あしたのキミも愛してる/Will.A.Spencer
プリンセスの名前を設定できます⇒
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わあ……まだあったんですね。懐かしいです」
私はレモン色のアパルトマンを見上げた。
季節がよければもっとたくさんの花々に彩られるはずの小さなベランダも当時のままだ。
シャルルに留学して間もなく、住んでいたこのアパルトマンが燃え、フィリップ城に身を寄せることになったのがきっかけでウィルと親しさを重ね、人生を変える恋におちた。
ノーブル様の力添えで再建されたアパルトマンは、私がウィルと婚約してから注目が集まって、入居希望が絶えなかったと聞いている。
窓辺の気配からすると満室のようだ。
もしかしたら今でも、シンデレラストーリーのジンクスは言い継がれているのかもしれない。
「あの時は途方にくれてしまいましたけど、ここが焼けなければウィルを好きになることもなかったんですよね」
私は、青空に映える、鮮やかな建物を見上げた。
「そう? 俺はパーティーでキミに初めて会ったときから感じてた。きっとこの子と何かが起こるんじゃないかって」
「うそ。だって、とってもそっけなかったですよ、ウィルは」
目をしばたたかせる私に彼は、私の反応を楽しむみたいに瞳を細めた。
「あのころは、変化が怖かったから。少し……警戒した。敷かれたレールの上を走る以外の何かを求めるなんて、考えもしなかったよ。でも、キミとは何かがあるって思った。どこをどう巡りめぐっても繋がってしまう、強い運命……みたいな。今思えばまさに、恋の予感、かな?」
思い出話だというのに、私の頬はたちまち熱をもった。
メディアの中だけの存在だった、世界の女性が熱狂する王子たち。
中でもウィルは、まるでおとぎの絵本から抜け出たような容姿にファンも多く、たったひとり、彼に愛されるプリンセスは誰なのかと私自身でさえ興味があったほどだ。
まさか自分がその女性になろうとは。
今でも時おり、目が覚めれば小さなアパルトマンのベッドにひとり横たわって、甘かった長い夢に困惑する自分を想像する。
「実際、俺の恋の予感は当たりだった。キミがこうして……そばにいる」
ウィルがスッと手を伸ばして、私の左の頬を包んだ。
しみいる彼の体温は、幸せなリアル。
「今日は、はじめてPrincessとデートした場所に行きたいって思ってるんだけど、いいかな」
「はい。もちろんです」
私たちは視線をかわして、微笑みあった。
……私は今でもウィルに、強く、愛されている。
私はレモン色のアパルトマンを見上げた。
季節がよければもっとたくさんの花々に彩られるはずの小さなベランダも当時のままだ。
シャルルに留学して間もなく、住んでいたこのアパルトマンが燃え、フィリップ城に身を寄せることになったのがきっかけでウィルと親しさを重ね、人生を変える恋におちた。
ノーブル様の力添えで再建されたアパルトマンは、私がウィルと婚約してから注目が集まって、入居希望が絶えなかったと聞いている。
窓辺の気配からすると満室のようだ。
もしかしたら今でも、シンデレラストーリーのジンクスは言い継がれているのかもしれない。
「あの時は途方にくれてしまいましたけど、ここが焼けなければウィルを好きになることもなかったんですよね」
私は、青空に映える、鮮やかな建物を見上げた。
「そう? 俺はパーティーでキミに初めて会ったときから感じてた。きっとこの子と何かが起こるんじゃないかって」
「うそ。だって、とってもそっけなかったですよ、ウィルは」
目をしばたたかせる私に彼は、私の反応を楽しむみたいに瞳を細めた。
「あのころは、変化が怖かったから。少し……警戒した。敷かれたレールの上を走る以外の何かを求めるなんて、考えもしなかったよ。でも、キミとは何かがあるって思った。どこをどう巡りめぐっても繋がってしまう、強い運命……みたいな。今思えばまさに、恋の予感、かな?」
思い出話だというのに、私の頬はたちまち熱をもった。
メディアの中だけの存在だった、世界の女性が熱狂する王子たち。
中でもウィルは、まるでおとぎの絵本から抜け出たような容姿にファンも多く、たったひとり、彼に愛されるプリンセスは誰なのかと私自身でさえ興味があったほどだ。
まさか自分がその女性になろうとは。
今でも時おり、目が覚めれば小さなアパルトマンのベッドにひとり横たわって、甘かった長い夢に困惑する自分を想像する。
「実際、俺の恋の予感は当たりだった。キミがこうして……そばにいる」
ウィルがスッと手を伸ばして、私の左の頬を包んだ。
しみいる彼の体温は、幸せなリアル。
「今日は、はじめてPrincessとデートした場所に行きたいって思ってるんだけど、いいかな」
「はい。もちろんです」
私たちは視線をかわして、微笑みあった。
……私は今でもウィルに、強く、愛されている。