Perfect blue /Will.A.Spencer
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胸に鼻先をうずめて、息を整える。
節のある指先が、汗で湿った私の髪を優しくとく感覚は、まどろみを引き寄せる。
うつらうつらと甘い倦怠感に身をゆだねる、このときが好きだ。
はじめての父親との外出にはしゃぎ、まるで電池が切れたみたいに早い時間に眠ってしまった幼子をベッドに横たえたあとは、大人の時間だった。
「声、いつも我慢してるね」
まだ熱を含んだ声音に、上目遣いに顔を向ける。
「もう……からかわないで」
彼の丁寧な愛撫と激しい攻めに思わず高い声をあげそうになって、幾度となく両手で口を抑えた。
小さなアパルトマンで声をたてれば、隣のマダムに情事がまるわかりになってしまう。
「俺の寝室なら、どんなに声をあげても誰にも聞こえない……けど?」
クスッと息だけで笑ってから、彼が、私の額に小さなキスを落とす。
子どもだけをお城に行かせることはあっても、私はお城にほとんど出入りをしなかった。
日陰であり続けることが、贖罪だと、信じた。
でも、今は――
「ウィル……私、結婚のお話、お受けします」
「……え?」
彼が半身を起こすと、肩にかかったブランケットがはらりと落ちた。
「本当に?」
「はい。セシル様が今は幸せに暮らしていることを知ってホッとはしましたが、だからといって私のしたことがなかったことになるわけではないです。私は、あなたとは結婚しない、いえ、してはいけないとずっと思っていました。
伏せた視線を上げられないまま、続ける。
「でも、あなたとの結婚は、個人の幸せだけを追うものじゃないんですよね。もっと重い……例えば、国民の幸せや国の繁栄とか、そういう大切なものを守る責務を一緒に担うってことなのですよね」
彼は、凪いだ視線を向けて静かに耳を傾けてくれている。
「私がしたことは、国民や王家の方々や、お城の皆さんをがっかりさせました。だから、あなたとの結婚を、ただの個人的な幸せだとは思うつもりはありません。失望させてしまった人たちのために、国のために、できる限りのことをし続ける――それが、私なりの責任であり、償いです。
認めてもらえないかもしれない。でも、自分のしたことから逃げません。認めてもらえないかもしれない。だけど、頑張り続けます。覚悟を、決めたんです」
薄暗闇の中、彼のブルーの瞳が揺れた。
手のひらが、優しく私の頬に添えられる。
「ありがとう、Princess。でも、そんなに自分を責めないで? キミを欲しがったのは、俺だ。俺も、覚悟を決めてるよ。国民からの信頼を、何年かかっても取り戻してみせる。キミとウィルがそばにいてくれれば、きっとできる。まずは……スティーヴとセシルに、報告に行かないか」
はい、とこたえるより早く、唇がふさがれた。
「ちょっ、ウィル」
「ごめん、我慢できない。嬉しくて。これからは、ずっと一緒だ。一生、ね」
彼の舌を迎え入れて、何度も唇を求めあう。
吹き込まれる吐息にまで生まれ持った気高い香りがする彼の口づけが、甘美なめまいを引き起こした。
寄せ合った素肌は、もう互いに火照り始めている。
「Princess……二人目が欲しい」
彼が、中指で腰の線をたどりながら、耳たぶを食んだ。
「ウィルってば、気が早すぎます。まだダメですから」
「わかってる。冗談だよ」
まなざしを絡めて笑いあえば、長い間、求め続けてはあきらめた、幸せのぬくもりが胸を温める。
「幸せだ。とても」
「私もです」
彼の首筋に両手を絡めると、腰を引き寄せられ、少しの隙間もなく身体が重なった。
至近で揺れるアクアブルーの瞳に見つめられるだけで、劣情は高まっていく。
