Bitter編:さいごの恋 /Will.A.Spencer
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ウィルが、片袖を通したジャケットを再び脱いで、傍らのクロードにパサリと渡した。
「……ボタンが取れかかっている」
受け取った上着を広げて確認するクロードと同じ動きで、Princessも視線を上下させる。
確かに、スーツの右袖につくボタンがひとつ、糸を伸ばして揺れていた。
「こちらでございますね。またあのメイドが見落として……大変失礼いたしました。すぐに替えのお召し物をお持ちいたします」
クロードは、ジャケットをすばやく畳んで腰を折った。
「待って。ウィル、このくらいでしたら私が付け直します」
「いや、いい。それも衣装係のメイドの仕事のうちだ。キミがやってしまったらメイドが覚えない」
ぴしゃりと断られて、Princessは上着に伸ばしかけていた手を止めた。
今日は仕事が詰まっているから会えないと言われたのに押しかけてしまったことを、不快に思っているのだろうか。
気落ちしてうつむくPrincessに何の声もかけないままウィルは、クロードのほうを呼び止めた。
静かな声音でも、クロードを威圧するには十分だった。
「あまり、アナを責めるな」
最愛の人の口から発せられたその女性の名前に、Princessの胸は引き絞られる。
そっけない態度。
傷つく自分を差し置いて、彼女のほうをかばうウィル。
どうしてと思っても、結論にいたるのが怖くて、今日もまた考えるのをやめる。
ウィルを失いたくなかった。
――たとえ彼の気持ちがもう、自分になかったとしても。
「……ボタンが取れかかっている」
受け取った上着を広げて確認するクロードと同じ動きで、Princessも視線を上下させる。
確かに、スーツの右袖につくボタンがひとつ、糸を伸ばして揺れていた。
「こちらでございますね。またあのメイドが見落として……大変失礼いたしました。すぐに替えのお召し物をお持ちいたします」
クロードは、ジャケットをすばやく畳んで腰を折った。
「待って。ウィル、このくらいでしたら私が付け直します」
「いや、いい。それも衣装係のメイドの仕事のうちだ。キミがやってしまったらメイドが覚えない」
ぴしゃりと断られて、Princessは上着に伸ばしかけていた手を止めた。
今日は仕事が詰まっているから会えないと言われたのに押しかけてしまったことを、不快に思っているのだろうか。
気落ちしてうつむくPrincessに何の声もかけないままウィルは、クロードのほうを呼び止めた。
静かな声音でも、クロードを威圧するには十分だった。
「あまり、アナを責めるな」
最愛の人の口から発せられたその女性の名前に、Princessの胸は引き絞られる。
そっけない態度。
傷つく自分を差し置いて、彼女のほうをかばうウィル。
どうしてと思っても、結論にいたるのが怖くて、今日もまた考えるのをやめる。
ウィルを失いたくなかった。
――たとえ彼の気持ちがもう、自分になかったとしても。
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