは腕を放すことは無く、ジュウザの首元に顔を埋める
そんな素直じゃないリュウガの態度にもジュウザは、何処か楽しそうに微笑みリュウガの髪を撫でた
リュウガもジュウザの髪を撫でる動きに意義を唱える事はなく、いつの間にか眠っていた
「ん?リュウガ、寝ちゃったのか…」
ジュウザは首元の重さに気付き、嬉しそうに微笑みながらリュウガの方へ体重をかけるとジュウザも静かに目を閉じた
外では寒そうに雪がチラチラと舞っており、白くにクリスマスを飾っていたが眠る2人は気付かぬまま、温まるように抱き合っていた
END
とりあえずで持ち帰ったリュウガは、キョロキョロと部屋を見回す拾い物を風呂に突っ込ませる
「結構、良いとこ住んでるんだな」
「うるさい、それよりサッサと入ってこい、風呂はいつも準備させているから入れる筈だ」
「はーい」
拾い物、もといジュウザは遠慮する素振りも見せず言われた通りに風呂へと向かう
そんなジュウザの態度にリュウガは、ため息を吐きながらスーツを脱ぐと台所へ向かう
冷蔵庫を開けてビールを取り出し、家政婦が作ったシチューを温める
すると早くもジュウザは風呂から出てきた
「お、シチューあるんだ」
「な!お前、もう出たのか!?」
「え?うん、あ、ちゃんと髪は洗ったぜ?」
「なんで湯船に浸からなかった!それに髪はしっかり乾かせ!ほら、服が濡れてるぞ!」
リュウガは台所に入ってきたジュウザが肩にかけていたタオルを引っ掴むとジュウザの頭にかける
ジュウザはリュウガからの扱いが不服なのか、眉間にシワを寄せ、ジッとリュウガを見る
「別に良いって!すぐ乾く」
「馬鹿もの!今、乾いたら体が冷えるだろうが!」
「もー!サッサと飯にしようぜ?俺、腹が減ってるし」
髪を拭いてくるリュウガの手からスルリと逃れると話を変えるように皿を取りに行く
全く聞く気のない態度のジュウザにため息を再び漏らしながらジュウザから皿を受け取り盛り付ける
その後、冷蔵庫に野菜を見つけたジュウザは簡単なサラダを作り始めた
「…お前、料理出来たのか」
「ま、適当だけどね、サラダとか簡単だし」
などと短い会話をしている間にジュウザはサラダと酒のつまみを作っていた
それに気付いたリュウガがシワを寄せる
「ジュウザ、何を作ってる」
「ん?酒のつまみ」
「お前に酒は飲ませる気は無いぞ」
「えー!なんで?」
「お前…酒のせいで『あんな所』に居たんじゃないのか?」
あんな所とは、ジュウザを拾った所の事だが…
詳しい事情はほんの数十分前に遡る
今日、リュウガは車で何時も通りに通勤していたか帰る最中にエンストしてしまった為に、車は直すために預けて気晴らしも兼ねて徒歩で帰っていた
幸い帰っている途中だったので10分程の距離だった
リュウガとしては、クリスマスなどは関係なく何時も通り1人の予定だった
しかしバーや飲み屋が立ち並ぶ道に差し掛かった所で見知った男を見た
それは店と店の細い路地だったが声で気付いたのだ
「はぁ…疲れた…」
「………ジュウザ?」
「………え?」
久しぶりにあった腹違いの弟は上から下まで切り傷や土埃でズタボロであったのでリュウガは最初は目を見張ったが、すぐにジュウザの手を取ると引き寄せ無理矢理に立ち上がらせた
「うわっ!何すんだよ!」
「…とりあえず付いて来い、家が近くだ」
「………分かったよ」
幸い、周りの目は夜だったので殆ど無く、途中でコンビニで簡単な着替えをリュウガが購入して帰宅したのだ
ジュウザ曰く、かすり傷が殆どであり、全て喧嘩によるものだった
しかも長い間、家には帰らず風呂も銭湯やカプセルホテルで済ましていたらしくロクな荷物ではなかった
勿論、リュウガも家には眠りに帰っているようなものだったので大したものは家にはなかったが、ジュウザよりも遥かにマシだった
「あー…別に酒が原因であんな路地に居た訳じゃねぇよ、ちょっとした喧嘩」
「…ふん、どっちにしてもロクな理由ではない」
