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獣男子(仮)

何かの温もりで目が覚めた。
腹の辺りがなにか暖かい。
まだ眠たい目を擦りながら手探りに枕元のメガネを探す。
メガネをかけて、布団の中を見てみると。
「なっ…」
1頭の犬がいた。
確か犬種は…シェットランドシープドッグ。
通称シェルティ。
いや待て、俺は確かに犬が好きだが、このアパートはペット禁止だから飼っていない。
じゃあ、なぜここに…?
しかもなぜか俺は服を着ておらず、素っ裸だった。
恐る恐る体に手を触れると、犬特有の温かさと心臓の振動が手に伝わる。
「…おい」
声をかけると、耳がピク、と動く。
うっすらと目を開け、こちらを見るやいなや、すぐさま飛び起きて俺の顔を舐める。
「ちょ、やめ…」
慌てて押し返すと大人しくおすわりをする。
尻尾はちぎれるんじゃないかというほど激しく振っていたが。
「…なぜシェルティがここにいる…?」
「ご主人が連れてきたんじゃないですか。」
独り言のつもりで呟いた言葉に、返事が返ってきたことに驚いた。
しかもそれは、目の前にいるシェルティから発せられた声だった。
「しかもご主人は名前をくれた。」
そう言うと犬は体を震わせる。
その直後。
「は…?」
犬が突然人間に変わった。
美しい橙色の胸あたりまである艶やかな髪。
とても顔も整っている、男。
「待て、俺は夢を見ているのか?」
俺がそう言うとシェルティは首を傾げる。
「夢じゃないですよ?ご主人は昨日俺を救ってくれて、セルティっていう名前までくれた。」
シェルティ…セルティはそう言いながらゆっくりと俺の肌に頭を擦りつけてくる。
「名前をくれたってことは、ここに置いてくれるってことでしょう?」
整った顔にそんなことを間近で言われると、男同士でも少し揺らぐ。
「いや、待て。頭が追いつかない…」
「じゃあ昨夜と同じことします?」
セルティはぺろりと俺の頬を舐め、首を舐める。
いや待て。俺は昨日、何をした…?
はっきりとは思い出せないが、とてつもない快楽を得たことを思い出す。
「ま、待て…!」
「待てません。」
セルティがニヤリと笑う。
俺は全身の血が引くのを感じたーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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