通り雨は虹をつれて/Claude
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クロードの視線がPrincessに向けられた。
戸惑いに揺れるグレーの瞳の中のPrincessも、揺らめいている。
「ずっと私のこと、支えてくださって、ありがとうございました。クロードさんがいなかったら、私、今でも普通に生きていたかどうかわかりません。今日、ウィルに会ってわかったんです。クロードさんに感謝してる、すごく。でも、感謝だけじゃないって。私……クロードさんが好き。離れたくないです。このまま、ふたりで一緒に暮らしたい」
Princessはクロードに歩み寄った。
「クロードさんは? クロードさんは、私がいつかウィルのところに戻るからって理由だけで私を守って……そばにいてくれたのですか? お願い、答えてください」
潤んだ漆黒の視線が、探るようにクロードの両目を交互に見た。
「それは……」
彼は顔を背けて言いよどむ。
「困りましたね。私は、貴女のその表情に弱いのです」
小さく息を吐いてから、クロードは口をひらいた。
「いつのころからでしょうか。貴女のお人柄に魅かれ、気がつけば目で追うようになったのは。でも、貴女はウィル様のものだった。おふたりが別れたあとも、いつか、ウィル様は貴女をお妃として迎えるだろうと思っていました。なにより、貴女がそれを望んでいた。ですから、その日が来るまでウィル様のかわりに貴女を守り、慈しもうと心に決めました。それが私の役割だと言いきかせて。なのに……」
大きな手のひらがPrincessの頬にふれた。
染み入る体温が温かい。
「貴女はなんの遠慮もせずに、私の心に入り込んできました。焦がしてばかりのフレンチトーストも、おかしなところにシワをつけてしまうアイロンがけも、決まったところがはねる寝癖すらも……愛おしくて。貴女を手放したくない、この暮らしがずっと続けばいいと、願う自分がいました。……もう認めるしかありませんね。私が、ひとりの男として貴女を愛している、と」
Princessの瞳は、涙で潤んでいた。
泣き顔のまま両手を伸ばすと、クロードがその腕を引き寄せてPrincessの背中を包む。
「クロードさん!」
「Princess……」
息ができないほどに抱きしめあって、ふたりは互いの胸に宿るクロードを、Princessを確かめあう。
近くて遠かった、最愛の人――
クロードの指先がPrincessのあごにかかって、ゆっくりと彼の顔が近づいた。
長くそばにいながら、合わせることもなかった唇がそっと重なる。
「何度、キスしてしまいそうになったか……貴女は本当に罪なかただ」
窓を叩いていた雨はいつの間にか上がり、小さな部屋に夕暮れの光が差し込んでいた。
「あ……虹?」
クロードの肩越しにPrincessがつぶやいてベランダに寄った。
雨上がりの空に、七色の架橋が大きく弧線を描いていた。
クロードがPrincessの肩を抱いて、空を見上げる。
「きっと明日は晴れでしょうね」
「じゃあ、おいしいサンドイッチ持って公園に行きましょう、クロードさん」
「そのサンドイッチを作るのは、また私ですか?」
笑いを抑えながらクロードが言う。
クロードが長身をかがめて、Princessの頬に軽くキスを落とした。
「残念ながら、明日は行けませんね。今夜は貴女を離せそうにない」
抱きしめあい、唇を合わせても、最奥だけはウィルのままだった。
それも今夜限りだと予感させるクロードの魅惑的な瞳に、Princessの心臓は一気に跳ね上がる。
Princessは虹がうつる水たまりを見つめた。
空を映した雨水に、光の帯が揺れていた。
ウィルとの別れは通り雨。
クロードという虹に出会うための。
胸を濡らした雨はあがった。
これから歩む空には、七色の橋が輝いている。
長いトンネルからようやく抜け出せたすがすがしさが、雨上がりの空気に似ていた。
今日からは、愛する人との新しい毎日が始まる。
満たされた想い。
傍らに白い花が揺れる。
Princessはクロードを見上げ、肩を包む彼の手に、自身の手のひらをそっと重ねた。