「なー、一本だけだから飲ませてよ」
「……………飲んで暴れるなよ、面倒だ」
「サンキュ!」
「良いから運べ」
未だにシワを寄せたままだがリュウガはジュウザへ料理を運ばせながら自分も料理を持ち、リビングへと移動する
ジュウザと言えば嬉しそうに笑いながら腕をまくってから、自分の作った料理を付いて行くように運ぶ
「んじゃ!いただきます!」
「…いただきます」
ごく自然に手を合わせるジュウザにリュウガは少し目を見開いたが、ワンテンポ置いてリュウガも手を合わせてから料理に手をつけた
「お、凄いな、このシチュー!手が込んでるじゃん」
「…そうなのか」
「ちょっ!アンタ、分かんねぇのかよ…」
「料理なんぞ、しないからな」
「それ以前の問題な気がするけど…」
シチューを一口食べたジュウザは驚いたように笑うがリュウガと言えば一切気にする事なく、黙々と食べる
そんなリュウガの様子に苦笑いをしながらジュウザも食事を続ける
暫くして食事を終えたジュウザは、すぐに皿を洗おうとするのでリュウガは声をかける
「何してる」
「え?いや、食べさせてもらったし片付け位はしようかと…」
「必要ない、皿も家政婦が洗うだろう」
「はぁ!?マジかよ…」
平然とした様子で皿をつけるリュウガに信じられないといった表情でジュウザは眉間にシワを寄せる
しかしやっぱりリュウガは気にする様子はなく、ソファーに座りジュウザを呼ぶ
呼ばれたジュウザは納得していないと言う態度でリュウガに近寄る
「酒、飲むんだろう?」
「いや、飲むけどさぁ…」
「どうした」
「はぁ…アンタの感覚が意外と金持ちだと思っただけ」
「はぁ?」
何故か拗ねたような態度で床に座わりテレビを見始めたジュウザに今度はリュウガが眉をひそめる
「全く、訳の分からん奴だ」
「えー…俺、結構、単純だぜ?」
「まぁいい、とりあえず今日は泊まって行くんだろ?」
「……………んー別に?アンタが出ていけって言うなら、このビール飲んだら出ていくぜ?」
念の為にとリュウガは泊まるかどうかジュウザに尋ねると
ジュウザはふてぶてしく笑いながらソファーに寄りかかり、リュウガの太ももを叩きながら上目遣いでリュウガを見る
「お前…本気で言ってるのか?」
「まぁな、別に俺にここに居る理由ないしアンタに任せるよ」
「はぁ…分かった、泊まっていけ」
「はーい」
別にどっちでも構わないっと言ったいい加減な態度のジュウザにリュウガはため息をこぼしながら泊まって行くように言う
流石のリュウガも鬼ではない
まだ髪も乾かぬうちに寒空の下に追い出す訳にはいかない
ましてや深夜が来ようとしているのに追い出すような真似はリュウガには出来なかった
しかしジュウザはそんなリュウガの心配など露ほども気にしていないのか、呑気にビールを飲む
だが髪はまだ乾いていないし、買ったばかりの少し大きめの服は髪のせいで濡れている
するとフッと何を思ったのか、再びジュウザがリュウガの太ももを軽く叩く
「なぁなぁ」
「ったく、なんだ」
「アンタは風呂、入らねぇの?」
「このビールを飲み終えたら仕事が残っている、後で入る」
下から見上げてくるジュウザの髪が濡れている事が気になるのか、再びタオルで髪を拭いてやりながら返事をする
しかしジュウザは拭かれながら更に尋ねる
「急ぐのか?」
「別に急いではないが…ってなんでそんな事を聞く」
「なら入っちまえよ、仕事のしすぎは体の毒だぜ?もう今日は仕事やめとけよ」
「自分の体の事は自分で把握しているから大丈夫だ」
リュウガはジュウザの拭き終えた髪を確認するように撫でながら素っ気なく答える
するとジュウザは素っ気ない答えが不服なのか、拗ねた表情になった後、身を乗り出してリュウガの目元にキスをする
「っ!ジュウザ!」
「リュウガ、目の下に隈が出来てる…折角の美形が台無しだぜ?」
突然の事に声を荒らげるリュウガにジュウザは気にする様子は無く、再び目元へとキスを送る
