ブルー×ブルー(3)/Will.A.Spencer
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かがんだ腰を伸ばしながら、Princessはダンボールを重ねあげた。
もともと荷物などない小さなアパルトマンは、10個も段ボールを積んでしまえば、もう空っぽになる。
物こそ少なかったが、代えがたい思い出はいっぱいつまった部屋だった。
丸くなったおなかをなでながら、生まれくる我が子を待ち望んだ日々。
今日からこの部屋でずっとふたりで暮らそうねと、生まれたばかりのウィルに話しかけたあの日。
おぼつかない足取りで一生懸命立ち上がろうとしたウィルを、手をたたいて励ました、あの時。
初めて「ママ」と呼ばれて涙した、あの瞬間。
尽きることのない希望と、かかえきれない喜びを与えてくれたウィル。
小さな彼がいないだけで、この部屋はただの凍えた箱になる。
Princessは、逃げるように引越しを決めた。
思い出にあふれる部屋から出て行くことには、後ろ髪が引かれた。
しかし、この部屋に身を置いて、いつまでもくすぶる気持ちに苦しむのもつらかった。
幼子の残した陽だまりの香りがあたたかく、それがかえって寝食を忘れるくらいの悲しみをPrincessに与えていた。
いるはずの人が、そこにいないことはこんなにも心に穴をあけるものだったとは。
Princessはふと、部屋の片隅に転がったチェスのコマに気付いた。
(あれ? これ……)
大切なものをリュックに入れるようにと言ったPrincessに、重いけど持っていくんだとウィルはチェスの一式を入れていた。
(ウィル、だめじゃないの、忘れものだよ。届けることもできないのに……)
枯れ果ててしまったと思っていた涙がほほを伝う。
納得してウィルを手放したにもかかわらず、ご飯は食べただろうか、つらく当たられてはいないだろうかと毎秒ごとに胸に浮かぶのは、我が子のことばかりだった。
Princessは崩れるように座り込んだ。
すでにカーペットを引き剥がした床は、しんしんと冷たい。
もともと荷物などない小さなアパルトマンは、10個も段ボールを積んでしまえば、もう空っぽになる。
物こそ少なかったが、代えがたい思い出はいっぱいつまった部屋だった。
丸くなったおなかをなでながら、生まれくる我が子を待ち望んだ日々。
今日からこの部屋でずっとふたりで暮らそうねと、生まれたばかりのウィルに話しかけたあの日。
おぼつかない足取りで一生懸命立ち上がろうとしたウィルを、手をたたいて励ました、あの時。
初めて「ママ」と呼ばれて涙した、あの瞬間。
尽きることのない希望と、かかえきれない喜びを与えてくれたウィル。
小さな彼がいないだけで、この部屋はただの凍えた箱になる。
Princessは、逃げるように引越しを決めた。
思い出にあふれる部屋から出て行くことには、後ろ髪が引かれた。
しかし、この部屋に身を置いて、いつまでもくすぶる気持ちに苦しむのもつらかった。
幼子の残した陽だまりの香りがあたたかく、それがかえって寝食を忘れるくらいの悲しみをPrincessに与えていた。
いるはずの人が、そこにいないことはこんなにも心に穴をあけるものだったとは。
Princessはふと、部屋の片隅に転がったチェスのコマに気付いた。
(あれ? これ……)
大切なものをリュックに入れるようにと言ったPrincessに、重いけど持っていくんだとウィルはチェスの一式を入れていた。
(ウィル、だめじゃないの、忘れものだよ。届けることもできないのに……)
枯れ果ててしまったと思っていた涙がほほを伝う。
納得してウィルを手放したにもかかわらず、ご飯は食べただろうか、つらく当たられてはいないだろうかと毎秒ごとに胸に浮かぶのは、我が子のことばかりだった。
Princessは崩れるように座り込んだ。
すでにカーペットを引き剥がした床は、しんしんと冷たい。
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