彼の肩越しには、冴えた青を放つ月がのぼる。
涼やかな光に満たされた部屋で、私は、導かれるまま、優しい愛撫に身を任せた。
節のある指先が、汗で湿った私の髪を優しくとく感覚は、まどろみを引き寄せる。
うつらうつらと甘い倦怠感に身をゆだねる、このときが好きだ。
はじめての父親との外出にはしゃぎ、まるで電池が切れたみたいに早い時間に眠ってしまった幼子をベッドに横たえたあとは、大人の時間だった。
「声、いつも我慢してるね」
まだ熱を含んだ声音に、上目遣いに顔を向ける。
「もう……からかわないで」
彼の丁寧な愛撫と激しい攻めに思わず高い声をあげそうになって、幾度となく両手で口を抑えた。
小さなアパルトマンで声をたてれば、隣のマダムに情事がまるわかりになってしまう。
「俺の寝室なら、どんなに声をあげても誰にも聞こえない……けど?」
クスッと息だけで笑ってから、彼が、私の額に小さなキスを落とす。
子どもだけをお城に行かせることはあっても、私はお城にほとんど出入りをしなかった。
日陰であり続けることが、贖罪だと、信じた。
でも、今は――
「ウィル……私、結婚のお話、お受けします」
「……え?」
彼が半身を起こすと、肩にかかったブランケットがはらりと落ちた。
「本当に?」
「はい。セシル様が今は幸せに暮らしていることを知ってホッとはしましたが、だからといって私のしたことがなかったことになるわけではないです。私は、あなたとは結婚しない、いえ、してはいけないとずっと思っていました。
伏せた視線を上げられないまま、続ける。
「でも、あなたとの結婚は、個人の幸せだけを追うものじゃないんですよね。もっと重い……例えば、国民の幸せや国の繁栄とか、そういう大切なものを守る責務を一緒に担うってことなのですよね」
彼は、凪いだ視線を向けて静かに耳を傾けてくれている。
「私がしたことは、国民や王家の方々や、お城の皆さんをがっかりさせました。だから、あなたとの結婚を、ただの個人的な幸せだとは思うつもりはありません。失望させてしまった人たちのために、国のために、できる限りのことをし続ける――それが、私なりの責任であり、償いです。
認めてもらえないかもしれない。でも、自分のしたことから逃げません。認めてもらえないかもしれない。だけど、頑張り続けます。覚悟を、決めたんです」
薄暗闇の中、彼のブルーの瞳が揺れた。
手のひらが、優しく私の頬に添えられる。
「ありがとう、Princess。でも、そんなに自分を責めないで? キミを欲しがったのは、俺だ。俺も、覚悟を決めてるよ。国民からの信頼を、何年かかっても取り戻してみせる。キミとウィルがそばにいてくれれば、きっとできる。まずは……スティーヴとセシルに、報告に行かないか」
はい、とこたえるより早く、唇がふさがれた。
「ちょっ、ウィル」
「ごめん、我慢できない。嬉しくて。これからは、ずっと一緒だ。一生、ね」
彼の舌を迎え入れて、何度も唇を求めあう。
吹き込まれる吐息にまで生まれ持った気高い香りがする彼の口づけが、甘美なめまいを引き起こした。
寄せ合った素肌は、もう互いに火照り始めている。
「Princess……二人目が欲しい」
彼が、中指で腰の線をたどりながら、耳たぶを食んだ。
「ウィルってば、気が早すぎます。まだダメですから」
「わかってる。冗談だよ」
まなざしを絡めて笑いあえば、長い間、求め続けてはあきらめた、幸せのぬくもりが胸を温める。
「幸せだ。とても」
「私もです」
彼の首筋に両手を絡めると、腰を引き寄せられ、少しの隙間もなく身体が重なった。
至近で揺れるアクアブルーの瞳に見つめられるだけで、劣情は高まっていく。
彼の肩越しには、冴えた青を放つ月がのぼる。
涼やかな光に満たされた部屋で、私は、導かれるまま、優しい愛撫に身を任せた。