ブルー×ブルー(1)/Will.A.Spencer
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「クロードぉ、チェス、教えて」
扉がひらいて、ひょこっとウィルが顔を出した。
一目姿を見れば、誰でも微笑んでしまうほど美しい我が子、ウィル。
彼は、最愛のひと、ウィル王子との愛の実りだ。
決して、王家の不吉な火種などではない。
ふたりの穏やかな日々があればそれだけでいいのだと、どれだけ訴えればそっとしておいてもらえるのだろう。
Princessはため息をつく。
「承知いたしました、ウィル様。ご一緒に遊びましょう」
「難しいよ、チェスは。僕、できそうもないや」
眉を寄せて、口をむうっとゆがませるウィルに、クロードが目を細める。
「大丈夫ですよ。ウィル様のお父様は、大変チェスがお強うございます。一度たりとも負けたところを拝見したことがありません。ですから、ウィル様もきっと」
「ホントに? パパはチェスが強いの?」
ウィルの目がとたんに輝きだす。
クロードはうなずいた。
「はい、それはもう。チェスには記憶力も、先を読む力も必要です。状況を正確に把握した上で計画をたて、チャンスを逃さない戦略がいるのです。あなた様のお父様は、すべての面に非常にたけたおかたです。だから誰にも負けないのです」
「へえ……すごいなあ」
しきりに瞬きをしたウィルが、ふと黙り込んだ。
「ね、クロード。パパはそんなに立派な人なのにどうしてママと僕を放っておくんだろ。パパは……僕たちのことを嫌いなんじゃないのかな」
ウィルの鼻がぐずぐずとし始める。
「ママは、パパは外国でお仕事をしているから忙しくてなかなか会えないんだよっていうけど……ずーっと会えないなんて、おかしいよ」
透き通ったブルーのガラスの瞳はクロードの主と同じだった。
こんなにも幼いのに、その目で見つめられると心の奥底までのぞかれそうで、クロードは思わず顔を背ける。
「お母様のおっしゃることは本当です。お忙しいのですよ」
「ふうん」
納得したともしないともとれるつぶやきをウィルがもらした。
「いつか、お写真じゃなくってちゃんと会えるかな」
「もちろんですとも、ウィル様」
父親にその存在すら知られていないとわかったら、幼い心はどうなってしまうのだろう。
そう思うと、クロードはいたたまれなかった。
扉がひらいて、ひょこっとウィルが顔を出した。
一目姿を見れば、誰でも微笑んでしまうほど美しい我が子、ウィル。
彼は、最愛のひと、ウィル王子との愛の実りだ。
決して、王家の不吉な火種などではない。
ふたりの穏やかな日々があればそれだけでいいのだと、どれだけ訴えればそっとしておいてもらえるのだろう。
Princessはため息をつく。
「承知いたしました、ウィル様。ご一緒に遊びましょう」
「難しいよ、チェスは。僕、できそうもないや」
眉を寄せて、口をむうっとゆがませるウィルに、クロードが目を細める。
「大丈夫ですよ。ウィル様のお父様は、大変チェスがお強うございます。一度たりとも負けたところを拝見したことがありません。ですから、ウィル様もきっと」
「ホントに? パパはチェスが強いの?」
ウィルの目がとたんに輝きだす。
クロードはうなずいた。
「はい、それはもう。チェスには記憶力も、先を読む力も必要です。状況を正確に把握した上で計画をたて、チャンスを逃さない戦略がいるのです。あなた様のお父様は、すべての面に非常にたけたおかたです。だから誰にも負けないのです」
「へえ……すごいなあ」
しきりに瞬きをしたウィルが、ふと黙り込んだ。
「ね、クロード。パパはそんなに立派な人なのにどうしてママと僕を放っておくんだろ。パパは……僕たちのことを嫌いなんじゃないのかな」
ウィルの鼻がぐずぐずとし始める。
「ママは、パパは外国でお仕事をしているから忙しくてなかなか会えないんだよっていうけど……ずーっと会えないなんて、おかしいよ」
透き通ったブルーのガラスの瞳はクロードの主と同じだった。
こんなにも幼いのに、その目で見つめられると心の奥底までのぞかれそうで、クロードは思わず顔を背ける。
「お母様のおっしゃることは本当です。お忙しいのですよ」
「ふうん」
納得したともしないともとれるつぶやきをウィルがもらした。
「いつか、お写真じゃなくってちゃんと会えるかな」
「もちろんですとも、ウィル様」
父親にその存在すら知られていないとわかったら、幼い心はどうなってしまうのだろう。
そう思うと、クロードはいたたまれなかった。