通り雨は虹をつれて/Claude
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クロードの仕えるノーブルミッシェル城は、二人の暮らすアパルトマンから、歩いて20分ほどのところにある。
Princessと生活するようになってから、クロードはウィルの執事を辞めた。
ノーブル様のもとで働くと伝え、驚くPrincessに彼は、いろいろなかたに仕えることで執事としての経験値が上がるのだと答えた。
でも、真実は。
長年つかえた主よりもPrincessを選んだ、ということだった。
その事実は少なからずPrincessに後ろめたさを感じさせたが、クロードの決意は固く、Princessもまた当時、反対するだけの気力を持ち合わせていなかった。
クロードはフィリップを、Princessはシャルルをそれぞれあとにして、今はノーブルミッシェルの領地に小さなアパルトマンをかりている。
キッチンとリビング、ほかにある二つの部屋はそれぞれに寝室として使っている。
だから、同居だ。
クロードは、あくまで執事然としてPrincessと接する姿勢を崩さなかった。
彼とは、シャルルのアパルトマンで抱きあったとき以来今まで、一度たりとも、指先さえ触れ合っていない。
Princessは朝食のプレートを洗いながら、首を伸ばしてリビングの時計を見上げた。
フラワーショップの開店は9時からだが、その前の準備には意外と時間がかかる。
(7時半までにお店に入るとして、ええっと、もうでなくちゃ)
大学を卒業したあとはプリンセスとしての教育を受けるはずだったPrincessに、定職はなかった。
鬱々と暮らすPrincessに、今の仕事を紹介したのはもちろんクロードだ。
草木を好むPrincessにとって、フラワーショップの仕事は心和むものだった。
キッチンのタオルで手を拭いて、ふと気が付く。
(しまった! 昨日、お花に水、あげてない)
急いで水差しに水を満たし、ぱたぱたとスリッパをならして窓際によると、受け皿にはすでに、水がある。
(あ……クロードさんが水、あげてくれたんだ)
白い花をつけるこの植木は、ウィルの執務室にあったものと同じ花だ。
ウィルの大切にしている花をまかされて、つぼみが膨らんだ、花弁がひらいたと微笑みあった幸せな日々。
この部屋をかりて間もないころ、未練がましく同じ花を買い求めてきたPrincessを、クロードは責めなかった。
Princessは、盛りを過ぎた花をひとつ、ふたつと摘みとってから急いでアパートをあとにする。
勤務先のフラワーショップは、この界隈で名の知られた人気の店だ。
想いを花に託そうと誰かの顔を思い浮かべているお客さんの表情が喜びにあふれていて、Princessも花選びのアドバイスについつい熱がはいる。
以前なら、人の幸せを祝福する気持ちにもなれなかったのにと、すっかり凪いだ心が、自分でも不思議だった。
一息ついて腕時計を見ると、針は3時55分を指している。
早番の今日は、4時にはあがれる予定だ。
たしか、クロードも早めに帰れると言っていた。
一緒に夕食の買い物に出られるかもしれない。
Princessは時間ぴったりに、エプロンを解いた。
その背に、人の気配を感じた。
「花をください。大切な人に、許しを乞うための花を」
穏やかで、凛と澄んだ……懐かしい声だった。
Princessはゆっくりと振り向いた。
夕暮れ間近の黄金の光を含んで、ひときわ輝くブロンドの髪。
のびゆく青い空をうつしとったような、ガラスの瞳。
あの日、Princessに別れを告げた薄い唇は、戸惑うように引き結ばれて。
「ウィル……?」
Princessと生活するようになってから、クロードはウィルの執事を辞めた。
ノーブル様のもとで働くと伝え、驚くPrincessに彼は、いろいろなかたに仕えることで執事としての経験値が上がるのだと答えた。
でも、真実は。
長年つかえた主よりもPrincessを選んだ、ということだった。
その事実は少なからずPrincessに後ろめたさを感じさせたが、クロードの決意は固く、Princessもまた当時、反対するだけの気力を持ち合わせていなかった。
クロードはフィリップを、Princessはシャルルをそれぞれあとにして、今はノーブルミッシェルの領地に小さなアパルトマンをかりている。
キッチンとリビング、ほかにある二つの部屋はそれぞれに寝室として使っている。
だから、同居だ。
クロードは、あくまで執事然としてPrincessと接する姿勢を崩さなかった。
彼とは、シャルルのアパルトマンで抱きあったとき以来今まで、一度たりとも、指先さえ触れ合っていない。
Princessは朝食のプレートを洗いながら、首を伸ばしてリビングの時計を見上げた。
フラワーショップの開店は9時からだが、その前の準備には意外と時間がかかる。
(7時半までにお店に入るとして、ええっと、もうでなくちゃ)
大学を卒業したあとはプリンセスとしての教育を受けるはずだったPrincessに、定職はなかった。
鬱々と暮らすPrincessに、今の仕事を紹介したのはもちろんクロードだ。
草木を好むPrincessにとって、フラワーショップの仕事は心和むものだった。
キッチンのタオルで手を拭いて、ふと気が付く。
(しまった! 昨日、お花に水、あげてない)
急いで水差しに水を満たし、ぱたぱたとスリッパをならして窓際によると、受け皿にはすでに、水がある。
(あ……クロードさんが水、あげてくれたんだ)
白い花をつけるこの植木は、ウィルの執務室にあったものと同じ花だ。
ウィルの大切にしている花をまかされて、つぼみが膨らんだ、花弁がひらいたと微笑みあった幸せな日々。
この部屋をかりて間もないころ、未練がましく同じ花を買い求めてきたPrincessを、クロードは責めなかった。
Princessは、盛りを過ぎた花をひとつ、ふたつと摘みとってから急いでアパートをあとにする。
勤務先のフラワーショップは、この界隈で名の知られた人気の店だ。
想いを花に託そうと誰かの顔を思い浮かべているお客さんの表情が喜びにあふれていて、Princessも花選びのアドバイスについつい熱がはいる。
以前なら、人の幸せを祝福する気持ちにもなれなかったのにと、すっかり凪いだ心が、自分でも不思議だった。
一息ついて腕時計を見ると、針は3時55分を指している。
早番の今日は、4時にはあがれる予定だ。
たしか、クロードも早めに帰れると言っていた。
一緒に夕食の買い物に出られるかもしれない。
Princessは時間ぴったりに、エプロンを解いた。
その背に、人の気配を感じた。
「花をください。大切な人に、許しを乞うための花を」
穏やかで、凛と澄んだ……懐かしい声だった。
Princessはゆっくりと振り向いた。
夕暮れ間近の黄金の光を含んで、ひときわ輝くブロンドの髪。
のびゆく青い空をうつしとったような、ガラスの瞳。
あの日、Princessに別れを告げた薄い唇は、戸惑うように引き結ばれて。
「ウィル……?」