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(未定)

また、一つの命が消えた。
違う、俺が、消したんだ。

眼下に広がる雲の中にあった大きな輝きが今ひとつ、消えた。
この光は俺が契約した人の命を表しており、それが消えたということは、その人本人の消滅を意味している。

消滅した際に起こる、喉のチリチリとした痛みはいつになっても慣れない。

「ごめん…」

笑顔がとても素敵だった、自分の彼女の命を救うために俺と契約した彼を思い出す。

『あいつが無事なら、おれはどうなってもいいんだ。』

そう言ってはにかんだ笑み。
物怖じせず真っ直ぐに思ったことを言ってくるところ、とても、好きだった。

地面に膝をつき、懺悔の姿勢をする。

俺は何回、こんなことをしたんだろう。

何人の命を、奪ってきたのだろう。

俺がこんなことをする、理由。

「お兄…ちゃん…」

俺の後ろにある、大きな水槽なようなものから、愛しの彼女の声がする。
振り向くと、服を着ていない、美しい彼女が目は開いていないが、こちらに向かって手を伸ばしていた。

「……カナ。」

そう、俺はこの子のために、人の命を奪い続けなければいけない。
たとえ、良心が傷んでも。

「絶対に、お前を救ってみせる。」

そう言って俺は水槽越しに彼女にキスをして、新しい契約相手を探す。

あと何人の命を奪えば、君の命は救えるだろう。
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