ジュノーの祝福/Claude
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クロードと愛をはぐくんだアパルトマンから引っ越すとなると、特別な感慨が胸に迫った。
朝も夜もなくウィルを求めて泣き暮らした日々も、
クロードの好意に甘え、心癒された日々も、
彼を愛し、愛された甘い夜も、
みんなこの小さなアパルトマンに詰まっていた。
「クロードさん、この箱で最後です。もう空っぽです」
「ああもう、危なっかしいですね、貴女は。かしてください」
よたよたと足元のおぼつかないPrincessが抱えるダンボールを、クロードがひょいと持ち上げる。
たいして荷物もない引越しは、小型の車があれば十分に収まった。
「お母さんのほうも終わったでしょうか」
Princessは、箱を持つクロードの周りを跳ねるようにしてまとわりついた。
「ナンシーが最後の手伝いをさせてくれといって熱心に荷造りをしているそうだから、
大丈夫だと思いますよ」
クロードがハッチバックのドアを上げて、ダンボールを置く。
「さ、これで全部ですね」
ふたりは、2年を超えて過ごしたアパルトマンを見上げた。
「楽しかったですね。ここでの暮らし」
Princessがふぅと息を吐いた。
城にいるときは厳しい執事でしかなかったクロードの深い優しさを、このアパルトマンで知って、そして、愛した。
「そうですね。また新しい土地で、新しい想い出を作りましょう……一緒に」
クロードがPrincessに笑みを向ける。
「ん?」
Princessが空を見上げた。
抜けるような青空なのに、ぱらぱらと雨が降り出した。
「雨とは……幸先がいいですね」
「ふふっ、ほんとに。不思議ですね。雨が降ると、私、今度はどんないいことがあるのかなって思っちゃいます」
「行きましょうか」
「はいっ!」
Princessは、助手席のドアをあけて乗り込んだ。
今日はこのまま天泣 が降りつのってもいい。
6月の女神、ジュノーが降らす雨にはきっと、たくさんの幸せが溶けこんでいる。
--fin
2014/6/30
改稿 2026/6/14
☆天泣(てんきゅう)天気雨のことです
朝も夜もなくウィルを求めて泣き暮らした日々も、
クロードの好意に甘え、心癒された日々も、
彼を愛し、愛された甘い夜も、
みんなこの小さなアパルトマンに詰まっていた。
「クロードさん、この箱で最後です。もう空っぽです」
「ああもう、危なっかしいですね、貴女は。かしてください」
よたよたと足元のおぼつかないPrincessが抱えるダンボールを、クロードがひょいと持ち上げる。
たいして荷物もない引越しは、小型の車があれば十分に収まった。
「お母さんのほうも終わったでしょうか」
Princessは、箱を持つクロードの周りを跳ねるようにしてまとわりついた。
「ナンシーが最後の手伝いをさせてくれといって熱心に荷造りをしているそうだから、
大丈夫だと思いますよ」
クロードがハッチバックのドアを上げて、ダンボールを置く。
「さ、これで全部ですね」
ふたりは、2年を超えて過ごしたアパルトマンを見上げた。
「楽しかったですね。ここでの暮らし」
Princessがふぅと息を吐いた。
城にいるときは厳しい執事でしかなかったクロードの深い優しさを、このアパルトマンで知って、そして、愛した。
「そうですね。また新しい土地で、新しい想い出を作りましょう……一緒に」
クロードがPrincessに笑みを向ける。
「ん?」
Princessが空を見上げた。
抜けるような青空なのに、ぱらぱらと雨が降り出した。
「雨とは……幸先がいいですね」
「ふふっ、ほんとに。不思議ですね。雨が降ると、私、今度はどんないいことがあるのかなって思っちゃいます」
「行きましょうか」
「はいっ!」
Princessは、助手席のドアをあけて乗り込んだ。
今日はこのまま
6月の女神、ジュノーが降らす雨にはきっと、たくさんの幸せが溶けこんでいる。
--fin
2014/6/30
改稿 2026/6/14
☆天泣(てんきゅう)天気雨のことです
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