「っこら、ジュウザ!」
「んっ、心配してやってんだろ?それに嫌なら殴れば良いじゃねぇかよ」
「お前なっ!」
声では怒りつつも全く抵抗せず、満更でもない様子のリュウガに気を良くしたジュウザは座っているリュウガの上に乗ると、顔を両手で包むように支えて顔中にキスをし出した
「ほら、仕事する気がなくなったろ?」
「はぁ…まぁな」
「ふふん、なんならマッサージもしてやるけど?」
「いらん…」
何が楽しいのかジュウザは微笑みながらリュウガの首に腕を回す
対照的にリュウガは本当にやる気がなくなったのか、少し疲れた表情になりながら顔をジュウザの首元へと埋める
しかし暫くしてリュウガもジュウザの首元や鎖骨へキスをし、時々赤い痕も付け始めた
「んっ、ちょっ!リュウガ?」
「なんだ」
「痕とか、付けんなっ、それにくすぐったいっ!ふぁっ…」
「ふん、知るか…」
吹っ切れたのかジュウザの文句を無視するとリュウガは、どんどんキスする場所を下げていく
その動きに流石にジュウザも危機感を持ったのか、身じろいだり肩を押して抵抗を見せるがリュウガはしっかりと腰を掴み、立ち上がるのを妨害していた
「ほ、んとに!やめろってば!んっ」
「………何が不服だ」
「ふぁっ…手をとっめろ!馬鹿!」
「嫌なら抵抗しろと言ったのはお前だろ?ジュウザ」
「ぁ、う、ちゃんと、抵抗してるって!ひゃっ!」
もはや先程までの余裕はジュウザは無く、必死にリュウガの肩に掴まりリュウガの口付けに耐えるばかりであった
リュウガもそんなジュウザの様子に気を良くしたのか、珍しく薄く微笑むが、休まずキスをしながら少しデカイ服のせいですんなりの中へ手を入れる
「はっぅ、ぁっ」
「ふん、折角のクリスマスなんだ、ジュウザ…相手してくれるだろ?」
「っ!分かった、から…せめてもっとゆっくりしろよ!」
肌を撫でるリュウガの手がくすぐったいのか、頬を赤らめてリュウガの手から逃れようと体をひねらせる
そのジュウザの態度に笑みを深くさせながらリュウガは、しっかりと腰を掴む腕を放さずに肌を撫でる
「っも、良いだろ?」
「何がだ」
「俺、別に誘ったわけじゃないぜ?」
腰を支えている腕を掴みながら不貞腐れた表情をさせながらジュウザはリュウガを見つめる
「なら何であんな真似をした」
「え、あー…なんかリュウガ、疲れてるみたいだからさ、今日くらい休めば良いと思ったんだよ」
目線を合わせず、どもりながら素直に告げるジュウザにリュウガは目を驚いたように見開きながらも見つめる
よほどジュウザの答えが予想外だったのか、その後も暫くリュウガは無言でジュウザを見つめる
すると今までリュウガの膝に乗っていたジュウザは、ずっと乗っている事に居心地が悪くなったのか身じろいでリュウガの顔色を窺う
「………その、リュウガ?」
「どうした」
「いやさ、流石に上から退こうか?俺、重いだろ…」
「………いや、もう少しこのままで」
立ち上がろうとするジュウザをリュウガは止めるとジュウザの体を引き寄せ、抱き締める
そんならしくないリュウガの行動にジュウザも最初は慌てたが、抱き締めるばかりのリュウガに不思議に思いながらもジュウザは抱き締め返した
「…お兄ちゃん、お疲れ様」
「………ふん」
「はは、素直じゃねぇなぁ」
ジュウザの言葉を鼻で笑いながらもリュウガは腕を放すことは無く、ジュウザの首元に顔を埋める
そんな素直じゃないリュウガの態度にもジュウザは、何処か楽しそうに微笑みリュウガの髪を撫でた
リュウガもジュウザの髪を撫でる動きに意義を唱える事はなく、いつの間にか眠っていた
「ん?リュウガ、寝ちゃったのか…」
ジュウザは首元の重さに気付き、嬉しそうに微笑みながらリュウガの方へ体重をかけるとジュウザも静かに目を閉じた
外では寒そうに雪がチラチラと舞っており、白くにクリスマスを飾っていたが眠る2人は気付かぬまま、温まるように抱き合っていた
END