あて先ちがいのラブレター/Keith・Alford
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荒いノックのあとに入ってきたのは、たった今までまぶたにいた、想い人だ。
「……っ! キース様?」
「お前っ、なんでエドワード王子のところに行かなかったんだよ」
興奮、困惑、疑問、安堵。
キースは、複雑な感情が混じった表情 でPrincesseに問うた。
一呼吸おいてPrincessはまっすぐにキースをみつめて言った。
「それは、私がクリスマスを一緒に過ごしたい人がキース様だからです」
気持ちは受け止めてもらえないかもしれない。
でも構わない。温めて、はぐくんだ気持ちをわかってもらえさえすれば。
Princessは言いつのった。
「たしかに、エドワード様への好意はありました。でも、キース様と接するうちに、私、キース様が気になって仕方なくなってしまって。もし今、私がラブレターを書くなら、それは、キース様あてです」
ドキドキと胸の鼓動が高まって、身体が震えた。
不敬罪だといわれても仕方ない。
「身分の違いはわかってます。でも、好き……なんです。私……わっ」
睨むようにして見ていたキースが、突然Princessの手首をつかんだ。
キースはそのままPrincessを部屋の端まで追い詰めると、壁に両手首を縫いとめて、顔を至近の距離に近づけた。
「キ……キース様?」
「よせ。それ以上言うな。今すぐお前を襲いそうだ」
揺れるグリーンの瞳は、深い森を思わせる。
「前言撤回するなら今だぞ」
「しません。女に二言はありませんから」
Princessが言い放つと、キースの喉がくくっと鳴った。
「相変わらず気が強えーな。いい度胸だ。それでこそ、俺の女にふさわしい」
キースの笑った顔が真顔に戻って、ゆっくりと近づいた。
「Princess……今まで悪かった。お前が好きだ。ずっと……俺のそばにいろ」
「キース様……」
甘い唇が角度を変えて幾度となく重なれば、身体の芯がしびれてくる。
手首をつかんでいたキースの手のひらはPrincessの腰に回されて、しっかりと引き寄せられた。
キースの胸におさまって求められる唇は、互いの想いの温度を伝えるかのように、熱い。
キースのキスがさらに深くなろうとしたその時、彼が不意に唇を離した。
「ん? 始まったみたいだな。続きはあとだ」
「始まったって、何がです?」
Princessはキースを見上げた。
「ダンスだよ」
耳をすませば、冬の澄んだ空気にのったワルツの音色が耳に届く。
「あ、ほんとだ」
「いくぞ!」
「え、行く?」
キースがPrincessの手をとった。
「俺は、お前以外の女と踊るつもりなんてねーから」
キースのつま先はもう、扉に向かい、Princessを引いて駆け出していた。
大理石の廊下を靴音をたてて走りながら、キースが振り向いた。
「お前、そのドレスよく似合ってる。ま、俺の見立てだからな。馬子にも衣装ってヤツだ」
「ひどっ」
キースとPrincessは、声をたてて笑いあった。
胸に、あふれるほどの幸せが満ちる。
聖夜の贈り物は、愛する人――
遠くクリスマスを祝う鐘の音 が聞こえてくる。
降る雪はふたりの重なる想いのように、静かに、積もるのだった。
「……っ! キース様?」
「お前っ、なんでエドワード王子のところに行かなかったんだよ」
興奮、困惑、疑問、安堵。
キースは、複雑な感情が混じった
一呼吸おいてPrincessはまっすぐにキースをみつめて言った。
「それは、私がクリスマスを一緒に過ごしたい人がキース様だからです」
気持ちは受け止めてもらえないかもしれない。
でも構わない。温めて、はぐくんだ気持ちをわかってもらえさえすれば。
Princessは言いつのった。
「たしかに、エドワード様への好意はありました。でも、キース様と接するうちに、私、キース様が気になって仕方なくなってしまって。もし今、私がラブレターを書くなら、それは、キース様あてです」
ドキドキと胸の鼓動が高まって、身体が震えた。
不敬罪だといわれても仕方ない。
「身分の違いはわかってます。でも、好き……なんです。私……わっ」
睨むようにして見ていたキースが、突然Princessの手首をつかんだ。
キースはそのままPrincessを部屋の端まで追い詰めると、壁に両手首を縫いとめて、顔を至近の距離に近づけた。
「キ……キース様?」
「よせ。それ以上言うな。今すぐお前を襲いそうだ」
揺れるグリーンの瞳は、深い森を思わせる。
「前言撤回するなら今だぞ」
「しません。女に二言はありませんから」
Princessが言い放つと、キースの喉がくくっと鳴った。
「相変わらず気が強えーな。いい度胸だ。それでこそ、俺の女にふさわしい」
キースの笑った顔が真顔に戻って、ゆっくりと近づいた。
「Princess……今まで悪かった。お前が好きだ。ずっと……俺のそばにいろ」
「キース様……」
甘い唇が角度を変えて幾度となく重なれば、身体の芯がしびれてくる。
手首をつかんでいたキースの手のひらはPrincessの腰に回されて、しっかりと引き寄せられた。
キースの胸におさまって求められる唇は、互いの想いの温度を伝えるかのように、熱い。
キースのキスがさらに深くなろうとしたその時、彼が不意に唇を離した。
「ん? 始まったみたいだな。続きはあとだ」
「始まったって、何がです?」
Princessはキースを見上げた。
「ダンスだよ」
耳をすませば、冬の澄んだ空気にのったワルツの音色が耳に届く。
「あ、ほんとだ」
「いくぞ!」
「え、行く?」
キースがPrincessの手をとった。
「俺は、お前以外の女と踊るつもりなんてねーから」
キースのつま先はもう、扉に向かい、Princessを引いて駆け出していた。
大理石の廊下を靴音をたてて走りながら、キースが振り向いた。
「お前、そのドレスよく似合ってる。ま、俺の見立てだからな。馬子にも衣装ってヤツだ」
「ひどっ」
キースとPrincessは、声をたてて笑いあった。
胸に、あふれるほどの幸せが満ちる。
聖夜の贈り物は、愛する人――
遠くクリスマスを祝う鐘の
降る雪はふたりの重なる想いのように、静かに、積もるのだった。
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