--fin
戸惑いに揺れるグレーの瞳の中のPrincessも、揺らめいている。
「ずっと私のこと、支えてくださって、ありがとうございました。クロードさんがいなかったら、私、今でも普通に生きていたかどうかわかりません。今日、ウィルに会ってわかったんです。クロードさんに感謝してる、すごく。でも、感謝だけじゃないって。私……クロードさんが好き。離れたくないです。このまま、ふたりで一緒に暮らしたい」
Princessはクロードに歩み寄った。
「クロードさんは? クロードさんは、私がいつかウィルのところに戻るからって理由だけで私を守って……そばにいてくれたのですか? お願い、答えてください」
潤んだ漆黒の視線が、探るようにクロードの両目を交互に見た。
「それは……」
彼は顔を背けて言いよどむ。
「困りましたね。私は、貴女のその表情に弱いのです」
小さく息を吐いてから、クロードは口をひらいた。
「いつのころからでしょうか。貴女のお人柄に魅かれ、気がつけば目で追うようになったのは。でも、貴女はウィル様のものだった。おふたりが別れたあとも、いつか、ウィル様は貴女をお妃として迎えるだろうと思っていました。なにより、貴女がそれを望んでいた。ですから、その日が来るまでウィル様のかわりに貴女を守り、慈しもうと心に決めました。それが私の役割だと言いきかせて。なのに……」
大きな手のひらがPrincessの頬にふれた。
染み入る体温が温かい。
「貴女はなんの遠慮もせずに、私の心に入り込んできました。焦がしてばかりのフレンチトーストも、おかしなところにシワをつけてしまうアイロンがけも、決まったところがはねる寝癖すらも……愛おしくて。貴女を手放したくない、この暮らしがずっと続けばいいと、願う自分がいました。……もう認めるしかありませんね。私が、ひとりの男として貴女を愛している、と」
Princessの瞳は、涙で潤んでいた。
泣き顔のまま両手を伸ばすと、クロードがその腕を引き寄せてPrincessの背中を包む。
「クロードさん!」
「Princess……」
息ができないほどに抱きしめあって、ふたりは互いの胸に宿るクロードを、Princessを確かめあう。
近くて遠かった、最愛の人――
クロードの指先がPrincessのあごにかかって、ゆっくりと彼の顔が近づいた。
長くそばにいながら、合わせることもなかった唇がそっと重なる。
「何度、キスしてしまいそうになったか……貴女は本当に罪なかただ」
窓を叩いていた雨はいつの間にか上がり、小さな部屋に夕暮れの光が差し込んでいた。
「あ……虹?」
クロードの肩越しにPrincessがつぶやいてベランダに寄った。
雨上がりの空に、七色の架橋が大きく弧線を描いていた。
クロードがPrincessの肩を抱いて、空を見上げる。
「きっと明日は晴れでしょうね」
「じゃあ、おいしいサンドイッチ持って公園に行きましょう、クロードさん」
「そのサンドイッチを作るのは、また私ですか?」
笑いを抑えながらクロードが言う。
クロードが長身をかがめて、Princessの頬に軽くキスを落とした。
「残念ながら、明日は行けませんね。今夜は貴女を離せそうにない」
抱きしめあい、唇を合わせても、最奥だけはウィルのままだった。
それも今夜限りだと予感させるクロードの魅惑的な瞳に、Princessの心臓は一気に跳ね上がる。
Princessは虹がうつる水たまりを見つめた。
空を映した雨水に、光の帯が揺れていた。
ウィルとの別れは通り雨。
クロードという虹に出会うための。
胸を濡らした雨はあがった。
これから歩む空には、七色の橋が輝いている。
長いトンネルからようやく抜け出せたすがすがしさが、雨上がりの空気に似ていた。
今日からは、愛する人との新しい毎日が始まる。
満たされた想い。
傍らに白い花が揺れる。
Princessはクロードを見上げ、肩を包む彼の手に、自身の手のひらをそっと重ねた。
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